ご冗談でしょう,ファインマンさん 下 (岩波現代文庫) [Kindle]

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  • ブラジルでサンバ・バンドに参加し、ボンゴドラムはまり(演劇部のミュージカル公演に参加)、絵を描き(個展を開き、絵も売れた)、マヤ文明の数学(暗号の謎解き)にはまり、幽体離脱を体験し…。好奇心の赴くまま多彩な趣味にどっぷり嵌まっていくファインマン先生。

    そして、お役所仕事に反旗を翻し(13回以上サインをしない、領収書を提出せず旅費を受け取らなかった)、教科書選定委員として予定調和を大いに乱し、ノーベル賞授賞を迷惑がり授賞スピーチで授賞したこと自体には謝意を述べなかった…。なんて自由奔放で痛快な生きざまなんだろう!

    ファインマン先生が日本びいきだったのか嬉しい。「その頃の僕にとって日本というところは非常に神秘的な感じのする国だった。僕はその神秘の雲に包まれたすばらしい国に、ぜひ行きたいと思っていた」、「京都にいる間、僕はやっきになって日本語をマスターしようとがんばった。ふつうよりうんと力を入れて勉強したかいあって、とうとうタクシーに乗って自分で用を足したりできるまでになった」(その後、敬語に辟易して止めてしまったが)、「国や国民によって発展のしかたがそれぞれちがうのはどういうわけか、ということに津々たる興味をもっている僕は、日本がこれだけ急速に発展をとげ、世界でも指折りの近代国家になりおおせたのは、実に驚くべき現象だと思っている」等々。

    「社会に対する「積極的無責任者」などと自称されてはいるが、大は宇宙から、小は子供の教科書にいたるまで、彼ほどその根本問題を鋭く見ぬき、本気で憂えている人はそういない」、「ひょうひょうとして天衣無縫だが、偽善や空威張りと見ると決して容赦しない」(訳者あとがき)ファインマン先生の姿がありありと浮かんでくる名著だった。

  • アメリカの論理物理学者リチャード・P・ファインマンの自伝的逸話集の下巻。
    上巻で既にファインマン氏の好奇心の旺盛さに魅了されていたが、下巻では彼の物理学的思考の一端が垣間見えるエピソードがある。
    「誤差は7パーセント」がそのエピソードなのだが、この中で科学者的「ゾーン」とでもいうべき状態になる。
    追い込まれた状況の中で、何かが閃き、その閃きによって支配されたがごとく休むのも惜しいほど科学的思考に没入する状況になる。
    物書きでいうところの「神が降りてきた」とでもいうようなこの状態は、実は一般人の我々にも経験があることなのではないだろうか。
    もちろん、頭の中で生まれてくるアイディアの差は大きいのだが、それでもなんとなく親近感がわくエピソードだった。
    ほかにも、ドラムを叩いたり絵を描いたり教科書について議論したり。ひとりの人生とは思えないくらい、活躍の場が多岐に渡っている。
    その原動力は、やはり彼の中で無尽蔵に湧き上がる好奇心なのだろう。
    ほかのファインマン伝も読んでみたい。

  • アンリミテッドにて読了。最高に笑えるエッセイ集。下巻。超おすすめ。

  • ファインマン物理学で有名なリチャード・P・ファインマンの回顧録。
    好奇心旺盛でいたずら心を持ち、全てのことに真摯に向き合い、それを楽しむ姿勢を持ち続けることが、彼の偉大さの根本にあることがよく分かった。
    日本の旅館での経験談、ノーベル賞授賞式での会話、科学者の姿勢を語った卒業式辞などいずれの小話も面白い。
    一読の価値あり。

  • ★何に対してもとことんやる。誤魔化さずにおかしいことはおかしいと言う。誠実な人だ。

  • たまたまある三つの数を知っていたのだ。一つは e を底とする 10 の対数で(対数の底を 10 から e に変換するのに必要な数の) 2. 3026 だ。(だから e の 2. 3乗が 10 に近いのがすぐわかったのである。)もう一つは、放射能の半減期と崩壊定数の関係式(= ln 2/ ─訳注)から考えて、2の対数は 0. 69315 だということ(だから e の 0. 7乗は2に非常に近い数だとわかったわけだ)、それからもう一つは e そのものの値で 2. 71828

    こうありたいと思います。件数だのお金だのを管理する側に立つと、数字の感覚の重要性を痛切に感じます。スクリプトが手を滑らせるととんでもない数字になってしまいがちなものを、この感覚で違和感を感じることができるからです。なので、業務で出てくる各種数字は調べれば分かるではなく、なるべく頭に叩き込むようにしています。頭にないと、違和感も感じることもできないのではないかと思います。

  • いろいろなところで勧められているのがわかる、素晴らしい本だった。

    自然界への畏敬の念、物事の本質を見抜き、おかしいことにはおかしいと断言する潔さ
    痛快であることは勿論、心の気高さに触れられる素晴らしい本

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