- Amazon.co.jp ・電子書籍 (249ページ)
感想・レビュー・書評
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戦国時代の梟雄「宇喜多直家」を描く短編集。娘や仕える主などいろいろな視点から描かれる。出てくる人物は皆悪人で、謀ばかりで敵を倒す。その最たるものが直家で、自分の娘すら犠牲にする。その度に自らの体からでる血膿や悪臭に苦しめられる。まるで直家に残る僅かばかりの良心がそうさせているように。そして、最後の物語で直家の死の直前に梅の香りがする場面は、直家が謀略だらけの人生から漸く解放されたかのようで印象的であった。
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kindle版で購入して読んだけど、
とにかく面白すぎた。
歴史小説好きなら絶対ハマる、間違いない。
宇喜多直家という戦国時代の将では、最も怪しい武将を主役に置いた
すっごく難しい作品だと思いますが
これぞ歴史小説という醍醐味に満ち溢れている。
この戦国時代をとっても美化して取り上げる本や映像が多い中
この本の中にはそんな美しさは最小限。
仕物、返り忠という昔の言葉を巧みに使い
この時代の暗さ、陰惨さ、家族であっても次の瞬間には首を奪い合う
指を1本ずつ切っていき、切り終わった後に磔にされる殺され方を
昨日までの主君の首を箱に詰めて、敵方に持参する家来を
そんな生臭い、日本の歴史上本来であれば最低最悪の時代として
語られるべき時代を、見事に描き切っている。
さらに梟雄として語られる宇喜多直家について、新たな視点を
添えた点でも大いに評価できる。
残虐さの中にも、この時代を生きた人たちのそれぞれの個にも
しっかりと光をあてた素晴らしい内容だと思いました。
これは読むべし!
歴史好きなら絶対読むべし -
疑心から生まれる謀略と怨讐の連鎖。 全編に血生臭さが漂い、期待通りの後味の悪さ。 それでも、生き残った者が強者なのであると。