信念に生きる ― ネルソン・マンデラの行動哲学 [Kindle]

  • 英治出版
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  • ネルソン・マンデラという人物が黒人差別制度であるアパルトヘイトに立ち向かい、制度撤廃を達成した大統領であることはある程度の予備知識を持っていたが、大統領にまでなった人物がここまで壮絶な人生、特に人生の27年間を政治犯として刑務所で過ごしたというのは筆舌に尽くし難い。

    そして、歴史的に分かり合う事が難しい人種同士を対立させずに、いかに共存の道を示し、目標を実現するまで信念を貫いた姿勢は本当に感服させられる。

    歴史的なしがらみから相当な数の反対者もいたであろうし、命の危険もあり、家族も犠牲にしても尚、心折れずに、志を曲げずに事を成し遂げた。

    ビジネスの世界でも対立する問題は多々あるが、それとは比較にならないくらい大きな問題だし、犠牲になるものも大きいが、自分が絶対的に正しいと思うことに対して信念を曲げない事の大切さを改めて感じさせられた。

    恐らく、マンデラ自身も勉強して身に付いたというよりも、先に大志を抱いて、事を進めていく過程で、人格を磨き、処世術を学んだのだと思う。

    そういう意味で本書のマンデラの行動哲学を本当の意味で理解することは難しいだろうが、どういった視点で考えていたのかは参考になる。

    本書に記されている15の行動哲学の中でも、特に私にとって参考になったことが、「相手の良い面を見出せ」である。ビジネスの世界に身を置いていると、性善説で考えるべきか、性悪説で考えるべきかは度々悩ましいが、マンデラは自分に危害を与えたり、批判をしている人物でさえ、その人の良い面を認めて引き出そうとする。

    志が大きければ大きいほど、事を成し遂げる為には、今日の敵も味方に取り込まなければならない事を肌で感じていたのだろう。そういった姿勢は時には同志からも対応が甘いという批判が出ていた事もあった様だが、「人は元を正せば、偏見や人種差別の意識を持って生まれてくるわけではない」という信念(原理原則)に従っていた。

  • タイトルやネルソンマンデラという人物の評価から、良いと思わねばならないという先入観が働くが、捨てて読んだ方が良い。個人的には彼の人間臭さをある意味では感じ、ある箇所では計算高さにややうんざりした感じもする。

  • 南アフリカ初の民主主義選挙で大統領に選ばれたマンデラのリーダーシップについて。

    後半は怒涛のマンデラ賞賛にちょっと飽きつつも(本の趣旨的に仕方ない)、マンデラに関する事前知識がほぼ無い状態で読んだ自分は「マンデラ良い人やなぁ」というのが率直な感想。
    外見や立ち振る舞いを含め自分が相手に与える印象を重視すること、信念と戦術を分けて考えること、問題に接した時には出来る限り分析して深く考えることが大切だと改めて認識。
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    - 「人格は厳しい状況の中でこそ計られる」

    - 難しい問題が発生したときこそ、拙速にならずあらゆる可能性を考慮に入れて、冷静沈着に向き合う。そして、熟考の末に答えにたどり着く。リーダーは、そういう姿を見せるべきだ。

    -「急いではならない。まずはじめに、物事を深く考えて分析しなさい。行動するのはそのあとだ」

    - マンデラは、人を判断する際に、時には外見、つまりその人物がどのように見えるかを大切にしている。身につけているシャツの色、人前に立つときの立ち姿にはじまり、政策をどのように支持者に見せるかに至るまで、常に物事が「どのように見えるか」に細心の注意を払う。

    - すべての信念が同じ重みを持っているわけではない。ゆえに、優先順位をつけなければならない。

    - 状況が変われば、とるべき戦略も思考法も変化に伴い変えていく必要がある。それは、信念のブレではなく、現実主義的思考というものだ。

  • 興味を惹かれず1/3くらいで終了。

  • ▼ウブントゥ「他の人々の功績や貢献のお陰で、自分はこの世で何かを成し遂げる事ができる」という考え方
    ▼厳しい状況の中で、心折れずに、事を成し遂げるためには、それを支える信念や志の存在が非常に重要
    ▼マンデラは相手に関心を示し、自ら心を開く。そうするうちに相手もマンデラに引付けられることになるのだ。
    ▼唯一、自分でコントロール出来たのは自分自身だけ
    ▼「成熟する」とは、若い時にむき出しにしていた感情を胸の内に秘める術を得る事だ。「成熟する」とは、決して、不公平や不正に対する怒りや反発を感じなくなってしまう事ではない。何をするべきで、どのように行うべきかを知っている事だけが「成熟している」ということではない。一時の感情を抑え、様々な思考を冷静に判断し、物事をありのままに見る事ができる。これこそが「成熟している」ということなので。感情や思考を深めていく事ができる成熟した生き方。これが、私たちが生きていくうえで最大の助けになるのだ。
    ▼勇気とは自らの意思で選択するもの
    ▼生まれながらに勇敢な人間など居ないからこそ、どうやって勇敢になれるかを真剣に学ばざるを得ない
    ▼目立つ事よりも、たとえ退屈だとしても透明で信頼できる人間である事の方が大事だと考えている
    ▼先陣を切るリーダーシップとは、時に自らが自らの犯した親待ちを認める事だ。
    ▼リーダーシップとはゴールに向かって人を動かす事にある。
    ▼自分に怒りの感情が増幅すればそれだけ、統治の力が削がれていく。怒りの感情を鎮静すればするほど、力がみなぎる。
    ▼敵に会ってみたら、ヤツは私たち自身だった
    ▼「ノー」という言葉を巧みに使う。理由を説明するのに一旦目線を落とし、それから相手の目をまっすぐに見つめて「すまないが、答えはノーだ」という。
    ▼成果の報酬を享受するためには、忍耐が必要である
    ▼役者は舞台を下りたら、舞台袖をうろうろしてはいけない

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