謎の放課後 学校の七不思議 (角川文庫) [Kindle]

制作 : 大森 望 
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感想・レビュー・書評

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  • 5人の作家による7つの物語。
    怖い話も不思議な話も。

    『学園諜報部SIA』
    ある生徒の持ち物がなくなった。
    しかも学校のあらゆるクラスから。
    取られたものはみんなバラバラ。
    犯人は一体誰で一体どんな目的で?
    この物語の犯人は哀れというしかない。
    知らない人の方が多いのだろうが、この結末を見たとき、胸が締め付けられそうになった。
    親族にそういった人がいるわけでもないし、周りでもいない(はずだ)。
    だが、この悲劇を見届けることで、少しでも理解が進んでくれることを祈りたい。

    『血塗られていない赤文字』
    今度は打って変わって1912年のイギリス。
    私立の全寮制男子中高一貫校。
    ここで起きた奇妙な事件。
    HELPと書かれた赤い文字。
    一体誰が?
    そして物がなくなる事件(あれ、また?)。
    これの結末ははてさて、どこに帰結するのか。
    ワーズワース4兄弟はとても魅力的。
    金髪碧眼、というだけではなく。
    さてさて、小さな大きな名探偵たち、この謎は解けるかな?

    『踊り場の花子』
    これは、『ふちなしのかがみ』に収められた物語。
    怖い。本当に怖い。
    階段の怪談。
    優しげに見える人が優しいとは限らないし、悪そうに見える人が悪いとは限らない。
    じっとりと滲み出る汗の描写が、寒気を連れてくる。
    私、あなたのこと知ってる、この言葉に罪人は恐れを抱く。
    私は悪くない、そう言っているうちは自分が悪いのだと自覚している。

    学校というのは小中高と私にとっては面白くない空間だった。
    初めて楽しいと思ったのが大学だった。
    しかし、夜、あるいは夕暮れ時、学校はいつも怖かった。
    なぜだろう?
    大学なんてずっと明かりがついてるじゃないか。
    1限、2限から飛んで6限、7限。
    講義はどれも楽しかった。
    けれども、真っ暗な中を一人帰る時、冷たい便座に座る時、学生がいない廊下を歩いていくのが怖かった。
    大きな鏡が怖かった。
    何もないし何もなかったのだが、想像がどんどん膨らんだ。
    今は?
    きっと、今も。

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