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感想・レビュー・書評
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ビジネスの基本スキルとして、何を学ぶためにも、何を行うにしろ必要なのが「問題解決」のスキル。思考として「ゼロベース思考」「仮説思考」、技術として「MECE」「ロジックツリー」を活用、それらをプロセスとして「ソリューションシステム」を使う。これでビジネスの現場で活用が出来るようになる、というもの。
「ゼロベース思考」で既成の枠を取り外して考える。課題の解決のための具体策はある、という前提で考えることが肝要。コツとしては「顧客にとっての価値を考える」。「出前」を「デリバリ」に捉えなおしたり、ザラの在庫切れ推奨など。
「仮説思考」とは、限られた時間と情報でも、その時点での結論を持ち実行する。アクションに結びつく結論を常に持つ、結論の背後のメカニズム、ベストでなくベターで実行する。メカニズムとは。問題となっている、あるいは将来問題になるであろう現象を創り出す仕組みや構造。SO WHATへの回答のためにもここを把握しておく必要がある。
MECEの一環として「ビジネス・システム」がある。バリューチェーンの各工程における、自社・他社の強み、弱みを比較すること。その他、3C+1C、PPM、マーケティング4Pなどがある。
ロジックツリーとしては、モレやダブりの防止や各項目の因果関係を特定することができ、原因や解決策を具体的に落とし込めるなどのツール。原因追及(WHY)のロジックツリーと、解決具体策(SO HOW)のロジックツリーがあり、原因を特定したのちに解決策を検討する。また、解決策を複雑化しすぎるのはNG。実施する人の立場に立つと実行が難しくなるため。
ソリューションシステム、とは、ビジネスの問題を分析し、具体的解決策を立案するための問題解決方法。ゼロベース、仮説思考、ロジックツリー、MECEを活用。①課題の設定、②解決策の仮説、③解決策の検証・評価の流れ。
課題の設定には主要課題と個別課題に分けて検討する。解決策についても、それぞれ主要課題と個別課題に対して設定し、「自社でコントロール可能か」という切り口からYES/NOを決めていく。そして解決策を検証・評価していく。コンサルタントのレベルとしては上記の②以降を担っていた、と言える。①はパートナークラスの仕事。
インタビューについて。インタビューお願いの理由を明確にし、①~③のどのフェーズに対して何を聞きたいか、ということを整理する。①であれば土地勘、課題の抽出、課題の軌道修正、②であればブレスト、成功事例などからの意味合い抽出、③であれば仮説の検証、解決策への評価チェックなどが考えられる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ゼロベース思考、仮説思考、MECE、ロジックツリー、ソリューション・システムを用いた問題解決の手法が説明されている本。どれも他の本にも書かれていることではあるが、具体例が秀逸で、実践編の具体例がここまで充実している本はそこまでないのでその点で稀有。読み返す価値の本だと思う。
以下、読書メモ。
・もしかしたら枠の外に解決の可能性があるのではと考えるゼロベース思考は重要。考え方のコツとしては、「顧客にとっての価値を考え抜く」こと。
・ゼロベース思考の例:ZARA、ドトールコーヒー、ピザ宅配、ヒートテック
・インフォメーション・マルチプライヤーの概念(マネー・マルチプライヤーのアナロジー)
・仮説思考のポイント:①アクションに結び付く結論を常に持つ(So what?の追求)、②結論に導く背後の理由やメカニズムを考える、③「ベスト」を考えるよりも「ベター」を実行する
・ビジネスの現場では1つの具体的結論が100の評論に勝る。思い付きでもアクションに結び付く結論を言ってみて、「なぜ?」を繰り返してみる
・6割レベルの情報が集まったら、兎に角一度、方向性の判断を行うべき。やみくもな情報収集は避ける
・アサヒスーパードライの例⇒戦略は消費者が支配する。市場(顧客)への深い洞察から新たなビジネスの種は生まれる。
