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感想・レビュー・書評
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広島に投下された原子爆弾により被爆し、原爆症を抱えている閑間重松が、原爆投下後の人々の様子や惨状・生活を記す『原爆日記』を清書するため、振り返った当時の様子の描写、そして清書しながら、直接被爆は免れたのに、黒い雨を浴び、放射能に汚染された焼け跡をさ迷った姪の矢須子のことを気にかける日々の様子が描かれていた。
重松自身や、出会った人の原爆投下後の様子が鮮明に描かれていて、想像でしかないし、想像以上のものもあるけれど、様々な角度から当時の惨状を目の当たりにしたみたいで、考えさせられます。簡単に核保有をちらつかせ口にするプーチン大統領やキム書記が、正気ではないと、怒りが込み上げました。
ストーリーの最後、虹を願い矢須子を思う重松の描写が、あまりにキレイで、"これが文学作品なんだ"と、感動を覚えました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
原爆被害にあった広島の状況を、当時の手記の清書という形での小説にすることでリアリティを出している。
空襲前夜、空襲時、空襲直後、その後の記録、そして原爆病の闘病記。核攻撃の悲惨さはもちろんのことだが、軍の規律の緩みなども各所に書かれている。 -
「正義の戦争よりも不正義の平和の方がいい」
印象的なフレーズだ。
手記からの回想シーンがほとんどな為、
ものすごく丁寧な作品のイメージ。
しかし、原爆の恐ろしさは凄惨な光景を心に残す。 -
さよならだけが人生だ
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「被爆日記」に記された過去と、姪の縁談を心配する現在とを行き来しながら、原子爆弾の真実を綴った作品。あの日、事実において、天は裂け、地は燃え、人は死んだ。日本の夏の、もう一つの顔がそこにあります。