コンビニ人間 (文春e-book) [Kindle]

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著者 : 村田沙耶香
  • 文藝春秋 (2016年7月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (88ページ)

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コンビニ人間 (文春e-book)の感想・レビュー・書評

  • 2016年上半期・第155回芥川賞受賞作品。
    ・・・僕とは全く相性の合わない芥川賞作品。これまで読んだ同賞
    受賞作品の中でピンと来たのがピース・又吉直樹の「火花」くら
    い。なので通常は避けるタイプなんだけど、タイトルと煽り文に
    惹かれて思わず電子書籍版購入。さて・・・。

    僕らの年代は「初代コンビニエンスチルドレン」に該当する。
    今やそこらへんにあるのが普通なコンビニエンスストアだが、
    その頃住んでいた街に最初のセブンイレブンが出来た時は、本当
    に感動を覚えた。以降は夜に手持ちぶさたになると何故かコンビ
    ニへ(^^;)。そのクセは、今も結構変わっていないような気がする。

    そんなコンビニで「働く」方の女性を描いた物語。
    先天的生活機能障害を抱えた女性が主人公。36歳でこれまで就職
    の経験無し、大学在学中から18年間をずっとコンビニのアルバイ
    ト店員として過ごす。未婚、恋愛経験無し、そして処女。間違い
    なく常人とは異なる感覚を持つ彼女が、唯一社会と繋がっていら
    れる場所がコンビニエンスストア。コンビニのマニュアルに従い、
    店員を「演じる」ことで、社会に必要な「部品」で居られる。
    そんなコンビニに、ある男が同じアルバイトとして入ってきて・・・
    という内容。

    主人公はもちろんだが、途中から登場する男性(←コイツはクソ
    ^^;)がやたらとサイコ。特に何が起こるでも無い展開なのにもか
    かわらず、ちょっとしたホラー小説を読むよりよっぽど薄気味が悪
    い。その所為で読むのを中断するタイミングが全く無い、という見
    事な構成。正直、これまで読んだ芥川賞作品の中ではベスト。一気
    に読ませてくれる筆力、単純にすばらしいと思う次第。

    そして、個人的には主人公の女性をちょっと尊敬さえしている自分
    に気づく。週5日勤務し、職場を愛し、周囲に絶えず気を配る。
    立場はアルバイトかもしれないが、コレはもう立派な「仕事」。そ
    してそこに18年も勤務している段階でもう僕は負けている。自慢じ
    ゃないが、同じところで18年働いた試しなど無いのだから。

    こういう形のプロフェッショナルが居ても全く問題無い。というか、
    フランチャイズ側の人間はそういうスタッフさんをすくい上げ、
    活躍する場・・・トレーナーとか研修担当とか・・・を与えてあげるべき
    なんじゃないか、とすら思う。

    ちなみにこの作品、問題提起が多々ある筈なのに、ラストまで一切
    の解決は無し。にもかかわらず、充実した読後感をくれた村田沙耶香
    という作家を、僕は心からリスペクトします。

    ・・・芥川賞にもいい作品あるじゃん♪

  • 主人公は自分が「普通」でないことを自覚しているが、どこがどう普通でないのかが理解できていない。しかし、18年間コンビニのバイト店員であり続けることで、世間と同調しているかに見られている。

    主人公の目を通して一人称で語られる「こちらの世界」は相当不気味で不快であるのだが、主人公はそれを淡々と受け入れていく。途中で登場する白羽さんと主人公は同棲することで、より「普通」な人間に修復されることになりそうになるのだが……。

    昨年の芥川賞受賞作(第155回)。現代社会の同調圧力や異端排除、差別などを鋭く描写していると思う。

  • 楽しくサクサク読めましたが、怖い話でもありました。普通って何だろう、と考えさせられる。そして、普通でないところを普通に矯正しようとする世間、社会。やっぱり怖いお話です。

