稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則 (NHK出版新書) [Kindle]
- NHK出版 (2015年5月9日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (157ページ)
感想・レビュー・書評
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「まちを経営する」。「まちづくり」の第一線で活躍してきた著者が、人口減少と共に衰退の一途をたどる地方都市を "稼ぐまち" へ再生させるために必要なノウハウ(鉄則)を記した書。
著者が挙げる鉄則は、①小さく始めよ、②補助金を当てにするな、③「一蓮托生」のパートナーを見つけよう、④「全員の合意」は必要ない、⑤「先回り営業」で確実に回収、⑥「利益率」にとことんこだわれ、⑦「稼ぎ」を流失させるな、⑧「撤退ライン」は最初に決めておけ、⑨最初から専従者を雇うな、⑩「お金」農地ルールは厳格に、の10個。
中でも、②補助金を当てにするな、が肝のようだ。何てったって「補助金とは麻薬のようなもの」、「地域の問題を解決するどころか、かえって災いの元」、「愚策中の愚策」なのだから。著者は「しばしば、「補助金を当てにするな原理主義者」と呼ばれ」ているというから、逆に、補助金頼みの意識が世の中にそれだけ強いということなんだな。
国も地方自治体も盛んに補助金をばらまくが、そこには大義名分とは裏腹のドロドロした世界があるのは半ば常識(?)。なので、補助金施策を一刀両断する著者の言説、読んでいて気持ちよかった。それにしても、補助金で地方がうまく行ったケース、一つもないのかな??
「これからの時代には、「民間には高い公共意識」、「行政には高い経営意識」が求められている」、本当にその通りと思った。
地域の固陋な住民との軋轢など、苦労も多いだろうが、著者の仕事、やりがいがあって楽しそうだ。何だか羨ましい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
理想だけでまちづくりはできない。民間が行政に頼らず、自主的に活動する必要がある。そして小さく利益を取り始めるところから始める。
その際に必要なノウハウがこの本で紹介されている。 -
これも「地方創生」をテーマにした本。
こういうものはうまくいった例ばかりがクローズアップされがちで、個人的にはうまくいかなかった例を紹介してほしいなぁと思うことが多い。 -
日本版「繁栄のパラドクス」。助成金という麻薬に依存してしまう構造的欠陥とそこからの脱却にはお気軽なショートカットなど存在しない。
うまくまわっていた組織が助成金の注入により崩壊する様は生々しいものだが(まさにモチベーション3.0で描かれていることが現実に起きたのだ)、そこに依存してしまう自治体の気持ちもわからなくはない。
依存しないためにできることは本書に詰まっている。それを広く知ってもらい、また納得して行動してもらうことがなによりも肝要だと感じた。 -
・2/3 読了.なるほど、こういう取り組みをいろいろとやってる人達がいるのね.自分からひとつの町をおこしたいとは思ってないけど、こういう取り組みをやってる地域で自分のやりたいことで一役を担ったら面白そうだと思う.うまく立ち回れたら楽しいだろうな.どこか適当な場所が見つかるといいな.
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仕事の参考に。海外事業もインバウンド→地方みたいな流れでいろいろやれるよね、と。
まず、筆者が早稲田大学高等学院出身であるということで評価3割増し。引き続き我らが母校のレピュテーション強化に貢献いただきたく。
中身も「本気で自力でやって儲けないと続かんよ」とメッセージが明快。こういう当たり前のことを繰り返し強調せねばならないほど、他力本願、且つ採算以上に重要視されるお題目があるケースが多いということなのだろう。関係者が増えれば増えるほどそうなるよなあ。「そもそも、補助金メニューのモデルとなった成功事例には、補助金が入っていないからこそうまくいったケースが非常に多い」に納得。
また、安易なクラウドファンディング依存への批評も的確。そういうプロジェクトにはカネはあつまらないだろうけどね。
Kindleのハイライト状況を見ていても、かなり本気で読み込んでいる人が多いように見受けられたので、今後は「稼ぐまちの財務諸表」とか、もっと数字で語った実践編が出ることを期待。 -
筆者の言う通り、公より民間主導の方がうまくいくかも。公だと縛りが多いし。軌道に乗ってから、公を動かした方が効率がいいのかもしれない。