異文化理解力 ― 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養 [Kindle]
- 英治出版 (2015年8月22日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (329ページ)
感想・レビュー・書評
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時間を守るかルーズか、空気を読むか読まないか、平等主義か階層主義かなど、グローバル時代に様々な文化的背景を持つ人々と協働する際、普段は気づかない文化的差異を適切に把握し、対処するための要諦をまとめた一冊。
著者は、ビジネスにおいて特に文化的差異の影響を受けやすい8つの要素、すなわち①コミュニケーション(文脈重視or言語中心)、②ネガティブな評価(直接的or間接的)、③主張や説得(根拠や原理を先に示すor結論や応用を重視)、④リーダーシップ(平等主義or階層主義)、⑤意思決定(トップダウンor合意志向)、⑥信頼関係(タスクベースor人間関係ベース)、⑦見解の相違への対処(対立関係を許容or回避)、⑧時間の感覚(規律的or柔軟)を整理し、それぞれのディメンジョンに主要国をプロットしたものを「カルチャーマップ」と名付け、マップ上のギャップによってグローバルチームが陥りやすいトラブルを実例に基づいて解説する。
複数の要素に跨って各国の傾向をみえる化することで、例えば米国人はローコンテクストだがネガティブフィードバックは間接的に行う傾向があるとか、中国人と日本人は共に階層的だが、意思決定に関しては中国がトップダウンであるのに対し日本はボトムアップ型であるというように、単一の観点からしか見ない場合に起こりがちな誤解を回避できる。また、同じ傾向を持つ国同士でもその位置関係によって相手を見る目が変わる。例えばドイツ人はフランス人は時間にルーズだと感じる一方、ケニア人はフランス人は時間に厳しすぎると感じるかもしれない。このように自身の文化的特徴を自覚し、かつ相対的に評価することは、単一文化で暮らしている限り困難であり、ここで示されたマップの評価の科学的根拠は必ずしも明らかでないものの、著者らの豊富な経験談は、グローバル時代のチームビルディングにおいてリーダーが考慮すべき示唆に溢れている。 -
思いの外夢中になって読んだ。実用的なだけの本でなく単純に面白かった。
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ビジネス上の文化の違いをこれほど分かりやすく示した本は無いでしょう。
カルチャーマップの概念は日本人内のコミュニケーション、世代間のコミュニケーションであっても使えると思います。
収穫の多い本でした。 -
【岸本賢太】
様々な国や文化によって違う価値観やコミュニケーション方法が具体例と一緒に紹介されています。個人的にアメリカ人が他人と接する時のメタファーとして「桃」が使われていたのが印象的でした。(外は柔らかいので気さくに話せる、でも芯の部分は硬く深いところまでは立ち入らせない)逆はココナッツでした。 -
文化的背景の違う人々とコミュニケーションを取る際に理解しておくポイントが記載されている。例えば「日本人はハイコンテキスト、アメリカ人はローコンテキスト」など。人種ごとの一般的な解釈が、下記の軸で解説されてる。
・コミュニケーション(ハイコンテキスト、ローコンテキスト)
・評価(ネガティブフィードバックは直接か間接か)
・説得(原理か応用化か)
・リード(平等、階層)
・決断(合意志向、トップダウン)
・信頼(タスクベース、関係ベース)
・見解の相違(対立型、対立回避型)
・スケジューリング(直線的な時間、柔軟な時間)
この本は、人種の違いについて書かれているが、同じ人種(例えば日本人だけ)のチームでもその「性格の違い」にフォーカスすれば応用が可能。管理職となる人は一度は読んでみる価値がある。 -
自分たちの文化では、当たり前だと思っていることは当たり前じゃないことがある。別の見方があることを認識して、オープンに・明文化して議論することが大事であることを改めて学んだ。相手の文化をポジティブな言葉で表すことも意識したい
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自分は現状、海外の方と仕事をする機会は無いが、それでも様々な国の文化や考え方の特徴を知ることができて興味深かった。項目別に分析されている点が分かりやすい。
また、自分が自然に育ってきた日本文化の特徴を客観的に読むことができ、「たしかに」「あー、そういえばそうだな」と改め感じて面白かった。
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世界中のクライアントや、取引先や、同僚たちと効果的に働くためには、人間の性質や性格の違いを理解し、文化の違いを読み解く力が必要になっている。
ビジネスコミュニケーションにおいて、相手からの批判を人格攻撃と受け取らず、世界の未知の文化についてのみならず、自分自身の文化も知る機会としよう、ということを促す良書。
1. コミュニケーション:ローコンテクスト(明快)vsハイコンテクスト(婉曲)
2. 評価(ネガティブフィードバック):単刀直入vs間接的
3. 説得:原理優先vs応用優先、シビル・ロー(大陸法)vsコモン・ロー(判例法)
4. リーダーシップ:平等主義vs階層主義
5. 決断:合意志向vsトップダウン式
6. 信頼:タスクベース(cognitive trust)vs関係ベース(affective trust)
7. 見解の相違:対立型vs対立回避型
8. スケジューリング:直線的な時間vs柔軟な時間
「人間の文化は多岐にわたり、尽きることのない驚きと発見の源となり得る。それは、決して涸れることのない、素晴らしい経験と不断の学習の源泉なのだ。」
—-memo—-
2. 衝突を取り除くには、気付きと、オープンなコミュニケーションが役立つ。
6. 司法制度が安定していない国では、契約書にサインはできるが、支払いが行われなくても、それを強制する手立てはない。相手との関係が、先進国における司法制度がわりのセーフティネットとして機能している。
6. 信頼とは保険のようなものだ。実際の必要が生じる前に、あらかじめ投資をしておく必要がある。
7. 相手の文化的背景から、思考や行動の特徴を決めつけてはならない。
7. 病気が認識できれば、半分は治ったようなものである。