- Amazon.co.jp ・電子書籍 (229ページ)
感想・レビュー・書評
-
5人の作家による7つの物語。
怖い話も不思議な話も。
『学園諜報部SIA』
ある生徒の持ち物がなくなった。
しかも学校のあらゆるクラスから。
取られたものはみんなバラバラ。
犯人は一体誰で一体どんな目的で?
この物語の犯人は哀れというしかない。
知らない人の方が多いのだろうが、この結末を見たとき、胸が締め付けられそうになった。
親族にそういった人がいるわけでもないし、周りでもいない(はずだ)。
だが、この悲劇を見届けることで、少しでも理解が進んでくれることを祈りたい。
『血塗られていない赤文字』
今度は打って変わって1912年のイギリス。
私立の全寮制男子中高一貫校。
ここで起きた奇妙な事件。
HELPと書かれた赤い文字。
一体誰が?
そして物がなくなる事件(あれ、また?)。
これの結末ははてさて、どこに帰結するのか。
ワーズワース4兄弟はとても魅力的。
金髪碧眼、というだけではなく。
さてさて、小さな大きな名探偵たち、この謎は解けるかな?
『踊り場の花子』
これは、『ふちなしのかがみ』に収められた物語。
怖い。本当に怖い。
階段の怪談。
優しげに見える人が優しいとは限らないし、悪そうに見える人が悪いとは限らない。
じっとりと滲み出る汗の描写が、寒気を連れてくる。
私、あなたのこと知ってる、この言葉に罪人は恐れを抱く。
私は悪くない、そう言っているうちは自分が悪いのだと自覚している。
学校というのは小中高と私にとっては面白くない空間だった。
初めて楽しいと思ったのが大学だった。
しかし、夜、あるいは夕暮れ時、学校はいつも怖かった。
なぜだろう?
大学なんてずっと明かりがついてるじゃないか。
1限、2限から飛んで6限、7限。
講義はどれも楽しかった。
けれども、真っ暗な中を一人帰る時、冷たい便座に座る時、学生がいない廊下を歩いていくのが怖かった。
大きな鏡が怖かった。
何もないし何もなかったのだが、想像がどんどん膨らんだ。
今は?
きっと、今も。詳細をみるコメント0件をすべて表示