- Amazon.co.jp ・電子書籍 (177ページ)
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
【要約】
(はじめに)
●書評家として活躍し、1か月に60冊以上のペースで書評を書いている著者も、かつては1ページを読むのに5分弱かかる「遅読家」だった。
●著者がそれらを克服したのは、本を読む行為についての発想を転換させたからである。速読術を身につけたからではない。
●現状の読書量や読む早さに不満を感じている人に役立つ考え方をこの1冊にまとめた。
(1章「なぜ読むのが遅いのか?」)
●本の内容を覚えることを前提とした読書ほど無駄なものはない。
●本を読むのが早い人と遅い人がいる、というよりも「熟読の(しなければならないという)呪縛」に囚われている人と自由な人がいると考えるべきだ。
●そもそも、いくら熟読をしたところで、内容の大半は忘れるものだ。
●読書の真の価値は、書かれていることを頭に写しとることではなく、価値のある1%や一節に出会うことにある。
(2章「なぜ読む時間がないのか?」)
●本を読みたいのに読めない人は、読書を生活リズムに取り込むのに失敗している。
●習慣づけのための3ステップ
①毎日同じ時間に読む。オススメは朝。
②ストーリーの筋があり飛ばし読みできない本ではなく、どこから読んでも相応の価値のある本を選ぶ、
③昨日とは違う本を読む。1冊の本にかかりきりになると読書の密度が下がる。
(3章「なぜ読んでも忘れるのか?」)
●息を吸うだけでは苦しくなるのと同じように、本も、読むだけでは苦しくなる。本の中身を頭にコピーしようとするのではなく、読書を通じて得たものを書くことを前提とした読書をすべきだ。
●具体的には、「おいしいところ」をA4の紙に箇条書きして、最高の一文を選ぼう。
●読書が1冊中のその1文と出会うための作業に変わるとき、読書は宝探しに変わる。
●1冊のエッセンスとなる1文がエッセンスとなる理由を併せて書き留めておけば、1行の感想で1冊分の記憶が喚起され、読書体験や内容が記憶に残りやすくなる。
(4章「流し読みにもルールがある」)
●小見出しを読んで、自分に必要な内容かどうか判断しよう。
●概ね流し読みしても問題ない(大筋を見失いにくい)のは著者の自分語り、具体例、期待や危機感を煽る表現である。
●読書スピードを高めるポイントは以下の4つ。
①導入部分や目次を読んで、自分に必要な本か取捨選択する。
②各ユニットの最初と最後の5行だけ読んで全体の内容を想像する。
③見逃したくないキーワードに着目して読む。
④読むスピードに緩急をつける。常に一定だと遅く感じられるので、重要度に応じてメリハリをつける。
●線やマーカーを引いても覚えない。重要な1節を書き出し(ワンラインサンプリング)、1冊の中の最重要の1節(エッセンス)を選び、簡潔な感想(レビュー)を残すアウトプットを通じて記憶に残る読書をしよう。
(5章「本とどう出会い、どう別れるか」)
→選書や管理については関心が薄いので省略
【感想】
1 本書を手にとった理由
私が本格的に読書をし始めたのは三十代の 頃からだ。未成年の頃は、自分に合う本を探す工夫が足りなかったため、読もうとはしていたが挫折を繰り返すうちに本を敬遠するようになった。国家試験への挑戦に捧げた二十代で本を 読まざるを得ない生活を送ったことで、法律専門書に比べれば読みやすいビジネス書の面白さを三十代で知ったというわけだ。
それにしても「読む遅さ問題」はなかなか克服されず、定期的に読書論や読書法の本に助けを求めるようになった。本書は、その中でも特に腹落ちした1冊だ。
2 「熟読に意味はない」という著者の主張の衝撃
よく理解できない部分は、理解できるように時間をかけて読む、つまり熟読すべきだ。
しかし、いくら熟読しても大半はいつか忘れるというのは、言われてみれば当然なのだが、私は今まで、そんな当たり前のことに向き合わずに読書をしてきてしまった。
何でもかんでもクソ真面目に読もうとしてしまう。
それが、私の読む遅さの元凶なのだと知った。
もっと早くに気づけていればとも思うが、今気づけたことを幸いとしよう。
どうせ読んだ大半は忘れるのだから熟読に意味はない、本当に価値のある1節を探そう、出会おうというのが、私にとっての本書のエッセンスだ。
