幸せな選択、不幸な選択──行動科学で最高の人生をデザインする (早川書房) [Kindle]
- 早川書房 (2015年8月25日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (355ページ)
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
幸せの定義 快楽とやりがいの持続 そこに集中する
-
気が付けば不本意な選択をしてしまっていることがよくある。自分が幸せになる選択をしたいのに、なぜ自分を幸せにしない選択をしてしまうことがあるのか?そんな問いに答えてくれるのではないだろうか、と思い本書を手に取った。
ロンドン・スクールオブ・エコノミクスの行動学教授が書いた本。内容的に「それは著者の主観では?」と思えるところもあったが、幸福というテーマにおいては、主観的なものが混ざってくるのは仕方ないのかもしれない。それを差し引いても、多くの示唆があった。
何かを始めたいが、自分の決断に自信が持てないときなどに再読したいと思った。
◆特に印象的だった考え
①幸福とは、快楽とやりがいが持続することである、という幸福の定義
-幸福について書いてある本でも、「そもそも幸福とは何か?」の定義をしていないことがよくある
-幸福度調査も、何を幸福と定義しているかによって答えが変わるので注意が必要
-子供を持つことは幸福か?快楽という指標で幸福をとらえると、子育ては苦痛が多いので不幸という答えが多くなる。しかりやりがいという指標で幸福をとらえると?
-快楽とやりがいを増やし、苦痛とやりがいのなさを減らすのが幸せになる選択
-快楽とやりがいのバランスにも気を配ろう
②私たちには一般に、実際に自分を幸せにしてくれるものではなく、幸せにしてくれるはずだと思っているものに注意を向けてしまう
-注意の配分
-注意を向けているものをより重要だと思い込む私たちの性質
③私たちの注意を奪い、偽りの幸せに邁進させるものはたくさんある。実際に自分を幸せにしてくれるものは何か?は実際の行動からフィードバックを得よう
-誤った願望、誤った予測、誤った思い込みが私たちの目を曇らせる
-実際の行動は、願望や予測や思い込みよりよっぽど信頼できる。だからフィードバックを得るために行動してしまったほうが早い。
-一日再構築法(DRM)で点数をつける
-経験する自己と評価する自己
◆抜き書き
私たちは一般に、実際に自分を幸せにしてくれるものではなく、幸せにしてくれるはずだと思っているものに注意を向けてしまう。
私は人生の意義を作り上げていくことよりも、生きている瞬間瞬間に意義があるかどうかに関心がある
生活の中のあらゆるものと同じように、あなたの注意は乏しい資源だ
幸福になるためのカギは、自分を幸福にしてくれるものに多くの注意を払い、そうでないものにはそれほど注意を向けないことだ
実際の経験は、自分の願望より信頼できるものだ。(略)実際の経験は、自分の予測より信頼できるものだ。(略)実際の経験は、自分の思い込みより信頼できるものだ。
あなたの幸福にどう影響するかを考慮していないアドバイスを退けることも学ばなければいけない
何かを達成したいという願望は特定の目標を達成する意味では役立つだろうが、それは同時に幸福というもっと重要な目標を犠牲にしているという事実を決して忘れてはならない
何事も、頭から離れてしまえば、思ったほど重要ではない
あるものが自分の幸福に大きく影響すると思っているのは、あなたがそれらに注意を集中させているからなのだ
一般的には控えめな期待をもつことが幸福になるためにはよいとされている
控えめな期待には、偽りの期待シンドロームを回避する意味合いもある
何が分別ある期待で、何がそうでないかを見極めるのは難しいが、自分が設定した目標に向かって努力を尽くす中で、少なくとも快楽とやりがいを経験することが大切だ
新しい経験に進んで挑戦するタイプの人は、自分の生活に対する満足度が高く、ポジティブな感情を多く経験している