  • コンビニという何気ない日常から日本の息苦しさのようなものをたんたんと描いている。そして同時にそれはかえられるわけでもなく、失うわけにもいかないことも。 この息苦しさは昔のムラ社会からくるものだと登場人物の一人は語っている。いまやムラ社会というのは田舎に限ったことではなく都市部でも蔓延しているしその傾向は強くなっている。日本全体がムラ社会。コンビニは驚くほどその日本の空気、ムラ社会と逆の体をなしている。コンビニにたまに感じる違和感は、ムラ社会側にも属し自分の中にもっているムラ社会よりの考え方がたまたま強くなったときに感じるのだろう。コンビニはムラ社会と反対のものとして成り立ち、ムラ社会になじめない人にとってオアシスであり、主人公の女性も唯一自分らしく店員としていれる場所になっている。 こうでないといけないという強い規律がコンビニにはもちろんあるが、それはムラ社会のそれと対極的に合理的に描かれる。きっと日本のムラ社会の息苦しさは極度に合理性を欠いたことからうみだされてしまっている。

  • あらすじだけで読みたくなる、芥川賞らしからぬ作品だった。帰省の道中で楽しもうかなーと思っていたのに、ちょっと読み始めたら一気に読んでしまった。私は学生時代にコンビニでバイトしていたことがあるので、余計に共感も大きかったのだと思う。今思い出しても、いろんなバイトの中でコンビニは結構好きな空間だった。

    けど、その「何となく好き」を克明に文字として浮き彫りにしていくのは簡単なことではない。それを、村田さんはやってのけている。

    主人公も相手の男も、ちょっと極端だ。極端であまり現実味はないのだけど、だからこそフィクションとして安心して読める部分もあったと思う。あんな男、目の前にいたらパンチ食らわせてしまいそう(^^;; けど、なんか笑ってしまう部分もある。

    キャラは極端だけど描き出されている葛藤はとても普遍的なもの。いわゆる人並みの人生を送れていない私には、うなずける部分も多々あった。子どもくらい産んだほうがいいよー、子どもはいいよー、って何度いわれただろう。いや産みたくないわけじゃないんですよ…って何度言葉を飲み込んだだろう。そろそろそれすら言われない歳になってきて、それはそれで私生きてていいのか?なんて思うこともある。かと言って不幸なのか?と問われれば、結構楽しく生きている。

    生きる意味とか考えてしまうことはあるけれど、若い頃ほどではなくなった。いくら考えたって、人間はひたすら生きて死んでいくもの。両親にだけは申し訳ないと思ったりもするけれど、うちの親は本当にこういうことに関して何も言わない。きちんと仕事を持って、おまえたちが笑って暮らしてくれていればそれが一番嬉しいんだよ、という。そう言われるたびに涙が出そうになって、自分は本当に幸せ者だなぁと実感する。

    自分の居場所って、誰もが探してるんだと思う。でも、きっとそれはそんなに大げさでないところにある。部屋の隅にぽつんとある小さな古ぼけた椅子みたいな、誰も気にとめないけど自分にとってはすごく落ち着ける場所。そういうものを大切にしていきたいなぁと感じた一冊だった。

  • 冒頭から引き込まれて、一気に読んでしまった。作者の「普通」に対する観察力が素晴らしいと思った。

    「普通」がわからない古倉と、わかっているけど従えない白羽、この二人によって、「普通」の様々な面を読者に見せている。

    古倉の目線に立てば、ラストはハッピーエンド。「普通」の人の目線に立てば、救いのないバッドエンド。

  • 何をするにしろ「マニュアル」があると楽だ。
    でも、生き方には「マニュアル」がない。
    一般的に、主人公・古倉恵子はすごく変わった人間だと思われるかもしれないが、(全面的ではないにしろ)どこか共感できてしまう。
    それは、誰もが「自分は社会の中で、どんなポジショニングを取り、どんな生き方をしていけばいいのか?」模索しているからではないだろうか。
    何の迷いもなく、絶対的な自信を持って人生を送っている人なんて、そうはいないですよね。
    第155回芥川賞受賞作。

  • ちょっと背筋が寒くなった。
    どうなるんだろうと、気になって気になって、あっという間に読み終わった。

  • 人は、自分が受け入れられるように勝手に物事を解釈する。
    異物は排除されるしかないのだから。
    世の中の当然と思っている生き方、その生き方に沿わないといけないんだろうか?
    当たり前のように結婚して、正社員として仕事をして、子供を産む。
    そうじゃない人は、異物として世の中にいらないのだろうか?