・マツダの事例⇒戦略をMECEでとらえたつもりが、資源配分の視点による優先順位付けが完全に欠如していた。各市場での資源投入量が競合よりも小さくなり、競争力を失ってしまった。
・真の原因を探るために問題を深堀していけば打ち手のレベルが上がる。
・ロジックツリーの作り方とコツ:①各レベルができるだけMECEか、②ツリーの右側が具体的な原因や解決策になっているか、③具体的な原因や解決策がロジックの因果関係で主要課題にリンクしているか
・コーザリティ分析:自動車関連部品メーカーがOEM撤退を決めた悪例。これはOEM事業と補修事業の因果関係をしっかり把握していなかったため起きてしまった。因果関係への深い理解は非常に重要。
・全自動洗濯機の商品価値の分類例:①洗濯機能、②使い勝手、③その他
・ソリューションシステムの3つのステップ:①課題の設定、②解決策の仮説、③解決策の検証・評価
・課題設定の軸の例:①時系列化、②標準化(他社と分母(1人当たり売上等)を合わせて比較)、③ベンチマーク化(マーケットリーダーをベンチマークにする)
・総合解決策は個別課題に対するYES/NOの具体的解決策を組合せ、経営資源の観点から個別解決策の整合性をチェックした上で作る
・評価軸:①期待成果、②投入資源、③リスク、④展開スピード
・ビジュアル化するときの留意点:2次元であれば、なぜそのX軸とY軸をとるのか、その意味とグラフ化した時にその分析からどんな仮説(意味合いや結論)を導けるのかをよく考えること。この訓練をすると、So What?的な無駄な分析は次第に姿を消すようになる。
・シェア分析:「市場のカバー率」と「競合とバッティングしたときの勝率」に分解可能
・特徴のない「町の雑貨屋」状態になることを避ける
・新商品の切り口の例:「顧客との相性」「商品との相性」「販売システムとの相性」「収益への貢献度」
・評論家は往々にして考える枠を狭く設定して物事を議論する傾向があるが、問題解決者はなるべく枠を大きく広げて解決策を見つけ出す
・分析≠情報収集。分析はSo What?を出さないと意味なし。
・CS・CE分析
・付加価値分析
・前向きにチャレンジするポジティブ・エネルギーが不可欠 -
最初に考え方を説明して、その後にかなり詳しい具体例を紹介している。特に考え方についての説明が素晴らしい。現代ではますます重要になってきている、ということにも完全に同意。
後半は経営コンサルタントとしての実例を挙げての説明で、こちらも素晴らしい。ただし、研究職や技術職の人にとっては、「自分の仕事にどう適用(応用)するか」と考える際のハードルが高めになるかもしれない。 -
問題解決プロフェッショナル「思考と技術」
<ゼロベース思考>
否定要素に注目しない
顧客にとっての価値から考える
<仮説思考>
何が何でも結論を出す
結論理由について仮説を出す
so what?とwhyの繰り返し
スピード重視で仮説を検証する
✗無駄に時間をかけない
✗勘ですぐ結論づける
◯適切な時間でベターな回答
<MECE>
3C+1C(顧客/自社/競合/チャネル)
ビジネスシステム(時間軸+強み弱み×自社競合)
4P(製品/価格/販売チャネル/プロモーション)
<ロジックツリー>
原因追求のロジックツリー(why)
解決策のロジックツリー(so how)
<ソリューションシステム>
課題設定
主要課題:比較して決める(自社/競合/顧客)
個別課題:検証可能なもの
解決策の仮説
個別課題についてYes=How?/No=Why?を仮説
少しでも可能性があればYes
総合解決策を決める:個別解決策同士が背反しないか
解決策の検証・評価
個別解決策についてYes/Noを確定する
総合解決策を評価する
期待成果
投入資源
リスク
展開スピード
企業理念との整合性
トップの責任確認
実務推進者の有無
解決策の評価方法を決める
実行 -
2023/08/13
読み始め、一回目はファーストセンテンスと図表の理解くらいまででまずは読み通す。8/17斜め読み終了。 -
問題発見力:無いと問題が見つからない⇒手法や技術は役に立たない。 問題を見つけるのは非常に重要。
問題=あるべき姿と現状とのギャップ。
問題が明確であればあるほど解決できる。
