本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (187ページ)
感想・レビュー・書評
-
私の偏愛映画の一つ『純喫茶磯辺』(2008年)を、脚本も書いた監督の吉田恵輔自身がノベライズしたもの。
Kindle Unlimitedに入っていたので、読んでみた。
当然ながら、基本は映画そのままだ。
ただし、映画にない場面や小さなサイドストーリーが追加されている。
たとえば、ヒロイン・咲子(仲里依紗)の両親(宮迫博之、濱田マリ)のなれそめや、2人の離婚前のエピソードなどが追加されている。
また、麻生久美子が好演したもう一人のヒロイン・素子(通称モッコ)のキャラクターも、映画より掘り下げられている。
追加されたサイドストーリーのうち、両親の離婚前の様子を9歳の咲子の視点から描いた場面は、とてもよい。
親子3人で花火を観に行ったとき、すでに仲が冷え切っていた両親は一言も会話をしない。そこで咲子は一計を案じ、迷子になったフリをして身を隠す。
咲子がいなくなったことに気付いた両親はさかんに会話をし始めたが、やがて2人で罵り合ってしまう。物陰に隠れて見ていた咲子は、自分のしたことが裏目に出て、両親の仲をさらに険悪にしてしまったことに愕然とするのだった。
「面白うて、やがて哀しい」感じがじつによい。
映画『純喫茶磯辺』が好きな人なら、この小説も好きになるだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示
全1件中 1 - 1件を表示