サクラ咲く (光文社文庫) [Kindle]

著者 :
  • 光文社
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感想・レビュー・書評

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  • 短編という頭で読んでいくと、3つの
    物語の登場人物が、絡んでくる。
    解説には、若い人に向けて書いた作品
    とあるだけに、読みやすかった。
    2つ目の物語の主役に当たる子が、次
    第に成長していく描き方が良かった。

  • 本書の想定読者はティーンエイジャーだと思うが、いい歳をしたおじさんが読んでも十分に楽しめた。
    特に表題作の「サクラ咲く」がいい。自分の意見を主張できずに悩む主人公マチに性別を問わず感情移入してしまう人は多いのではないだろうか。結末も爽やかで読後感良好。
    辻村先生らしいリンク探しも楽しめるお得な短編集。

  • 思春期の多感な時だからこその感じ方や悩み、友達との繋がりや絆。図書室の本に挟まれた見えない相手とのメッセージのやり取り。繊細で優しい。

  • 自分の意見をはっきり言えない自分を変えたい、と考えていたマチはある日、図書室の本の中から「サクラチル」と書かれた一枚の紙を見つける。
    その日から、何冊かの本の中に同じ筆跡のメモを見つけるようになるが……。

    2015年9月5日、電子書籍にて読了。
    表題作を含む3編の中編を収録していて、どの物語もちょっぴりほろ苦い青春小説というテイスト。
    うち2編は図書室が主な舞台になっているので、図書室が恋しくなっちゃいました。よく通ったなぁ。

  • 辻村深月さんの作品をちゃんと読むのは初めてだった。芦田愛菜ちゃんの本でオススメされていて,ちょうどkindle本セールで安くなっていたので何冊か買っておいたのだがまだ何も読んでいなかった。
    なんともとても素敵なお話だった。心が救われるような。3つの短編から構成されている。中学生から高校生の話。それぞれの登場人物は最後の話で時間軸を変えてさり気なく繋がっているのが分かる。
    1つ目は若美谷中学2年3組に2学期から転校してきた少年の話。菊池悠と名乗るこの少年は,席が隣同士になったことをきっかけに陸上部の武宮朋彦くんと交流を深めるようになる。そしてなんと菊池くんは空気が悪くなってしまった100年後の未来から特殊な喘息の療養に来たというのだった。一見真反対に見える2人だが100年後のゲームという秘密を通じて仲良くなる。未来のことをこの時代の人に話すことはご法度,ということで未来のゲームは人の入り込まない発掘現場に隠していたが,休止していた発掘が再開されそうということを聞いて,武宮くんと美晴がゲームを回収に現場に向かうと突然地崩れが起きてしまう。果たして2人は助かるのか。
    2つ目,自分の思っていることをはっきり言えず,頼まれると嫌とは言えない自分を中学では変えたいと思っている女の子,塚原マチ。小学生からの友達の光田琴穂の推薦で気が進まないながらクラスの書紀になってしまう。しかしその御蔭でクラス委員長の守口みなみと仲良くなる。マチは実は陸上部に入りたかったが琴穂に陸上部は大変だと言われて科学部に入部する。海野奏人とはそこで親しくなる。本が好きで図書館によく行っていたマチは借りた本にメッセージが書かれた紙が挟まっているのを見つける。自分に重ね合わせて共感を覚えたマチは返事のメッセージを本に挟んでみることにする。やがて返事のメッセージが来るようになり,マチは相手がわからないまま一風変わった文通をするようになる。文通の相手は誰なのか,マチは自分を変えられるのか。
    女子中高生のでてくる話といえば最近は陰湿ないじめとか暴力とかの痛ましい救いのない話が多いので,こんな優しい登場人物ばかりの話はむしろレアでホッとする。どうしてみんなこんな風になれないのだろうね。とても良い話。
    3つ目は,若美谷高校の映画同好会の話。メンバーが3人しかおらず部として認められていないが,部長の竹宮一平はこの状況を打開するため,自主制作映画を撮ってコンクールに応募する計画を立てる。そしてある日図書室で読書をする女子の姿に目を奪われ主演女優の白羽の矢を立てる。その人は一平の入学式の時に行われた演劇部の舞台で主演をしていた立花亜麻里先輩だった。意を決して出演交渉をするも断られる。根気強く毎日お願いをしていると,自分が探している本を見つけてくれればでても良いと言われる。本は全く見つからず,一方で立花先輩に関する気になる噂があり,詳しいことを調査してみると...。

  • 面白い。学校は社会よりも陰と陽がはっきりあって、それを突きつけられてもがき苦しみ、それでも成長していかなければならないから酷。でも勇気ある行動が陰から陽に変わるし、もっともっと学校生活は楽しくなるのかなと個人的には思います。

  • 辻村さんの本に、もっと早く出会いたかった。
    辻村さんの本を読む度に毎回思う。あの時の自分が読んでいたら、救われることがとっても多かったと思うと。あの頃にこの本はなかったけれど、辻村さんの言う小説が持つ力はあるんだなと本当に感じるから、もっと本を読んでおけば私の人生変わったかもなーって感じます。
    私たちは学校にいさせてもらったんじゃない。目立つか目立たないかそうゆうものじゃない、何て言われようと、したいことを目一杯やってた私はちゃんと学校に居場所があった。もっとそれに、あの時自信を持っていればよかった。
    平気そうに見えてみんな実は大変なものを抱えてるかもしれないってあの時わかっていれば、もっと周りが見えてラクに過ごせてたかもしれない。私が気づいていたように、誰かも私のことを見ていてくれていることに気付いていれば、色んなことを諦めずたりバカバカしく感じたりせずに自信を持ってやり遂げられたかもしれない。
    本当に、今の中学生に読んでほしい。
    そんな本です。
    2016/02/03 再読。

  • 「やっとわかってもらえた」「見つけてもらえた」辻村作品を読んでそう思うことがたくさんあるんだけれど、この本もまた、多くの人にそう思わせるちからがあると思う。
    学校とか、社会とか、居場所がないって思ってる、新しい環境で戸惑ってる、大人にも子ども
    にも読んで欲しい。
    あなたもおんなじ、だいじょうぶだよ。

  • 面白かった!3話とも心温まるお話!特に2話目と3話目が面白かった!

  • 2019/7/25 Amazonより光文社5000冊セールにて594円でDL購入。

  • 丁寧な青春小説。
    最後の薬云々のくだりが「薬でそのスピード感はありえへんやろ」という感じだったけど、まぁご愛嬌かな、と。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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