- Amazon.co.jp ・電子書籍 (513ページ)
感想・レビュー・書評
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佐藤優氏の著作は、彼が実刑判決を受けて服役し、インテリジェンスの世界から離れて専業作家になったばかりの頃は随分読んだのだ。
しかしハッキリ言ってどう贔屓目に見てもトンデモ言説が目にあまる池上某とかいうインチキジャーナリストとつるむようになってからは、ガッカリすることが多い。
検察とのやりとりを記した、いわゆる国策捜査との対決も手に汗握る面白さなのだが、
なんと言っても彼が若き外交官時代、ソ連崩壊前後のモスクワのあれやこれやを、実際に目の前で体験したエピソードにはワクワクする。
共産党幹部、首脳部の名だたる要人達と懇意になり、その内幕や外国人にはまず見せるはずのない腹の底を聞き出す過程や、外交官から見た激動のモスクワの描写は、まるでスパイ小説を読んでるかの如く面白い。
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ふむ
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ロシア時代の回顧録
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「日本はまだ、ツキがある。」文庫本の解説にあった言葉だ。
あんな権力闘争に巻き込まれなければ、外務省で働き続けていたら、研究職について、論文でしか文章を書かなければ…佐藤優氏が本書や国家の罠を書くことは無かったのだ。これをツイていると言わずしてなんと言おう。
自分が何回生まれ変わろうが到達し得ない、経験と膨大な知識に感服しかない。
ただし、国益を損なう可能性ごある事からも、全ての事を公表出来ないし、そこに居合わせた他の外務省員からみたら、違った見え方や方便と断ずることもあるかもしれない。エンターテイメントとして盛ってることもあるかも知れないと、情報処理としては読まないといけないだろう。
それを差し引いても面白い。何年かに一度読みたくなる本。
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外交官として、佐藤優氏がソ連の崩壊についてどう経験していったかを記した内容。
また、ソ連の知識人、本書ではインテリ、との交流、知識教養をどう活かして国家を読むか、活動するか示唆している。
知識とは何か、それはどう活かし得るか、がとても参考になる。
抽象的な観念(自分はそう捉えていた)や、民族、宗教、これらが渾然として国家や主義が形成されており、ソ連を具体的な事例として、発展革命衰退するにあたり、新しいものが産まれていく過程が読み取れる。
佐藤優氏しかり、サーシャなど知識人が知識を活かして論戦する模様はとてもためになった。