マジカル・ガール [Blu-ray]

監督 : カルロス・ベルムト 
出演 : ホセ・サクリスタン  ルシア・ポジャン  バルバラ・レニー  エリザベト・ヘラベルト 
  • バップ
3.46
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988021714686

感想・レビュー・書評

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  • 日本のアニメ文化に影響を受けた作品、とあらば、もっとポップでファンタジックかと思いきや、タイトルとは逆を行くようなダークでブラックな内容。むしろ、日本のアニメというモチーフを、こういう脱臼させたような使い方をしているのが面白いし、新鮮である。

    はじめは、病状が思わしくない白血病の女の子と、子を思う父親の、ヒューマンドラマ的な雰囲気を漂わせるも、バルバラが登場する段からダークな影が差し始め、終盤の展開はもはやサイコスリラー。色合いがガラッと変わる展開の変化はあるものの、はじめ離散的だった登場人物たちの動線が徐々に交わっていく構成が巧みで、色合いの変化に違和感を感じさせない。どうしようもなく悲劇的なラストが待っているが、オチは見事だと思う。ただ、すごくバッドエンドなので、そこは好き嫌いが分かれるところかもしれない。

    タイトルがどこか意味深であるように、人物については、特にバルバラとダミアン、バルバラが裏仕事を求めて訪れた屋敷の女性、この3人の、簡単には咀嚼できなさそうな、見えないディープな部分が、なんともいえない魅力を醸し出している。
    ただ、ダミアンに関しては、時系列がちょっとわかりにくい構成なのが気になる。ダミアンとバルバラの関係は、もう少ししっかり描いても良さそうな気がした。そこにもやっと感が出てしまったのが、個人的には気になった点ではあるが、映像全体にセンスを感じる作品でした。

  • いや〜これも星3.5かな
    スペイン映画みたいだけど 独特な展開で
    かなり好みでした 揺れる人魚を観た人におすすめというだけあって
    結構バラバラな線がいつまでも合流しなくて心地よかったです
    ある部屋での出来事だけ全く映像に出てこないんですが、
    そこは象徴的でもいいから少しカットを入れて欲しかった

  • 確かにこのお姉ちゃんは依存症というか、どうにも変な男を呼び込むという意味でマジカルではある。
    が、それ以上に周りの男どもの微妙な性癖がね。旦那は精神科医だけあってカミさんを落として手懐けるタイプ。とはいえまだマシな方で、次点の算数の先生もなかなか。ロリコンでありつつも再びチャンスを狙ってもうどうしようもない。とはいえトカゲ部屋の変態さには敵わないというかまぁジャンル違いかもだけど、だいたいにおいて金持ちだけど車椅子ってのはもうサドって話だよね。
    そしてその全てを司るジャパニーズアニメのユキコっていうんだからもうスペインからザビエルも目指すは黄金水の国ジパングてなもんで日本は変態の国というか異常な性癖の国だという風評被害に繋がりかねない恐るべし映画ではないか。

    てかマジカル棒が200万はぼったくり。

  • この作品を鑑賞するにあたり、冒頭の教室の場面は重要です。
    途中までは名作の予感があったものの、このエンディングはつらい。登場人物に極悪人はいないが、誰もが傷つく哀しい作品。

    『マジカル・ガール』は、2014年のスペインのサスペンス映画(ネオ・ノワール)。脚本・監督はカルロス・ベルムト、出演はルイス・ベルメホとバルバラ・レニーなど。日本のテレビアニメ「魔法少女ユキコ」(架空の魔法少女物アニメ)にあこがれる少女をめぐる物語である。
    2014年のトロント国際映画祭とサン・セバスティアン国際映画祭で上映された。サン・セバスティアン国際映画祭では作品賞(コンチャ・デ・オロ)と監督賞を受賞した。第2回フェロス賞ではドラマ部門作品賞とスリラー部門作品賞(ともに作品部門の最優秀賞)、監督賞や脚本賞を含む8部門にノミネートされ、脚本賞を含む4部門で受賞した。第29回ゴヤ賞では作品賞・監督賞・脚本賞を含む7部門にノミネートされ、バルバラ・レニーが主演女優賞を受賞した。
    日本での予告編には長山洋子のデビュー曲『春はSA・RA・SA・RA』(フィンランドの歌手Einiによる『Kiitavan hetken hurma』のカバー曲)が使用された。「魔法少女シリーズの主題歌として印象に残る歌」として劇中でも使用されている。

