いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(2) (モーニングコミックス) [Kindle]

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  • 講談社
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  • 作者の竜田氏は、福島第一原子力発電所の下請け会社で働いている。
    会社の寮に住んでいるのだけど、平屋の一軒家に男10人ぐらいを押し込めての悪環境。
    これではプライバシーもなく、防犯上よくないので、同僚と3人でアパートを借りようと部屋を探すが、どこへ行っても"いちえふ"作業員は断られてしまう。

    見かねた地元出身の同僚の奥さんが、世話を焼いてくれたおかげで解決することができたのだけど、その奥さんの想いが嬉しい。

    『せっかく遠くから来てくれた人達に、嫌な思いをさせて帰すわけにはいかない。』とか、
    『福島の人間は不人情だなんて、思われたくない。』と、県外から来た"いちえふ"作業員に心を寄せてくれているのだ。

    竜田氏もプライベートは、いわきのライブバーで歌ったり(ギターでド演歌)、仮設住宅へ慰問したりとフクシマの人達と交流して楽しんでいる。
    作業員として働くことと、流しとして仮設で歌うことは、同じ重さを占める悲願だったそうだ。

    まだまだ被災地の人達は、辛い日々を送っている実情を知った。

    2020年東京オリンピック・パラリンピックの聖火リレーのルートを"いちえふ"近くの国道6号線にしたらどうかとの提案があるらしい。
    フクシマを盛り上げてもらいたい。

  • いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(2) (モーニングコミックス) 2015/2/23

    いちえふ内での移籍奮闘記
    2017年5月6日記述

    竜田一人氏(仮名)による著作。第2巻。
    「モーニング」2014年2・3合併号、25号、29号、40号、44号、47号、50号、
    2015年8号、11号、
    週刊現代2014年5月19日発売号、
    FRIDAY2014年8月22日発売号に掲載された作品を収録。

    相変わらず着替えが多い。
    ただ竜田氏をはじめ6次下請けの企業の労働条件、
    特に寮(定員以上の人間を入れようとする)への不満から転職に奮闘している姿が印象的。
    というか2巻ではそれが一番気合入ってるイメージだ。

    社長の電話番号を受け取る場面とかちょっとした映画っぽい。
    線量の高い場所での作業に入るようになった
    主人公ではある。
    今度は年間に浴びれる上限との闘いだ。
    職人に任せれる場面は任せて、後は線量の低い場所で待機。
    待つにもここの仕事のうちさという放射線管理員さんの台詞は重い。
    なるだけ線量が高くなりすぎない為の工夫は
    まるで改善そのものだ。
    労働時間の上限で早帰りを上から推奨され続ける
    今の職場と通じる何かを感じた。

    酪王カフェオレや会津のべこの乳など
    乳製品が充実していること、
    福島では音楽が盛んなことなども紹介している。
    2014年の段階でボランティアで演奏に来る人も
    随分減ってしまったとのこと。
    2017年の現在はもっとではないか。
    あれだけの広大な被害なので復興と言っても
    神戸や他地域と比較出来ないと思うのだが・・・
    日本人は厳しいものだ。
    願わくば著者のように長く福島、東北を応援する人が
    多くなることを期待したい。

  • 福島原発で実際に作業員として従事する著者による労働記のマンガ第2巻。首都圏に住んでいた著者が自分から志願して福島で解体作業し、内容の多くは日々の淡々とした作業のことで、何が見せ場ってわけでもないですが、報道されていることや噂ばなしと現実の違いを分かってほしいという気持ちから筆をとったことが伝わってきます。なのでドラマ風でないところが逆に嘘くさくなくて評価されているのだと思います。

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著者プロフィール

大学卒業後、職を転々とし、東日本大震災後、福島第一原子力発電所の作業員となる。

「2015年 『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(3)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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