問題が発見できない理由:あるべき姿が明確に描けない。現状の認識が甘い。ギャップの構造を解明しきれていない。実行可能な解決策に固執。
あるべき姿は変化する。例:できる人の姿、顧客の求める味。
現状を直視するwillと現状を把握するskillがないとダメ。
現状と結果を見てないと何故成功/失敗したかわからなくなる。再現性がない。
思いつきの解決策はダメ。走りながら考えること。
解決策ありきではない。目的!!! -
■印象に残った点
●ゼロベース思考のポイント
・自分の狭い枠の中で否定に走らない
・顧客にとっての価値を考える
●仮説思考のポイント
・アクションに結び付く結論を常に持つ——結論の仮説
・結論に導く背後の理由やメカニズムを考える——理由の仮説
・「ベスト」を考えるよりも「ベター」を実行する——スピードを重視
●問題の根っこにある具体的な原因を突き止めるには、ロジックツリーを使用して
WHY(どうして)を自問自答する--WHYツリー
●ロジックツリーを使って問題の解決策を具体化するには、SO HOW(だからどうする?)を何度も何度も繰り返して深めていく--HOWツリー
●SO WHAT(だから、何? つまり? それで、何が言いたいの?)→WHY(どうして)→SO HOW(だからどうする?)の順で問題の原因を探り、解決策を模索する
●分析というのは、ある仮説を持ったときに、事実を読み込んだ結果出てくる意味合い( SO WHAT?)を指すのであって、事実の羅列ではない。
●情報収集の基本は、欲しい情報が大事な情報、価値のある情報であり、
かつ世の中に存在しない情報は自分で作る、というスタンスで臨むべき
■総括
問題解決に必要な思考と具体的な実践方法(フレームワーク)を学べる。
各章で著者の過去の実践例を提示ながら、各手法を説明してくれるため非常にわかりやすい。
全社会人、職種問わずおすすめしたい一冊 -
どのようにすれば、様々な問題を解決することができるのか。コンサルタントとして多くの問題を解決してきた著者が、その経験を通して培ってきた問題解決のための思考技術を披露する書籍。
問題解決のための思考技術は、体系化することができる。
すなわち「2つの思考」と「2つの技術」
そして、それらを駆使した「実践的プロセス」の5つに集約できる。
問題解決のための思考は、次の2つである。
①ゼロベース思考
いつもと同じ枠の中で考えるのではなく、「既成の枠」を取り外して考えること。
ポイントは、次の2点である。
・自分の狭い枠の中で否定に走らない
・顧客にとっての価値を考える
②仮説思考
時間や情報が限られていたとしても、必ずその時点での結論を持ち、実行に移すということ。
ポイントは、次の3 点。
・アクションに結び付く結論を常に持つ
・結論に導く背後の理由やメカニズムを考える
・「ベスト」を考えるよりも「ベター」を実行する
問題解決のための技術は、次の2つである。
① MECE
モレがなく、ダブリもないかをチェックする。
②ロジックツリー
ツリー状の図を使い、「WHY?」「SO HOW?」と自問自答し、問題の根っこにある原因や解決策を探る。
上記の思考と技術を使い、効率的に問題解決を行うプロセスを「ソリューション・システム」と呼ぶ。
これは、
①課題を設定する → ②「解決策の仮説」を立てる → ③解決策を検証・評価する、
という3 つのプロセスからなる。 -
【柿崎さんオススメ:若手だった頃の自分に連休中読ませたい本】
こういったハウツー本は流し見すると当たり前の内容も多く、自分はできていると思いがちだし、好き嫌いも分かれますよね。ただ、古くからある本だけあって、仕事に慣れた時期に改めて“各シーンで有効的に実践できている?”という目線で、振り返りや頭の整理用に読むと非常に有用だと思います。 -
良書との案内を受けて手に取りました。企画マーケティング、あるいは会社経営をする上で有用な思考方法を理論化し、それをわかりやすく説いています。一定の実務経験のある方が業務の棚卸しや現状解決の糸口を見つけるに際して読むことをおすすめしたい本です。
第1章、第2章では理論を、第3章は理論の体系的な業務への落とし込みを事例を交え紹介、第4章では著者の実務経験に基づいた理論運用事例の紹介がなされます。