タブレットで読み始めたらなかなか進まなかったが、スマホで読みだしたら一気に読めた。
木曽義仲については倶利伽羅峠の戦で名を馳せたものの、田舎侍の礼節に欠ける乱暴狼藉ものという印象が強かった。今回読んだのは巴御前という女将に興味があったからなのだけれど、読み終わって義仲という人物が実は一本気の裏腹のない武勇に優れた知将ということが分かり見直すことになった。倶利伽羅峠での戦に大勝し、驕れ疎まれる平家追放の先陣先方をきりながら、諸家庶民の人気を得ることができなかったばかりか頼朝や行家といった血縁のある武将の策略にはめられ、また時の食糧飢饉という運の無さもあって宇治川の戦いに散ることとなる。
最後の最後まで巴御前は義仲のそばで戦い抜き、義仲と死を共にしようとするのだが、義仲に強く促されてその場を去ることになる。
あとがきに『ある一人の尼僧が義仲の死んだ地に草庵を結び供養に明け暮れた』とある。
源平の世も戦国時代も武勇伝以上にあわれとはかなさの織りなすドラマがちりばめられていると感じた。
いつか義仲の生きた軌跡、ゆかりの場所を訪ね歩きたいと思う。