BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女 上 (創元SF文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • ビブリオとは本を意味します。本を通して人と人とを繋ぎ、人と知識を繋ぐ知的ゲーム、それがビブリオバトル。
    数人の発表者が、それぞれ自分の推薦したい本を持ちより、5分間の限られた持ち時間でその魅力を語ります。その中から、参加者全員の投票で、最も読みたい本、チャンプ本が決定します。
    そんなビブリオバトルに青春を懸ける学生たちを描いた心踊る小説。


    好きなものを熱く語る人たちを見るのは楽しい。それが本でなくても、音楽でも漫画でも映画でもスポーツの話でも。
    自分だけの『好き』を語る人たちはみんないい顔をして魅力的に見えるし、
    その人の『好き』のラインナップを知り
    『好き』の理由を知ることで
    その人が何故今の性格になったのかや
    その人を構成するものがなにかを垣間見ることができます。

    この小説の面白さはまさにその部分で
    自分の好きを熱く語る登場人物たちに知らず知らずに惹かれていくのが心地いいのと、
    ビブリオバトルがテーマだけに本好きならたまらない沢山のオススメ本が実名で登場するところ。

    エドモンド・ハミルトンの『フェッセンデンの宇宙』『キャプテン・フューチャー』、
    エドガー・ライス・バローズの『火星』シリーズ、
    ブレイク前の松本零士がイラストを手掛けていたC・L・ムーアの『ノースウエスト・スミス』シリーズ、
    石森章太郎が表紙絵を手掛けたフランク・ハーバートの『デューン/砂の惑星①』、
    ザビーネ・キューグラーの『ジャングルの子』、
    「探偵!ナイトスクープ」という人気番組から生まれた松本修の『全国アホ・バカ分布考』、
    漫画「巨人の星」の消える魔球、大リーグボールの謎に迫った都筑卓司の『不確定性原理』、
    今本淳の写真集『ウミウシ 不思議ないきもの』、
    テレビ放送最終回から13年後の世界を描いた荒川稔久の『小説 仮面ライダークウガ』、
    などなど物語の中で紹介されるバラエティーに富んだ本のラインナップに
    もうヨダレたらたら。
    本を愛するブクログユーザーなら読みたい本が増えること間違いなし!


    また本文でビブリオバトル部の部長が言う、
    『今現在、名作と呼ばれるものはたまたま一部の人間が発見して広めたものにすぎない。ビブリオバトルとは本の価値を決めてきた特権階級から
    個人の手に、本の評価を取り戻す試みなのだ』
    には共感同感。

    まだまだなんの評価もくだされず、埋もれ
    ていってしまう本は数多いし、
    ベストセラーやロングセラーだけがいい本で
    読まれるべき本なのだろうか。

    一般には知られてなくても、評論家から無視されてても、
    自分が面白い、これはスゴいと思った本こそが、自分にとっての名著であり、名作なんだと思う。


    主人公の少女は初めてのビブリオバトルでこれでもかと打ちのめされます。
    あれほど本が好きで
    好きなものを語る場所がずっと欲しかったのに、
    終始ストーリーの解説に追われ、
    なぜ自分はその本やその題材が好きなのかということをまったくと言っていいほど語れずに勝負は終わってしまう。
    そこから主人公がリベンジを誓い這い上がっていく様は
    本が好きで『好き』を語る喜びを知っている者であれば
    誰もが惹きつけられ応援したくなるハズ。

    NHKなんかで映像化しても面白いかもな~。

  • Kindle Unlimited。
    読友の「Taka」さんのレビューを読んで面白そうだったので読んでみた。
    単なる小説ではなく、書評としても読める。
    ビブリオバトルに出てきた本を、読みたくなってくる。
    BB部の蔵書に、読んだことのある本が1冊もなかった。タイトルだけで興味深い本がたくさん。
    続きも読もう。

  • 長らく最新巻が出てないことにシビレを切らしつつ最初から読み直す。こんなにビブリオバトルを紙面上で生き生きと描き、それでいて小説としての楽しさが少しも損なわれていない作品は天晴。自分でもやりたくなるし、バトルで紹介された本は読みたくなるし、各人物たちのことは気になるし。第1巻の上巻は、まあ触り。下巻はいよいよ主人公の一人、伏木空のビブリオバトルデビュー戦。

  • 良い意味で、ベッタベタのジュブナイル青春小説。

    主人公の2人(伏木空、埋火武人)やそれを取り巻く人々のキャラクターと人間模様、「ビブリオバトル」を中心に展開するストーリー。
    ジュブナイル小説とはいえ、そこは作者の力量。グイグイ読ませます。一気に読了しました。そして、私のようなおっさんが読んでも、読後には、心に懐かしく、爽やかな風が吹いたように感じました。

    「ビブリオバトル」で紹介された本を読みたくなります。
    「小学4年生の世界平和」「不確定性原理」
    どこかで必ず読もう。

  • ビブリオバトルに興味があったので読んでみました。
    登場人物の名前に、キラキラネームが多くて少し抵抗がありましたが、メインのビブリオバトルが繰り広げられる場面は、いろいろな本が登場して面白かったです。

  • 文庫版で読みました。
    何気なく読み始めて、ほとんど一気読みでした。
    バトルなんですね。ワクワクしました。
    高校生ぐらいの頃、とにかくSFが読みたかった頃を思い出しました。

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著者プロフィール

元神戸大学教授

「2023年 『民事訴訟法〔第4版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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