棚橋弘至はなぜ新日本プロレスを変えることができたのか [Kindle]

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  • 飛鳥新社
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  • 燃える闘魂アントニオ猪木。

    イベントに彼が現れて「元気ですかーーーっ!!」と叫ぶだけで世界が一変する。

    彼が引退して20年以上の時が過ぎた。

    だが、闘魂は健在。

    日本中で彼を知らない人はいない程の有名人だ。

    彼が創立した新日本プロレス。

    彼の引退後、21世紀初頭、長い長い冬の時代が続いた。

    スター選手の相次ぐ離脱。

    格闘技ブームの煽り。

    そして、身内の暴露本。

    閑古鳥の鳴く会場で、選手たちは戦い続けた。


    著者は、1999年にデビュー。

    立命館大学3年生の時に、入門テストに合格していたが、当時の現場監督長州力から大学を卒業するように命ぜられて、1年遅れて入門。

    血のにじむような努力で修行に耐え抜き、デビュー。

    華やかなファイトスタイルと裏腹に、オールドファンからはブーイングが浴びせられた。

    若き日の「事件」のマイナスイメージもあった。

    「チャらい」
    「なめている」
    「こんなのストロングスタイルではない」

    誹謗中傷の嵐の中、彼は必死に腕を磨き、心と体を鍛え抜き、自ら営業の最前線に立って、ファンを獲得していく。

    いつまでも、地上波ゴールデンタイムで放映された時代を懐かしがっていてはいけない。

    やるべきことをやる。

    できることならなんでもやる。

    そして、会場にファンが戻り、熱が復活していく。


    著者はあるとき創始者猪木に尋ねた。

    「ストロングスタイルって何ですか?」

    「あれはまわりが勝手に言い出したんだよ」

    そして猪木は著者に問いかける。

    「オマエら、オレが作ったパイをいつまで取り合っているんだ!」

    「僕が新しいパイを持ってきます!」

    猪木はにっこりと笑ったという。


    老若男女が集うようになったプロレス会場。

    だがまだまだだ、と著者は語る。

    逆説的だが、地上波ゴールデンタイムでプロレスが放送されて、プロレスラーが国民的ヒーローになっていくことこそが、彼の目標だ。

    かつてプロレスが好きだった人も。

    一度もプロレスを見たことがない人も。

    今の新日本プロレスは、面白い。抜群に。

    会場に足を運んで見よう!

    #棚橋弘至
    #新日本プロレス
    #NJPW

  • 全然詳しく知らなかった棚橋を好きになった。
    完全に落ち目だった団体を背負って、どんな事にも明るく前向きに取り組む姿勢に感動した。

  • 2015年に書かれた本だが今見ても非常に興味深い。
    自分の乗っていた船が沈みゆく泥舟だったと気付いた時、今まで周囲にいた仲間が次々と去っていった時、自分ならどう考えどう振る舞うか?
    いずれ訪れる棚橋の幕引きのタイミングをしっかり見届けたいと思う。

  • 軽い文体でありながら覚悟の深さが伝わってくる。特に後半になるほどその傾向が高まる。

  •  2005年前後、暗黒期の新日本プロレス。あの時代の試合は本当にひどかった。大会で一番面白い試合は外部団体からのゲストの試合とか、本当にざらだった。2012年ころから新日本プロレスの業績は改善をしはじめる。その立役者の一人、ブーイングをうけつづけながらもIWGPヘビー級王者として、新日本プロレスを牽引し続けた著者である。

     目の前にいる古参マニアを相手にするのではなく、目標を新規開拓に絞った。沢山の観客を前にスポットライトを浴びて、華やかな世界ながらも、筋書きの有無の論争が付きまとうどうしても不透明な世界である特性上、どこかダークな部分が否めないプロレス。その不透明さすらを逆手に取り、リング上では勝敗を超越した存在感を作り出していった。ブログ、ネット、ラジオ、地方放送など、利用可能なありとあらゆるメディアに露出をし、自らの知名度を上げることで興業の動員を拡大していく。もちろん日々のトレーニングを欠かさず、圧倒的な肉体も作り上げる。

     本書のような文章力も、著者の牽引力の一つだろう。決して名文ではないし、名言金言の類の言葉があるわけではない。長文を一気に読ませる文章構造でもない。しかし、短いコラムをつなぎ合わせた本書は、プロレスラーが多忙な合間を縫って書いたと想像できるし、各コラムの起承転結も明快である。

     さすが棚橋!と思われるところは、2014年現在の所属レスラーのコメント。オカダに足らないところは圧倒的な肉体、内藤哲也には内省的な言葉ではなく振り切る必要性、柴田のスタイルは先が??と評している。バイプレイヤーたちも、KUSHIDA,渡辺高章、高橋裕次郎をとりあげ、YOSHI-HASHIは惜しいと言っている。2020年現在、そのすべてが正しかったことは新日本プロレスを見れば明白である。まあ、本のタイトルとはあんまり関係ないが。。。

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著者プロフィール

棚橋弘至
1976年岐阜県生まれ。立命館大学法学部時代にレスリングを始め、1999年新日本プロレスに入門。同年10月、デビュー。2003年に初代U-30無差別級王者となり、その後2006年に団体最高峰のベルトIWGPヘビー級王座を初戴冠。第56第IWGPヘビー級王者時代には、当時の歴代最多防衛記録である「V11」を達成した。プロレスラーとして活動する一方で、執筆のほかテレビ番組等にも多数出演。16年にはベストファーザー賞を受賞、18年には映画『パパはわるものチャンピオン』で映画初主演などプロレス界以外でも活躍している。著書に『カウント2.9から立ち上がれ』『棚橋弘至はなぜ新日本プロレスを変えることができたのか』ほか

「2022年 『その悩み、大胸筋で受けとめる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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