モルディダ・マン [Kindle]

  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。相変わらず主人公がカッコいいし、台詞が洒落てる。
    スピード感があるし残念な犠牲は出てるけど大団円だ。
    気になる点は解放された大統領の兄に対してリビア側はどのような謝罪、賠償を行うつもりなんだろう?
    お金では収まらないと思うが- -

  • ロス・トーマス1981年発表作。好きな作家にエルモア・レナードを挙げているが、刺激的なプロットよりも人物描写や会話などに熟成の「味を出す」作風が確かに似通っている。ストレートなミステリだけでは飽き足らず、滋味豊かな大人の娯楽小説を楽しみたいという読者には最適な作家といえよう。大物テロリスト誘拐に端を発する謀略を扱い、本来なら熾烈な諜報戦を緊迫感溢れる筆致で描くところを、ひと癖もふた癖もある人物らの駆け引きを中心に構成し、クールな展開で読ませる。
    テロリストの「保護者役」でもあったリビア政府は、誘拐を企てたのはCIAと睨み、合衆国大統領の実兄で陰の実力者でもある男を拉致して報復に出る。だが、CIAは関与を否定。そこで事態収拾に駆り出されたのは、かつて“モルディダ・マン”と呼ばれたチャブ・ダンジーだった。モルディダ・マンとは、メキシコの言葉で“賄賂を贈る者”を意味するらしい。ダンジーの過去は、ぼんやりと明かされる程度なのだが、要は交渉事に長けたネゴシエイターといった役回りだろう。ただ、ダンジーの場合は直球ではなく変化球を投げるタイプで、国家元首や大臣、テロリストグループ、犯罪組織との渡り合うさまは、淡々としていながらもスマートで、トーマスならではの小気味よいテンポで進んでいく。ターゲットの懐に入り内部から探り出す大胆な戦術に、元軍人で元下院議員というダンジーの経験と政治手腕を生かしている。
    実は、どの登場人物にも感情移入できなかったのだが、それでも狡猾な悪党も含めて魅力的にみせてしまうのがロス・トーマスの凄いところだ。

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