みずうみ [Kindle]

  • 幻冬舎
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感想・レビュー・書評

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  • なにをして生きていくにしても、これに似たことはこれからもたくさんあるだろうけれど、うまくいこうがいくまいが、いつだって、こうしてできるだけのことをすればいい。それでたまに吹いてくる甘い香りがする自由の風を吸い込もう。

  • アムリタを読んでゐたら、吉本さんのことばにもつと触れてゐたくなり、買い漁つてきた中の1冊。
    話がよくわからずまるで霧の中を進むかのやうに進む。登場人物たちの多くがあまり語られず、それぞれがベールに覆われてゐる。ひととひとが関はる時に、そんなはつきりとした状態で関はるといふことは、本当にフィクションの中でしかない。
    それがひとつの絵画をシンボルに少しずつ焦点があってくる。ぼけた映像がくつきりと結ばれるやうに。それでも背景のすべては見えてこない。ことばにしやうとしなくてもいい。ただ共にそばにゐることができるのなら。
    過去は決してなくなることはない。忘れることやなかつたことにして蓋をすることができたとしても。折に触れて靄のやうに立ち込めて自分の前に現れる。心に誰もが深いみずうみをたたへてゐる。確かあれは茨木のり子だつたか。夢でもまぼろしでもなく、ひとは心の底に深い深いみずうみをたたへてゐる。ひとが重ねた年齢の分だけ。培つてきた経験の分だけ。
    その底のすべてをのぞくことはできない。だけど、そのみずうみがあることを知つて汚さないやうに大切にすることはできる。それがたとへ、永遠のものでなかつたとしても、一時そのみずうみを守つてくれたことは、互ひのみずうみがまた静まり深く澄んだ水をたたへる新たな一滴となる。

  • 過去読書メモより。※過去メモではどうやら感想を言葉にしくかったようで→「みずうみ」というタイトルが作品の持つ雰囲気にぴったり、悲しくて優しくて少し凶暴で、愛がある。ばななさんはすごいな。 と書き残している。何年に読んだものかさっぱりわからないが、とある宗教団体に連れ去られ洗脳された過去のある男の子が出てくるらしく、その辺に読んだものだろうか。

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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