わが愛しのホームズ (モノクローム・ロマンス文庫) [Kindle]

著者 : ローズ・ピアシー 柿沼瑛子

• 新書館 (2015年2月10日発売)

感想・レビュー・書評

[はにさんの感想 · 2021年10月3日]

シャーロックとワトソンの関係性に焦点を当てて楽しむファンが原作時代からけっこういたんだという事は、むかし学級文庫で読んでた頃には思いもよらなかったのですが、、
BBCのドラマで2人がゲイカップルに間違えられたりしててまさに狙ってる感じなんだけど関係性としては原作の方がむしろ濃いんだよなー

で、この本がそれらと一線を画しているのはタイトルからも分かる通りワトソンがシャーロックを愛してるという事がキッパリと書いてある点です。

ワトソンの事件記録を、ホームズシリーズの著者であるコナン・ドイル氏に執筆依頼する。その際に伏せておいたワトソンの私的な感情を含めた裏話をぶっちゃけています、という設定。
原作に忠実なので原作知ってたら楽しいし本作読んでから原作読んでもよい。原作引用がよくわからない部分は後書きで説明もしてあるからある程度は大丈夫だと思います。
二次創作になるとは思うんだけど何しろ原作の2人がすでにただならぬ精神的関係性にあるので全然抵抗ない。
ちなみに身体的接触はほぼなし。事件もちゃんと解決してるんだけど全体的にはワトソンの恋愛感情を軸に推移しています。

シャーロックのワトソンに対する執着と甘え、それらか来る一連の酷い扱いは原作どおりではあるものの、それをがっつりな恋愛目線で描写している点がミソ。
傷ついても彼が心配で離れられないワトソンが痛々しく切ないです。

話自体はバッドエンドではないものの、過去を回想する形で始まることや、同性愛者に厳しい時代背景であることも相まって、なんとも言えない余韻が残りました。
原作に興味なくてがっつりBL展開期待する方にはお勧めしません。