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感想・レビュー・書評
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「投手」としてのみならず、人格的にもプロ野球界でお手本とされる桑田真澄の著書。
職種も違うが、なるほどと思わされる点が多数あった。故野村克也監督といい、一流の野球選手はよく読書をする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
そもそもスポーツにあまり関心がないので、この手の本は読まないのだが、清原の事件があって、桑田という人物に興味が芽生えたので読んだ。
二人がプロになった時にどれ程世間が清原に同情し、桑田に悪意を抱いたかは、その時に生きていた人間にしかわかるまい。今考えてみれば、まだ18歳の高校生だった桑田に、なんと過酷な試練だったかと思うし、マスコミを始めとする大人は、もっと冷静に対処すべきだったと思う。
しかし、入団前から逆風が吹いていたことは、彼を強くした。世間の同情を一身に集めた清原が今あんなことになっているのを見ると、どんなに辛い体験も自力で乗り越えた人間は強いな、と思う。
でも、そういう人間はプロに入ってから俄にできたのではなく、貧しい生活を母と姉の無償の尽力で支えてもらったことや、高校進学の際に教師から嫌われたことなど様々な下地があってのことだったと、この本を読むとわかる。
プロになっても、引退後の人生の方がずっと長いのだから、まず社会人としてきちんとしていなければならない、と桑田は語るが、活躍していた頃の清原は思っていただろうか。他の不祥事を起こした選手もそんなことを考えなかったに違いない。
これはスポーツ選手だけの話ではない。
苦しみを正面からだけで見ない、など、数々の修羅場をくぐり抜けた人だからこそ語れる言葉がたくさんある。
文章は上手くないが、だからこそ自分で書いたのだなと、信頼できる。
幻冬舎はスポーツ選手の自己啓発的な本をたくさん出しているが、(そのこと自体は、あまり本を読まないスポーツ少年少女にとって、いいことだと思うが)写真のページが、いかにも成功したスポーツ選手のリッチな日常みたいなやつで、本の内容とは関係ないというか、せっかくいい話読んでも、まあ稼いでる人はスゴいね的な醒めた気持ちになってしまう。なくていいのでは。
まあ、桑田は豪邸建てても、オシャレより丈夫さ重視のヘーベルハウスというところはいいな、と思ったけど。