共に生きるということ be humane 100年インタビュー [Kindle]
- PHP研究所 (2013年12月2日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (88ページ)
感想・レビュー・書評
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100年インタビューシリーズは、読みやすいのが特長なので、とりあえずざっくりとその人物を知りたい時にちょうどいい。
これは、緒方貞子さんの名言集と言ってもよく、
繰り返しこの言葉を味わいたい。
「難民条約は、難民という状況のもとにある人々を助けるのがそもそもの目的です。難民と同様の状況にありながら、現状が難民の定義に合わないために不合理な状況が生じているなら、やはり、原点に返って人の命を救う形の理屈づけをしなきゃならない。」(p42)
「文化的なもの、社会的な集団の長年にわたった「癖」や習慣等、違いがいろいろあるわけですね。その中で一番大きいのは、富の格差、生活様式の違い、あるいは宗教の違いで、そういうものを直していくのはなかなか難しいのです。でも、分かれようとして紛争を起こしたりしないですむようにするには、相違が助長されるような政策はとらないほうがいいだろうと思います。」(p95ボスニア紛争、ルワンダ内戦を振り返って)
「情報だけは行き交うが、、生活そのものは行き交ってないということがあるわけですね。インターネットでつながっていても、相手の本当のことは知らないんじゃないか、という気がするのです。
その背後にある暮らし方であるとか、願望であるとか、そういうものがわからない中で情報だけが行き交うと、ガバナンスのしようがない状況が出てくるんじゃないかと感じます。
どうやって人々が一定程度価値を共有できるのか。
価値を一定程度共有できて、初めて本当のコミュニケーションができるのです。
いまは逆になりましたからね。コミュニケーションだけして、共通の価値がない状況が出てくると、社会にとって恐ろしい害が生じる可能性もあるのではないでしょうか」(p98)
「国際貢献なんてね、そこに国際があって、私が何かあげます、というのではなくて、自分が中に入っているんですよ。国際の中に。だから、国際の中で暮らしているという現実から来る、責任分担じゃないんですか。」(p118)
日本の政治家だけでなく、トランプなどにも読ませてあげたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ヒューマニズムを大前提としたときに、リーダーはどう動くのか。緒方先生は、生命と尊厳を基準にした人としての姿勢を教えてくれる