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感想・レビュー・書評
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東田直樹氏の著作を続けて2冊読むこととなりました。
本書では、「植物」という文章に心が揺さぶられました。植物をうらやましく思う気持ちを、東田氏は次のにように言います。
「植物はどのような環境の中にあっても美しく咲こうとし、種を残そうとするからです。」
生を受けて、より良く生きようとする気持ち、たとえ困難に直面したとしても。こうした著者自身の姿勢を植物に重ね合わせているのだと、感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者の心や表現力の豊かさに驚かされる。今、「知的障害を伴う自閉症」と診断されている他の人たちも、同じなのかもしれない。IQテストでは、じっと座ってテストを受けることができない人たちのIQは計れないんやと思う。
私も自閉系の発達障害があるので、世界の感じ方に共感できる部分もあった。
著者の書いた絵本なども読んでみたい。 -
時間の捉え方や物の見え方などが全然違っていて、健常者に合わせた社会では生きにくいのだろうなぁと感じた。でも悲観することもなく、冷静に物事を見られているのが印象的。自分と他人、幸せと不幸、生と死など、考えさせられました。
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東田直樹さん、一流の作家であり、一流の詩人です。堪えきれず、泣かされたところもありました。
〈本から〉
僕には、人が見えてないのです。人も風景の一部となって、僕の目に飛び込んでくるからです。山も木も建物も鳥も、全てのものが一斉に、僕に話しかけてくる感じなのです。それら全てを相手にすることは、もちろんできませんから、その時、一番関心のあるものに心を動かされます。引き寄せられるように、僕とそのものとの対話が始まるのです。それは、言葉による会話ではありませんが、存在同士が重なり合うような融合する快感です。
もし、僕が死んで魂だけが残るとしたら、風のように世界中を移動するでしょう。人であることから解き放たれた瞬間、進化を超えて、本当の自由を手に入れるのだと思います。
「助け合い」は、人と人とのあだだけではなく、ひとりの人間の肉体の中でも、お互い、尊重し、譲り合うという行為が行われているのではないでしょうか。
水は僕にとって、故郷のような存在です。
治したいと思っているのに、注意をされても直せない人間が、この世に存在するのです。
人の話を黙って聞く、こんな苦行を続けられる人間が、世の中にどのくらいいるでしょうか。
人生にとって重要な学びはふたつあるのではないでしょうか。ひとつ目は、勉強をして、考える力を身につけること。ふたつ目は、自分の幸せに気づくことです。
僕は、沈みゆく太陽を見つめながら、今日という日に感謝します。この気持ちは、誰かに教えられたわけではない気がします。僕という人間を生かしてくれている全ての奇跡と愛に対する畏敬の念だと思うのです。
夕日の美しさに感動するとともに、なぜか寂しい気持ちが込み上げてきた僕は、泣きたくなるような気持ちをこらえます。自分の心の隅々まで光が当たり、どうしていいのかわからなくなったのです。
無駄に見える行動の中に、心のよりどころがあるというのが、何だか人間らしいと思うのです。 -
本書を読んで感じるのは、
障害の有無に関わらず、人はみな同じということ。
それと同時に、
障害の有無に関わらず、人はみな違うということ。
私自身、知的障害を持つ子の親になって初めて、
これまでの自分の無知を知った。
障害者かどうかの境界はただの制度上のもので、
シンプルに、人格と個性が各自にあるだけだと。
自閉症や障害者が身近にいないが故に、
知る機会がなかった(以前の私のような)人は、
本書から多くの発見が得られるかもしれない。
少なくとも親になる前の私なら、
相当大きな衝撃を受けたことが想像できる。 -
”生きる意欲は、人との関係性の中で育まれるものだと思いますが、ひとりになれる時こそ、自分が何者であるかを思い出すために必要な時間です。”
”人生にとって重要な学びはふたつあるのではないでしょうか。ひとつ目は、勉強をして、考える力を
身につけること。ふたつ目は、自分の幸せに気づくこと” -
2021/1/6
914.6||ヒガ (3階日本の小説類)
著者は重度の自閉症で、人と言葉で会話ができず、飛び跳ねたり奇声を発するだけ、でも、文字盤やパソコンでコミュニケーションが可能です。
会話ができないことにより、自分の意思を伝えられず、人に理解されない自閉症者の内面をわかりやすく伝えています。
自閉症者がこれだけの意思や思考を持っていることに驚きを感じます。
様々な場所で講演したり著書も多数あります。
ぜひ、自閉症理解の一助に!! -
自分が何もわかっていなかったことに気付かされました。
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重度自閉症の作家・東田直樹さんが、自閉症のことや人との絆、幸福などへの思いをつづったエッセイ。
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自閉症で喋るのが苦手な作者。脳内ではさまざまなことを考え、感じているけれど、喋ろうとするとうまく言葉に変換できない。思考の流れをコントロールするのに苦労し、何かについて考えていても、ふと頭をよぎった別のことが勝手に口をついて出たりする。
自分の意思とは離れたところで勝手に動く、壊れたロボットの操縦。
「表現する」というところにエラーが出るだけでその奥では私たちと同じようなことを学んだり感じたり考えたりしているのに、知らずに面と向かってみたら、すごく失礼だけれど、全く理解しあえないように感じてしまうのだろうな…
人より苦労しながら大変な人生を生きてきた作者の、結果としてはすごくありふれた普遍的な人生観。わたしなんか文句言えないよ。