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- / ISBN・EAN: 4988104096364
感想・レビュー・書評
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(ドラマを観た範囲での感想。舞台裏などは知らない状態)
Netflixでの視聴。
山下敦弘が監督する時代劇映画に主演していた山田孝之は、その映画のラストで主人公が自害するシーンをどうしても演じることができなかった。なぜなら、演技においては真剣(本物の刀)を使わないから。真剣を使わないと死ねないから。
つまり、山田は役に入り込みすぎて、よくわからなくなってしまった。そして、映画の撮影が中断した後、清野とおるのマンガ「東京都北区赤羽」を読み、感銘を受ける。
「ここに出てくる人たちはみんな自分らしく生きている。自分もそのような人と一緒に暮らすことで、自分らしさや、自分の軸を見つけたい」
そう思い、山田は実際に東京都北区赤羽に引っ越し、マンガに登場する人物たちと交流していく。このドラマのおおよその軸はそうしたもの。
しかし、同時にこのドラマは「フェイク・ドキュメンタリー」と謳われている。だから、見る側としては「どこからどこまでが設定で、どこからがリアルなのか」ということを意識せざるを得ないが、別にネタバレのようなものはない。
むしろ、核心は、「どこからどこまでがリアルとかっていう線引ってできるんですかね」という問のようにも思えた。
「ノンフィクションマンガをドラマ化する」という話自体が奇天烈だし、そこで描かれた人々とリアルに交流する、というのも奇妙といえば奇妙。そして、ドラマのラストではそれらの交流をベースに、山田の葛藤を消化させた劇中劇が披露されるわけだが、メタになったり戻ったり、またメタになったり、ということで、何がなんだか、(素朴なようでいて)全然わけがわからない。不思議な作品だと思った。
山下が「監督」と呼ばれながらずっと映っているが、しかしもうひとりの監督である松江哲明が姿はおろか、声すら出てこないという事実に、このドラマの重要な仕掛けが含まれているようにも感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示