- Amazon.co.jp ・電子書籍 (235ページ)
感想・レビュー・書評
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『ある教師と生徒』
言葉の暴力で生徒を追い詰める教師の姿勢は褒められたものではない。一方で車にぶつかって怪我を目論んだ久男少年の行動にも問題はある。
どちらも軽率な行動が命に関わる事故に繋がった
けれどブラック・ジャックが感銘を受けたのは真剣に考えた上での教師の行動。ブラック・ジャックが焚きつけるように提示した手術料を払う為に命をかけた教師
そういった姿勢が有るなら今度は軽率になることなんてきっと無い
最後には二人並んで包帯姿でお勉強。その状況を嫌がっていない久男の姿にこそ、二人の関係が治療されたのだと判るね
『その子を殺すな!』
多くの人間からしたら魔法みたいに見えるブラック・ジャックの医療技術。それに対して本当に摩訶不思議な力を使う人間をぶつけてくる展開には痺れるね
ハリ・アドラの超能力は助ける事が難しい相手も助けてしまう。助けられる力を持っているからこそ、母体を助ける為に胎児を犠牲にしようとしたブラック・ジャックを許せない
そういったハリ・アドラの前に無頭児を引き合わせる残酷さよ…
医者は助けられる命は助けようとする。それを超常の存在として具現化したのがハリ・アドラだとしたら、助けられない命は助けない選択をするのが現実の医者なんだろうなぁ……
あのブラック・ジャックが「殺せーっ」と叫ぶシーンは衝撃的……
『上と下』
多分、ブラック・ジャックシリーズで一二を争う程に好きなエピソード
RH-という珍しい血液型。それを持つ者が輸血を必要とすれば、同じ血液型の者を探し回らなければならないし、運が悪ければ見つからずに命を落とすかもしれない
そういった意味では社長が力さんの血によって助かったのは本当に運が良かったとしか言いようがない
運が良かったとは巡りが良かったという事であり、つまりそこで社長と力さんの間に縁が生まれたと言えるんだよね
だから社長は力さんが命の危機を迎えた時には商談を投げ出して助けに戻る
会社は倒産し運が尽きたと思った瞬間に今度は力さんが助けに現れる。そんな二人の縁を祝福するようにブラック・ジャックが手術代をほぼそっくり渡す展開は素晴らしいの一言ですよ!
人助けのために行動できる人間の姿は美しいものです詳細をみるコメント0件をすべて表示