    人生について、結婚観や人生観についても考えさせられる、風刺的な作品だった。

  • 臨床心理士に勧められて読んだ本。アスペルガーの人の感性、世界観、考え方、学び方を知るのに最適だから、と。どの専門書よりもわかりやすかった。

  • こんな感性の人がいるなんて、フィクションなのか作者の実体験なのか、とにかく面白い。

  • 【あらすじ】
    36歳の古倉恵子は、18年間コンビニでアルバイトを続けている。恋愛経験はなく、したいとも思わない。子どもの頃からどうしても周囲に馴染めなかった彼女にとって、明確なマニュアルがあるコンビニは理想の世界。そんな彼女を周囲は心配し、「治そう」と言うのだが…。

    【感想】
    描写がとても丁寧で、主人公の感じている世界や、物の見方がよくわかる。よくぞここまで言語化できるものだ…というかんじ。だから、こういう人っているんだろうな、と素直に思えた。古倉さんはちょっと突き抜けているかもしれないけれど、ものすごくおかしいというわけではないような気がする。結婚して、子どもをつくって、それが「普通」だよ、という圧力は、誰もが感じているのでは。

    結末は賛否があるのかもしれないけれど、私にはすごく清々しく映った。

  • コンビニ店員として働くときだけ自分の存在を認められる主人公。
    いつしかコンビニそのものが彼女のアイデンティティになるが、
    年を重ね結婚もしていない彼女に、
    次第に周囲の反応は変わってくる・・・。

    でもこういう人がいても良いと思う。
    結局自分のことを分かっているのは自分だけなのだ。
    価値観なんて時代と共に、変わってくる。

  • 2016年上期の芥川賞受賞作。受賞時はかなり話題になったので、いつか読みたいと思っていたのが、Kindleの文春フェアで半額になっていたのを見つけて購入、読了。これは評判通りの傑作だ。

    コンビニという生物の細胞として生きるアスペルガー的な主人公が駆使する語彙が何よりも魅力的で、細部の描き込みも丁寧。同じく細胞の一つと信じていた店長やバイト仲間の人間的な面や、同族とも思えた白羽の社会的体裁に対する要求に戸惑いつつ、一風変わった「自我」を再発見するまでのプロセスは、逆説的に読者を不安にさせる。

  • 学生時代になんとなく入信して上手くいってた宗教をずっと信仰して満足して生活してたんだけど、家族が「宗教はちょっと…」と言うので仕方なく、目の前をフラフラしてた白羽くんに白羽の矢を立てて、結婚という制度を利用して還俗を図るも、いざ宗教から離れてみると、自分がいかに信仰に助けられて生かされていたかをこれでもかと痛感したので、たとえあまり福利厚生がなってない宗教だとしても、「私には”宗教法人コンビニ”に従う以外に生きる道はない!最早コンビニ神の声が聞こえるようになったし!!」と開眼し、還俗などという考えと白羽くんはバッサリ捨て、より一層の信仰の日々に邁進することを誓ったのだった…

    …という、淡々と綴られた「古倉さん還俗チャレンジ記(失敗)」に見えました。
    奇妙でそして面白かったです。

    古倉さんが「他人からどう思われようが心が傷つかない」人間として描かれていると思うので、白羽君の言った「お前は人間じゃない」という見方は、私も同じ、かもしれない。同じ人間として共感したりできる程度の相手か、というのは個人的な問題だし、「人間じゃない」なんて言い方はキツイ。けれど、確かに他人の目が一切気にならないひとは、やはり特に何かを話たり共有したりしたい相手では無いのだと思います、私にとっては。