3 「エッセンス」を探す作業を加えることで、読書が効率 的になる不思議
読書の重要な知識を効率よく得たいというのが、一般的な読者の望みだろう。それは私も変わらない。
効率的に読むことを考えれば、アウトプットなどするのは効率を下げるのではないかと思ってしまう。
しかし、著者によると逆だというのだ。
エッセンスとなる1節に出会うため、キーセンテンスを書き出し、それらの中から優勝者となる1節を選抜する作業が、読書による学習効果を飛躍的に高めるという。
確かに、単に線を引いたりしても、どこがどう重要と思ったのかまでは残せない。
読書を自分の血肉にするためには、アウトプットが欠かせない。
このレビューを始めたのは、読書におけるアウトプットの不可欠性に気づいたからだが、本書はその認識を確信レベルに高めてくれた。
あらゆる虹彩を放つ宝の一節に出会い、知的興奮で満たされる一瞬のために、読者の教えを実践して次の1冊を開こうと思う。 -
自分では遅読とは思っていなかったが、かなりの部分当てはまった。1冊の読書に過度な期待を抱きすぎだったかもしれない。
1%の価値を見出すために、どんどん読書していきたい。
やはりアウトプット。呼吸するように。
どんどん捨てて、新しい出会いに期待したい! -
本書も一種の「速読術」なのだが、タイトルのつけ方がうまい。読みやすいので、すぐ読み終わる。
アウトプットを入れることで、受け身の読書から主体的な読書へ。情報の洪水に流されるのではなく、情報をコントロールしながらコミットしていくのが知的作業の要諦と思う。 -
遅読の人の読書に対する考え方の傾向、読書の習慣化のコツに関してはとても参考になった。
ただ早く読める本を積極的に選ぶ理由には納得できたのだが、読みやすさ基準で本をセレクトしていくのも小さいストレスになるのではと思った。
そのために筆者は同時に数種類読むのを推奨してるのだろうが、余計に1日一冊のハードルが上がる気もする。
とりあえずフローリーディングの読み方を定着させようと思う。 -
「本を読むのが遅くて悩んでいる……」という方におすすめの1冊です。
『遅読家のための読書術』著者の印南敦史(いんなみ あつし)氏も、1ページ読むのに5分弱もかかる遅読家です。
しかし印南氏は「書評家」として、月60本近くのブックレビューを寄稿しています。
どうして遅読家の印南氏が、月60本近くのブックレビューを書けるのか?
本書にはその秘密が掲載されています。
『遅読家のための読書術』のポイントとなっているのが「1ライン」。
3種類の「1ライン」に重点を置くことで、遅読家でも多読ができるようになっています。
私もどちらかというと遅読家だったため、『遅読家のための読書術』を読んだ際は目から鱗が落ちたようでした。
「読むのが遅いのに、たくさん本を読まないといけない」と切羽詰まっている方は、ぜひ『遅読家のための読書術』を読んでみてください。 -
自分にとっての神本。読みつぶした。
-
これまで、自分は本を読むのが遅いと思う反面、本当に遅いのかだろうかともモヤモヤとしていましたが、この本のおかげで自分の傾向がよく分かりました。(この本に直接書いていることではありませんが。)
1. 面白い小説 →面白いので一気に読むのでとても速く読める
2. つまらない小説 →とても間が空いてストーリーを忘れてしまうのでとても時間がかかる
3. 内容の薄いビジネス書 →簡単なのでスイスイ読めるので速く読める。ただいつも読み終えた後に得るものはなかったなと思う。(私はホリエモン系の本と呼んでいます)
4. 内容の濃いビジネス書(or 濃いと見せかけているビジネス書)→難しい(or そのように見せかけている)ので時間がかかる。
この本は、ビジネス書をいかに速く読むかということについて書かれていましたが、自分は3については無意識にこの本の読み方をしていると思いました。今後は4についても同様の読み方をすれば速く読むことができると分かったのがとても有益でした。
今度小難しいフリをしてるっぽい本で試してみようと思います。(少し前に流行ったシン・ニホンという本に目を付けています。)
ちなみに、この本自体は3に分類されますね。。 -
読むことと書くことは呼吸のようなもの。吸い続けて苦しいなら、吐けばいい。