- Amazon.co.jp ・電子書籍 (329ページ)
感想・レビュー・書評
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ブルデューについては昔デリダとの関連で少しかじっただけ。にもかかわらず、博論のアドヴァイザーを引き受けてしまい、改めて勉強を始めた。まずは本書から。
年が明けて3つ大きな目標を立てたのだが、早々に予定が狂いそうな予感。しかし一度きりの人生、"誤配"を優先することにしている。
ブルデューおよび社会学に詳しい必要はないと言うのだが私が無知であることで相手の研究にメリットがあるわけでもないため、あまりに無責任だと思い、また一抹の見栄からも、読み始めた次第。とりあえずノート20ページほどメモは取ったがまだ消化しきれていない。
著者はブルデューと交流があった人らしく、その著作の内容に関してのみならず、ブルデューの人となりについてもずいぶんと紙面を割いてある。
スペイン国境に近いフランスの農村に生まれ、着々とエリート街道を進んだブルデューには、しかし屈折した思いがあったようだ。そして少しだけ似た境遇であるデリダにはどこかライヴァル心を抱いていた。とはいえいずれにも共通しているのは、二項対立を逃れるためにはどうすればよいかという問題意識だ。
また、流動する知の枠組みを問うという意味では、フーコーとも問題を共有している。ブルデューはフーコーをあまりよく思っていなかったようだが。
しかし本書を読むかぎり、ブルデューの方が問題がより切実であるような気がする。「ハビトゥス」「界」「文化資本」といった概念には、彼自身の少し極端な生まれと育ち(少なくともその自己認識)が投影されている。
なんとなく、ブルデューの場合、彼の社会学を俯瞰するのもそこそこに、彼自身の著作に当たったほうが良いように思う。さっそく、未読の『ディスタンクシオン』をざっと読んでみよう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
選書メチエ+ブルデューの組み合わせということで。
なんとなく思想解説書の類よりは広範なものかと思っていたが、筆者がブルデューに対して「あれも出版したほうがいい」と述べていたり、あとがきにおいて仏文学者としての立ち位置から本著がいかに編まれたかを解説していたりと、同世代の研究者としての交友を踏まえ、それでいて専門の異なるがゆえに、後進の研究者などが陥りがちな学術研究対象としてのブルデューを信奉対象としてでなく、血と肉の通った存在として描き通すことが、筆者の目論見どおり叶っていると思われる。 -
ブルデューの解説本かと思って購入しましたが、ブルデューと親しくしていたフランス文学者でブルデューの著作を翻訳していた著者による(あとがきでも述べられているように)オマージュ本という立ち位置です。
とはいえ、第5章「ブルデュー社会学の理論的骨格」や終章「若い読者のために」は下手な社会学者よりもよほどブルデュー社会学の核心に迫った内容になっていると思います。
特にブルデューの生い立ちに依る文化資本からブルデューの研究に迫っている点はまさしくオマージュといえるでしょうか。 -
明快かつ愛情を感じる評論。
とても勉強になった。
やはりブルデューをしっかり読まないといけない。
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