ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ~ハイテク海洋動物学への招待~ (光文社新書) [Kindle]

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  • 冒険心溢れる著者の地道な調査と研究の成果です。

    ウミガメの調査から始まり、ペンギン、アザラシの生態を調べる時の苦労話やそれぞれの動物たちとの思い出も散りばめられていてとても面白かった。

    タイトルにあるクジラは出てきません。

    著者は南極を主戦場として調査研究を行っています。南極に限ることではありませんが、水中動物を観察することは非常に難しく、解明されてないことが沢山あります。

    ペンギンにデータロガーという小さな機械を取り付けてデータを取るのですが、いつどこに戻ってくるのかわからない。確実に回収するための工夫や、同じ個体が同じ場所に戻ってくる法則性などを観察から見極め取り付けていきます。

    それまでの想定以上の深さまで潜り餌を取りに行くことがあります。その時の水圧に対する抵抗はどうなっているのでしょうか。

    ペンギンは潜る前に息を吸い込みますが、アザラシは息を吐いてから潜ります。不思議です。

    著者のような野心のある方がいなければわからないことだらけ。そのに挑戦している姿にも感動します。

  • ■『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ~ハイテク海洋動物学への招待~』★3.5
    三谷さんの戦略読書を読んで依頼最近自分の中で流行のサイエンス系本。

    ここ最近読んでいた「大絶滅」「生物はなぜ誕生したのか」などの本は、大著という感じで、すごい大きな生物学の流れ、進化の流れをまとめるという本でした。
    その本に比べると今回の『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ~ハイテク海洋動物学への招待~』はかなり軽め、厳密な科学的説明もなく(著者に失礼か)、「マニアックな領域の研究者が書いた『私の履歴書』という感が強い。

    最後の章の解釈がちょっと面白い。
    普通研究者は、「仮説を考え、実験の目的を明確にし、そして周到に手段を用意して、検証し新しい発見を行う」という流れを踏む。
    著者ももちろん、そのつもりで行動しているのだが、南極のペンギンにデータ収集の機械をつけて、2週間後に発見してデータとってという、ビジネスでいうPDCAがほとんど回せない世界のこと。
    思い通りの結果がでない。
    で、著者が発見したことの多くは、当初の実験目的は達成できないところから発見されています。
    実験失敗したが、このままでは終われない(著者の場合南極までいって1年半とか研究してますので)と、せっかくデータを目を皿のようにして、当初目的と関係ない新しい発見をする。

    どっちかと言えば気合いと根性、偶然の世界ですね。

    最近のサイエンス本をみると、治部は科学とは、理論的・計画的ではなく、研究者の個人的思い入れや偶然の上に多くの重大発見がなされていることがわかります。


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著者プロフィール

佐藤克文 1967年、宮城県生まれ。東京大学大気海洋研究所行動生態計測分野教授。農学博士(1995年京都大学)。著書に『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ』(光文社新書)、『巨大翼竜は飛べたのか』(平凡社新書)などがある。2020年より小学校国語五(東京書籍)に「動物たちが教えてくれる海の中のくらし」が掲載されている。ナショナルジオグラフィック協会のエマージングエクスプローラー受賞(2009年)。

「2020年 『海の中のくらし 動物たちが教えてくれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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