    ストーリー:
    アニメ『魔法少女ユキコ』に憧れる12歳の少女アリシアは、白血病であった。アリシアの父ルイスは、娘の秘密の願いノートを見つける。ノートを開くとそこには「魔法少女ユキコが着るドレスを着て踊ってみたい」と書いてあった。さらにページをめくると「13歳になりたい」の文字が。死期を悟る娘にショックを受けるルイス。ネットで検索したルイスは、そのドレスが有名デザイナーの手による一点モノの大変高価なコスチュームであることを知る。失業中で金の無いルイスは強盗を決意し宝飾店のウインドウガラスを石で叩き割ろうとするが、頭上から降ってきた嘔吐物により一線を越えずに済む。
    嘔吐物は、階上に住む既婚女性バルバラが酒と睡眠薬で体調を崩した末に吐いたものだった。彼女は精神科医である夫のアルフレードに管理されていたが、孤独に打ちひしがれ常に寂しさを抱えていた。バルバラはルイスに詫び、汚した衣服の洗濯のため家に招き入れる。やがて孤独感と寂しさからふたりは男女の関係を持つが、翌日、ルイスは「不倫を夫にバラされたくなければ金を出せ」とバルバラを脅す。バルバラはやむを得ず旧友アダを訪ねて、「一夜の仕事」を紹介してもらい、金を用立てる。
    ルイスは脅迫の金でコスチュームをアリシアにプレゼントするが、娘がドレスの入った箱の底に何かを探すそぶりを見て取る。ネットの情報から『足りない何か』が魔法のステッキであることを突き止めたルイスは、バルバラを更に脅迫する。バルバラは期限内に要求を果たすため、アダの制止もきかず、危険な仕事に手を出す。
    一方、刑務所から出てきた元教師の男ダミアンは、惹かれていた教え子のバルバラがボロボロになって倒れているのを発見する。バルバラを保護し、訳を知ろうとするダミアン。バルバラは、全ての元凶であるルイスを恨み、復讐するため、「ルイスから脅迫と性的暴行を受けた」とダミアンに嘘の告白をする。ダミアンはルイスを尾行し、酒場で彼に詰め寄ると、「バルバラへの強姦を公表されたくなければ、ここで俺を殺して服役しろ」と脅し、銃を渡そうとする。脅迫はしたが強姦などしていないルイスは、セックスは合意のもののみで、その時の不倫の様子も証拠として携帯電話に録音してある事をダミアンに説明する。ダミアンは、レイプよりむしろ合意のセックスがあったことに強いショックを受ける。バルバラが相手を拒絶し抵抗するも蹂躙されてしまう以上に、ルイスがひとりの男性としてバルバラに受け入れられていた事実が許せなかった。ダミアンは銃を手に取るとルイスを殺し、その場に居る酒場の店長と店員も射殺。不倫の証拠隠滅を図るためにルイスの家に向かう。家の中に足を踏み入れるとアリシアと鉢合わせする。携帯電話の回収を済ませると、最終的にアリシアも殺害。ルイスの家を後にし、バルバラの入院する病室に顔を出すと「不倫を含めた全ての問題を解決した」とバルバラに告げる。(ウィキペディア)

  • 魔法使いになりたい少女の余命は幾ばくも無い。
    不憫におもった父は犯罪に手を染めて魔法使いのおもちゃや服を買ってあげる。
    その裏側には一人の女性の悲劇がもたらされ、父親そして少女までもが罰を受ける。そこに救いは無いが、物語の展開はシームレスで観客を常に引き付ける。

