あしたも、こはるびより。 [Kindle]

  • 主婦と生活社
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感想・レビュー・書評

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    正直そんなに期待をして読み始めた本ではありませんでした。ですが、文章も内容も穏やかで、写真も美しくて。つばたさんがなさっているお暮らしぶりは、正直愛知でも、ここまでなさる方がおいでかどうか…という。見事なほど『手と身体と、知恵を使う』もので、都会ぐらしの私が、おいそれと出来るものではないです。

    田舎暮らしに憧れた人が、地方に飛び込んでやる、カントリーライフとも違うし。もともと、きちんと計画的に練った、身についた生活ぶりが、長い時間を経て、実ったものと思います。参考にするとか、実行に移せなくても、けれどこれは、出版して残す値打ちがあると判断されるのも、納得でした。21世紀の今でも、こういう暮らしぶりが残っている。

    しかも、全然古臭くなくて、おしゃれで、豊かで。知る値打ちのある、ひとつの人生の物語が、そこにあります。ご夫妻の才能の豊かさ、衰えのなさ、何より、睦まじさ。『しゅうたん』『英子さん』と呼び合う中に。お互いの不得意を責めたり、やってあげている、というのではなくて、得意なことをぞれぞれがやって、尊重したり感謝している。

    これはなかなか出来ないことです。つい、自分のやっていることを、『たまにはあなたが、私の(僕の)やってることもしてくれたらいいのに』と言いたくなるのに。たぶん、どちらも均等に、頑張っているから、不満がでないのでしょうね。もちろん、相手の領分のことだって、他人事にはしていないでしょうし。

    …自分の至らなさ、相手との冷たさに、涙が出そうになりました。別れるのが偉いわけではないです。誰だってこうありたい。『まあいいや』と流しても、それは、明日になればまた、笑って、お二人で一緒に暮らしを作っていくという信頼感があるからこそです。

    一緒に暮らそうかと言ってくれた人たちに、ついぞ私はこういうおおらかさは持てず、根っこでは、揃って几帳面で細やかなおふたりのようになれなくて、ただの口うるさい女にしかなれませんでした。話がずれましたね。

    そういう私が読んでも、少しも嫌な感じを受けない、暖かくて楽しい本でした。美味しそうなお料理の写真やお話が満載なので、ご注意を。キッチンで、手のかかった煮物を作りたくなりましたから。それにしても、チーズクラッカーも、鮮やかな野菜料理も見事なこと!楽しい読書でした。

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著者プロフィール

1928-2018年。愛知県半田の200年以上続く造り酒屋で育ち、50年、しゅういち氏と結婚。キッチンガーデナーとして大地に根ざしたていねいな暮らしを実践。夫婦の共著として『ききがたり ときをためる暮らし』(自然食通信社)『なつかしい未来のライフスタイル』『キラリと、おしゃれ』(ミネルヴァ書房)『ひでこさんのたからもの』(主婦と生活社)他がある。2018年6月、しゅういち氏のもとに逝く。前日までふだんの日常を過ごす。享年90歳。

「2016年 『ふたりから ひとり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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