大阪府より東京都に上京して勤め、人間関係の希薄な寂しさに耐える歌が多い。
引用しなかったけれども、サボテンの他の2つの名前は、仙人掌と覇王樹だろうか。
珍しく、つつましいユーモアの歌もある。女性の好意に気づきながら、応えられない、実行に移れない所がある。
図書館に勤めるとあるが、会社員でなくても、僕には大都会暮らしはとても出来なかっただろう。
跋で東直子さんが引く歌と、僕がノートにメモした歌と、全く重ならなくて、理由がわからない。
あとがきの末近く、「きっともう大丈夫。切なくなっても大丈夫。」とあり、短歌の力を自覚した、常に短歌を意識する、歌人のようだ。
歌集の題名は、時代相を表わすものと受け取った。