残念な政治家を選ばない技術~「選挙リテラシー」入門~ (光文社新書) [Kindle]

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  • 以前、選挙に関するブログを書いた。
    
    https://bc-liber.com/blogs/25ae5ce816fa
    リベログ

    【緩募】選挙の情報源知りたいです

    こば
    04/05 19:45
    

    今回は、そもそも選挙のことをよくわかってないな、ということで手に取った本の紹介。
    著者は選挙ドットコムを運営している選挙プランナーの方。
    Kindle unlimitedで読めます。
    

    「選挙リテラシー」入門とあるように、かなり基礎的な内容から説明されていて、初学者向けという感じ。

    多少は習った気もするけど、知らないことも多かったので、以下に要約してみる。
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    ■基礎的なこと
    ・ほぼ毎週、日本のどこかでは何かしらの選挙が行われている。
    ・国政選挙と地方選挙を合わせると、日本で1年に行われる選挙の数は平均すると約900件。

    〇政治家の種類
    各地域には「長」と「議員」の2種類の政治家が存在する。
    国会には「議員」しかいない。
    


    〇供託金
    選挙は供託金(エントリー代)だけでお金がかかる。
    
    日本の供託金は世界一高いと言われている。
    「売名目的の立候補」を防ぐという明目だが、実際に抑止力になっているかは疑問。
    逆に若い人の参入障壁になったり、資金力のない政党が不利になっている側面がある。

    ■地方選挙
    地方政治は、条例の制定、各自治体における予算配分など、その地域独自の課題の解決や、発展に関する政策を行ったりする。

    〇市町村長選挙
    予算案を考え、実行に移すのが仕事。議決を拒否し再議を要求できる。
    現職が続投するケースが圧倒的に多い。
    「現職がそのまま続けていいか」を考える。

    〇市町村議会議員選挙
    首長の案をチェックし、実行していいか判断するのが仕事。
    首長に対して不信任の議決を出すことができる。
    「自分の代弁者としてふさわしい人物がいるかどうか」、や「メンバーの構成」を考える。若い議員や女性議員はまだまだ少ない。
    首長の案をチェックする役割なので、首長にべったりすぎるのはよくない。

    〇都道府県知事選挙
    市長村長を企業の社長とするなら、知事はグループ企業の会長。
    基本的には各社に裁量を任せつつ、グループ全体の利益になるよう調整したり要所要所で大きな決断をしたりする。
    国との交渉も大事なので、「国とのパイプ」も大きな武器になる。

    〇都道府県議会議員選挙
    県内に複数の選挙区を設け、そこから1~数名選ばれる。
    「選出選挙区の代表として、選挙区の住民の声をふまえた上で県政に取り組む」のが仕事。

    ■国政選挙
    予算編成、他国との条約締結、法律の制定を行う。
    特に法律の制定は重要で、国会議員は英語で「Lawmaker」と言う。

    〇衆議院=大「衆」の代わりに「議」論する「院」
    4年が任期だが、実際は解散による総選挙があるため、平均すると2年半おきに選挙がある。
    頻繁に選挙を行うことで、民意との距離を近くしている。
    民意が反映されやすいので、参議院より立場は優位。
    一方で、民意に阿り、ポピュリズムに陥りやすい。
    小選挙区選挙+比例代表選挙。
    「自分の選挙区の得ばかりPR」する候補者は、本来は不適切。

    〇参議院=衆議院の「議」論に「参」画する「院」
    解散がないため、一つの議題について腰を据えて議論をしやすい。
    一方で、解散がないことでのんびりしすぎてしまう危険性もある。
    選挙区選挙+比例代表選挙。
    じっくり議題に取り組める候補者がよい。

    ■公職選挙法
    選挙に関するすべてを規定。
    1950年制定。
    古い法律であり、現実に即しておらず、過去の判例の蓄積により複雑化。

    〇例1:選挙事務所に来た客に、みかんを出すのはOKだがケーキを出すとNG。
    (昔はケーキはぜいたく品だったため?)

    〇例2:選挙カーでは名前の連呼しか許されてない。
    (演説は違反対象。選挙カーが来ないことでクレームが来ることもあり、やらないわけにもいかない)

    とはいえ、少しずつ改善も見られる。
    ネット選挙の解禁(2013年)、18歳選挙権解禁(2016年)など。

    ■その他
    〇投票率低下
    「都市部」よりも「都市部以外」の方が著しい。
    これはおそらく高齢化により投票に行きたくてもいけない人が増えたのではと推測されている。
    →今後は若年層の影響力が相対的に増すかも?

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    以下、雑感。

    家入一真さんという方の選挙にかかわったときのことが第7章で書かれている。
     家入選挙最大の暴挙――いや冒険は、「政策を、自分では考えなかったこと」です。彼は、政策を何も持たずに出馬したとんでもない候補者でした。  
     しかし彼はその代わりに、「有権者」にそれを問いかけました。自分にゼロから政策を考える力はない、だからみなさんの意見をもとにつくりますと宣言し、ツイッターのハッシュタグ機能を使って、政策に対する意見や要望を集めたのです。選挙史上初めての試みでしたが、それによって集まったコメントはなんと約4万件。
    (Kindle位置No2410)

    そんな彼の姿勢を、著者は「弱いリーダー」と評する。
    「俺についてこい」と強気に出てくれる人がわかりやすい支持を得る一方、「自分も頑張るけど、みんなも支えてくれ」と弱みをさらけだしてくれるリーダーにも一定の共感が集まった。 
    (Kindle位置No2464)

    ルフィのセリフを思い出した。
    

    (ONE PIECE 10巻)

    僕も、診療所の管理者をしていた頃は、「弱いリーダー」だった。
    過剰に自己肯定するのも違うとは思うが、弱いリーダーシップも悪くはない、と改めて思った。

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