  • スペイン、不況、父子、すべてが悪い方へ。これならビューティフルの方がまだまし。

  • スペイン映画なのに 日本のアニメの影響を受ける。
    白血病で、余命短い 娘 アリシアは、
    夢の手帖に 「魔法少女ユキコ」になりたいと書いてあった。
    アリシアのオンナ友達は サクラ、ユウコと
    言うハンドルネームをもっている。
    日本のサブカルチャーがスペインでも流行るのがいい。
    歌は 日本語の歌である。
    娘の手帖を見た 失業中の元教師の父親は、
    娘の希望を かなえてやりたいと思う。
    ネットで調べたら 7000ユーロもする。
    家にある本を売り払うが、まったく追いつかない。
    友人たちに、お金を借りようとするが、みな貧乏なのだ。
    娘のことを同情しても、なぜそんな高いものを買うのか?
    と逆に質問される。
    父親は、宝石店に強盗にはいろうとするが、
    上から 反吐したものが身体にかかる。
    それは、孤独に苛まされているバルバラだった。
    亭主は 精神科医。父親に甘えるバルバラ。
    一夜をともにしてしまう。
    そして、父親は ばらすと言ってカネを要求する。
    バルバラは、秘密の売春を紹介してもらい、
    そこで、お金を 確保して、父親に渡す。
    それで、父親は 娘が喜ぶと思って、服をおくるが、
    娘は 魔法の杖がないことが不満だったのだ。
    再度 父親は バルバラを脅すが、

    バルバラをめぐって 話が進展していく。
    バスルーム裸の2日間の俳優 ホセサクリスタン。
    このホセサクリスタンが、実に渋い演技をする。
    バルバラが傷ついて、たおれているところを見つけて
    バルバラのいうがママに 動くのだった。
    バルバラには 因縁があった。そして、ウソだと思っても、
    そのまま 暴走していく。
    老人の命のしまい方が こんな風な悲劇なのは。
    マジカルガールとは バルバラで、
    多くの人の人生を変えてしまうと言うことなんだね。

  • 町山さんがたまむすびで紹介していて長く気になっていた映画。
    あえて事前情報をシャットアウトして鑑賞して、まったく作り手の思い通りの感情になった。掌の上だった。

    映画のピタゴラスイッチというか、バタフライエフェクトというか、風が吹けば桶屋が儲かるというか。
    まさか宝石店の窓を割ろうとしたとことで真上からゲロが落ちてくるとは!!

    たぶん敢えてだと思うのだが、ミスリードというほどの強い意志でなくとも、これは誰、これはあの人の過去なのか、など多少混同させられる。
    たとえば、プロローグの教師と娘の父親、バルバラが出てきたときには過去の妻との思い出なのか、と。
    数分後には別人だとわかるのだが、それと同時に違和感、お尻の下のむずむずが生まれる。
    この感触が「不穏な感じ」を生み、語られない「おぞましさ」を誘発する。

    本人の意図せざるファムファタル性、使い魔としてのおっさんたち、といった構図もまたおぞましい。
    アリシアの無垢ゆえの他者操作(願い事リストに鍵をつけていない。13歳になりたいという願いも)、
    ルイスの娘を思うゆえの浅薄、
    バルバラの自罰願望ゆえの歪み(もと魔法少女はいまや魔女)、
    ダミアンの少女への崇拝ゆえの暴力機械、
    すべて悪意ではなく愛から発しているのも、実にいやーな感触。

    欲望の連鎖の裏側に「共感の出来なさがない」からこそ他人事ではない。うむ、変な日本語だけど。

    この巧妙な構成以外にも、静けさ、ピアノ程度に抑えたBGMだからこそ要所の音楽が際立つ、喚かない人々の佇まい、カメラの切り返しやワンカットとカットの抑揚、独特な間の使い方、など大いに好み。
    日本文化の入れ方も面白い。検索サイト「Rampo!」、酒は「SailorMoon」、魔法少女ユキコ(そうか、ステッキもか……)、長山洋子、美和明宏の黒蜥蜴、トカゲの間。

  • シュール。
    誰も幸せになれない。
    12歳の白血病の娘をも絶望させる。

  • 12才の美少女は白血病!昨日見た「ぼくとアールと〜」と同じ設定です。でも、教師をからかう12才のバルボラや日本のアイドル歌手の歌で踊る白血病の美少女からポップなドラマの予感が生まれます。でも、そこはスペイン映画、この期待を見事に破り、危うい精神性や闇に引きずり込まれる宿命の中で、全ては語られないまま、誰もが破滅的な道を辿ります。

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