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感想・レビュー・書評
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よそ様の日記を読むのは少々うしろめたい。ただこれは、SNSで公開されていたので、一般の人に読まれること前提で書かれたもの、だから、これは覗いているんじゃないぞと、確認しながら読む、と思ってしまうほど赤裸々で、しかしいやらしさがない。夫のこと、大変な子育て(ホントに大変!)、仕事、そして恋愛。彼女に対しての様々な批判は手に取るように見える。彼女はその批判も覚悟して、共感も求めていないように思える。これは彼女が彼女であるための日々。毎日、一生懸命親やって妻やってカメラマンやって友達としゃべって恋愛する。善し悪しで判断するものではない。私は私でしか生きられないんだからって叫びにも思える。本当にかなわない。彼女を支える友人の気持ちがなんとなくわかる。支えたくなる。なぜだろうなあ。自分の中にも、子どもができたから自動的に母親になるわけでなく、結婚したから自動的によい妻になれず・・・という記憶みたいなものがあるのかも。この日記も魂の叫びなのかな。私には何かうらやましさも感じるのでした。自分を晒すのも才能だわなあ。続きもよも~。
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おもしろい、とは言えない。それは、生きるのはおもしろいか、という問いに対する逡巡と似ている。
もし選ぶことができたなら、私は生まれることを望むだろうか。
植本さんの文は正直で、だからその身勝手さや不安、衝動が生々しい。彼女が、こういう状況であると分かっている、自分の何が問題なのか分かっている、と書くたびに「わかってないよ!」と言いたくなる。断定した文にこそ予断が入っており、また足がつまづくんじゃないかと思ってしまう。
本書は正しく「日記」である。永遠に寄り添って生きる運命だからこそ自分だけに晒す、抜き身の自分が立ち現れる場所。ブログという形態でありながら、ここまで赤裸々な文を書けることが、この人の作家性の一部だろう。自分が嫌いで、他人に許されることで安心したいのに、反面、他人が自分の振る舞いをどう感じるのかはあまり興味がないように見受けられた。
この本は賛否両論?あるようだが、批判する意図がよく分からない。子供への態度、家庭への倦み、情緒の不安定さ。書かれたものが心地よいとは言えないけれど、日記って、こういうものじゃないの? 何を期待してこの本を読んだのだろう。
上記のような感想です。おもしろいとは言わないけれど、秀逸な日記です。