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- / ISBN・EAN: 4988031158135
感想・レビュー・書評
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昨日、ブラームスのピアノ協奏曲で聴いたピアニスト、ツィメルマンによるショパンのバラード集。ツィメルマンはポーランド人であり、ショパン・コンクール優勝経験者であり、ショパン没後150年の時にポーランド祝祭管弦楽団を設立してショパンのピアノ協奏曲公演をポーランドやアメリカで行ったそうだ。
そういえば、ショパンもポーランド人。ポーランドというとアウシュヴィッツのこととか悲しい歴史を思い出してしまうのだが、ポーランドにはこんなにキラキラした音楽があったのだな。たとえ、国が廃墟となっても心の故郷となる音楽はその国の人に受け継がれた大切な遺産だ。
ウィキの情報によるとツィメルマンは若い頃、ポーランドでの物資の調達が困難であったので、ピアノ部品の制作、修理を自分で一から手作業で行わなければならなかったらしい。そのことにより、ピアノの構造、素材に対する知識が培われ、今でもコンサート前にはレパートリーに合わせて自己の所有するピアノを自分で入念に調整するらしい。すごいな。プロ中のプロだ。クラシックの音楽家になるのも東大に入るのも一部の恵まれた人に開かれた道だと思っていたが、与えられたギフト(=才能)を見出すのも磨くのも愛だ。
愛のある演奏だった。
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ツィメルマンの音がとにかく好き。降りそそぐ陽射しのような明るい音。
どのバラードも、長調だろうが短調だろうが、精神的にとても健康に聴こえて良い。
しばしばその曲にこめられた"感情"などがショパンの人生を参照しながら語られるけど、ツィメルマンの演奏はとにかく、そんなことは無視して彼の好きな音を出したいという意図がずっと感じられる。
というかすぐれたピアニストはみなそうだ。
ショパンの曲は、ジョルジュ・サンドがどうこうとか、祖国ポーランドがどうこうとか、伝記的な事柄を参照しながらそれらしく演奏されると、ちょっと困る。
聴く側からすれば、とくにショパン好きでもなければ、そんな伝記的事実はしょうじきどうでもいい。
ただただ彼の曲を聴く限りではほんとに展開が冗長だなと感じることが多い。その点、ツィメルマンの明るい、いささか突飛な演奏は、そんな印象を演奏で補ってくれてる感じがする。 -
1. バラード 第1番 ト短調 作品23
2. バラード 第2番 ヘ長調 作品38
3. バラード 第3番 変イ長調 作品47
4. バラード 第4番 ヘ短調 作品52
5. 舟歌 嬰ヘ長調 作品60
6. 幻想曲 ヘ短調 作品49