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感想・レビュー・書評
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十数年ぶりに書い直し読み返した。当時小説を読む習慣が全くなかった私に新鮮な感動を与えてくれた。すっかり忘れていたと思っていた事も読み返してみるとこの小説で知った事もあった。ソースは忘れていたけれど影響はしっかりと受けていた。また当然のことだが当時とはまた違った印象を持った。初読の時は時田さんの高校生時代に夢中であったが、今回は小学生時代が印象に残った。時田少年への興味はもちろんだが、担任の先生や時田母の年齢に達したからか。染みた。綿谷りささんの後書きも素敵。また引きこもりかけているが、未来で笑えるように。
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山田詠美さんの人柄がにじみ出ているような印象を受けたすてきな本。自分の居場所を思い出させてくれる。
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もっと若いうちにこの本を読んでおけばよかった。そのころにこの本はあったのかな。
○自然体を装うほど不自然なことはない。特に、もてている時期の男が自然体を装って好感度を上げようとするほど、浅ましく愚かなことはない。
○女の子のナイトになれない奴が、いくら知識を身につけても無駄なことである。
○知識や考察というのは、ある大前提のその後に来るものではないのか。つまり、第一位の座を、常に、何か、もっと大きくて強いものに、譲り渡す程に控え目でなくてはならないのだ。
○ささやかなことに、満足感を味わう瞬間を重ねて行けば、それは、幸せなように思える。
○下がった眉は、常に、 信憑性 を奪うと思う。
○嫌いな音は、人間を狂気の世界に誘う。
○人が人を無責任な立場から裁くことなんて出来ない。そのことだけ解ってれば良い
○ぼくは、ぼくなりの価値判断の基準を作って行かなくてはならない。
○自然体ってこと自体、なんか 胡散臭い。自然体っていう演技している。本当は、自分だって、他の人とは違う何か特別なものを持っているって思っているくせに、優越感をいっぱい抱えているくせに、ぼんやりしている振りをして。あんたの方が、ずっと演技している。あんたは、すごく自由に見える。そこが、私は好きだった。
○人には、視線を受け止めるアンテナが付いている。他人からの視線、そして、自分自身からの視線。それを受けると、人は必ず媚という毒を結晶させる。毒をいかにして抜いて行くか。ぼくは、そのことを考えて行かなくてはならない。
○自分の時の流れは、水とは違い上に向いていたように思っていたが、どうやら錯覚である。
○生きていることは錯覚ばかり、とぼくは思ったけれども、残す空気は、形を持たずして、実感を作り上げるのだ。
○いつのまにか、着ている洋服が小さくなり過ぎているのに気付かなかったから破けてしまったらしい。いやはや、今さら繕っても仕方がないし、ぼろをまとってこのまま行く。
○煙をつかむのに手間をかけて何が悪い。 格好の悪いことでは決してないぞ。物質的なものなんぞ、死んだら終わりだ。それなら煙の方がましだ。
○過去は、どんな内容にせよ、笑うことが出来るものよ。
○自分の現在は、常に未来のためのものだ。 -
秀美みたいに鋭い感性を持った人間は、嫌なことも多いだろうなと思います。少し鈍感なくらいが、生きていく上では楽なのかもしれません。