訳者がD・H・ロレンスの全詩業から、59編を選んで訳出した詩集である。
読んだ小説「息子と恋人」、「チャタレイ夫人の恋人」(旧訳)が合わなかったと前にに書いたけれども、結局、この詩集も僕を満足させるものでなかった。読了に月日が掛かったのは、そのせいである。
ホイットマンの影響を受けたという、説教臭さ、デリカシーの無さだと思う。僕は北原白秋や、戦後「荒地」派の詩を好んで読んだ。
D・H・ロレンスは生涯、性愛の哲学を叫び続けたと翻訳者は書くけれども、性愛は人生の最大部分ではないと、僕は考える。
旧いイギリスで、炭鉱夫の息子に生まれた彼が、抑圧と貧困から脱出するために、世に反抗した事は、わかる気がする。