銀河英雄伝説5 風雲篇 (らいとすたっふ文庫) [Kindle]

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  • らいとすたっふ
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感想・レビュー・書評

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  • この風雲編ではついにラインハルトとヤン・ウェンリーが直接戦うこととなる。これまでの戦いとは違い、戦局の打開を企図するヤンが攻める側であり、ラインハルトが守る側という位置付けになるのだが、結局二人の戦いは最終局面で自由惑星同盟からの停戦命令により、結果を見ることなく集結してしまう。

    矛を納めた二人は初めて直接対面をする機会をもつのだが、おそらくこの場面は全編を通じても屈指の名場面なのではないかと、感じた。歴史上で天才的な将軍が対面で話すという機会はほとんどなくて(そもそも両側に優れた将軍が出ることが少ない)、例えばスピキオとハンニバルの対面など、そういった場面は必ず歴史に残るものだ。銀河英雄伝説も体裁としては「未来から過去の歴史を概観する」という形をとっているため、こういった場面では筆にも一層力が入る・・・はず。また、二人の会話というのは、政治哲学における民主主義の位置付けについて議論をするものであって、民主主義のバランスが先進国で失われているように見える昨今では、おそらくこの本が書かれた時よりも、より興味深いテーマになっているのではないだろうか。

  • 現状でも刺さる名言が多すぎる
    "けっきょく、愛国心とは、ふりあおぐ旗のデザインがたがいにことなることを理由として、殺戮を正当化し、ときには強制する心情であり、多くは理性との共存が不可能である。とくに権力者がそれを個人の武器として使用するとき、その害毒の巨大さは想像を絶する。"
    "私がきらいなのは、自分だけ安全な場所に隠れて戦争を賛美し、愛国心を強調し、他人を戦場にかりたてて後方で安楽な生活を送るような輩です。こういう連中とおなじ旗のもとにいるのは、たえがたい苦痛です"

  • オーディブルで全巻聴いている途中。
    全体の戦況と同時に目の前の敵将個人の思考も考えるヤン。果ては「今の帝国を倒すのが人類のためになるのか」まで。
    また、ユリアンの「まず人間である」という思考も立派だな。
    ・自分の上に何も置かないラインハルト
    ・自分の上に民主政を置くヤン
    ・自分の上にヤンを置くユリアン
    これからどうなっていくんだろう。

著者プロフィール

1952年熊本県生まれ。学習院大学大学院修了。1978年「緑の草原に……」で幻影城新人賞を受賞しデビュー。1988年『銀河英雄伝説』で第19回星雲賞(日本長編部門)を受賞。2006年『ラインの虜囚』で第22回うつのみやこども賞を受賞した。壮大なスケールと緻密な構成で、『薬師寺涼子の怪奇事件簿』『創竜伝』『アルスラーン戦記』など大人気シリーズを多数執筆している。本書ほか、『岳飛伝』『新・水滸後伝』『天竺熱風録』などの中国歴史小説も絶大な支持を得ている。

「2023年 『残照』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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