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恋人の夜刀(やと)が俺を鬼にしようとしている――!? 鬼使いの鴇守(ときもり)は、相棒の鬼・夜刀の企みに気づき愕然!! 今までにない鴇守の怒りに、夜刀は激しくうろたえる。そんな時、京に人食い怨霊が出現し、一族存亡の危機に!! 気まずいまま夜刀を使役するが、鴇守は戦いの中成果をあげ、次第に皆に認められる当主候補になっていき!? 永遠の時を生きる鬼と、儚い命を紡ぐ人間の異種恋愛譚、衝撃の完結!!
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夜刀が鴇守を鬼にしようとした気持ちはすごくわかる。先に逝くより後に残される方が何倍もつらいと思うから、寿命の異なる異種恋愛譚っていつもそこが気になるんだよね。片方だけがどんどん年老いていくというのもなんだかなあって…。
人を食べる鬼になりたくない鴇守の気持ちもわかるけど、夜刀の願い通りに鬼になることを拒みつつも、そばにいてほしい、助けてほしいと夜刀を振り回す鴇守こそ、自分勝手じゃないかと思ったりもした。鬼には鬼の理屈があるだろうに、そんな鴇守の意思を尊重して鴇守を助ける夜刀のワンコぶりが健気。
夜刀が勝手に鴇守を鬼にしようとしたことが露見して、鴇守はもちろん激怒するし、二人の間はギクシャクするけれども、それでも互いにいっしょにいたい思いは変わらなくて、夜刀はワンコな男前だし、先がどうなるかハラハラしながらも、二人のラブっぷりには安心していられたし、結末も納得がいくものだったし、すごくおもしろかった。
忘れてはいけない、右恭が良い仕事をしていた。当て馬ではないけれども、鴇守を自分の主として傍らにいようとするところは夜刀のライバル的な存在だし、有能な修復師としての仕事っぷりも、この話には欠かせないものだったし、最後のエピローグもよかった。