  • 鋭く、恐ろしい。コンビニという一つの完成された空間を用いて「人間とは?」という問いに斬りかかった意欲作。「私の喋り方も、誰かに伝染してるのかもしれない。こうして伝染し合いながら、私たちは人間であることを保ち続けているのだと思う。」という一文に触れ、振り返ってみると、口癖のみならず、様々なものが周囲からの影響を受けていると痛感し、ハッとした。「自分がいなくなった場所もあっという間に補完され、コンビニは明日からも同じように回転していく」…恐ろしい。

  • ・基本的に面白く読むことができた。
    ・読んでいる途中でアスペルガー症候群の本?という話を聞いたので、そのような観点で読んだ。
    ・確かにその通りかもしれず、そのほうが、主人公の一見不可解な行動が理解できると思う。

  • コンビニは誰でも知っているお店の一つ。働いたことがなくても、買い物に利用したことがあるはず。
    かくいう私も買い物経験者。これまで、コンビニの店員さんにさほど注目したことがなかっただけに、恵子さんほど「コンビニ人間」な人がいることに思い至ったことはなかった。
    でも、次男は6年間の学生生活の間ずっと同じコンビニでバイトをしたと聞く。後半はバイトのシフトまで任されたとか。もしかして、次男もコンビニの音の中に居心地の良さを感じていた「コンビニ人間」なのかもしれない。

    おもしろいなと思ったのは、世間の評価に対する主人公の感じ方。誰もが感じると思われがちなことに共感しない感性。すごいと思う。でも、私の感じ方とは違う。そうか、そう思うのか…腹が立たないんだ…嫌じゃないのか…と新鮮な気がした。
    生きていれば、いわゆる「世間」の中に入る機会も多いが、周りの価値観や評価にとりあえず大体合わせておけば害がないと、さほど深く考えたり感じたりしないまま、「世間」に属することばかりだと自分自身を振り返る。
    ちょっと違うこと、目立つこと、声を上げることに対する「世間」の目はなかなか厳しい。

    自分と違うことや物、そして人に少し注目してみようと思える作品。

  • 普通とは何かを考えさせられた。

    コンビニにはマニュアルがあり、それを守れない人は排除される。それは社会でも同じ。普通とか、世間とか、色々な言い方があるけど、私たちは漠然と社会のマニュアルを持っている。

    そのマニュアルがわからない主人公と、意識しすぎている男性。どちらもとても生きづらそう。

    普通なんてない方が、みんなが生きやすい社会なのか、それとも、コンビニがマニュアルでうまく回っていくように、普通が必要なのか。

    何かを決定する時の理由が「普通だから」だったり、普通から外れることが怖くて行動ができなかったり、外れてしまって、恨み言を言うこともある。誰かに普通を押し付けて、傷つけてしまっていることもきっとある。
    その一方で、普通だから楽だし、安心するし、お互いが普通を期待し、演じるからこそうまくいくこともあるだろう。
    普通は難しいと思った。

  • テレビの北朝鮮のドキュメンタリーで、スラスラと元帥様の偉大さについて語っていた少女が、好きなもののことを教えて、と聞かれて絶句し、さらに聞かれて、よくわかりません、と答えるというのを見た。その後、テレビのキャスターは彼女に対して、「自由に考えることのできる私たち」を疑いもなく対置していた。「あちら」はおかしい、「こちら」になるべき、『治る』べき、というのである。

    自由に考えることができることは尊い。
    しかし、その自由は相対的なものでしかありえない。我々もまた彼女と同じなのではないか、好きなものは何かと聞かれて、心から即答できると自負する私たちと、今日の幸福は元帥様のおかげであると即答する彼女との間になんの違いがあるというのだろうか。

    誰しも「コンビニ人間」であることから自由ではありえない。
    自分は自由であり「普通」であると信じて疑わないことの不気味さが浮かび上がる。

  • アスペ気味の主人公(36才・女性)のコンビニ店員としての日常かと思いきや、自己意識肥大気味の男性バイト店員を自分のアパートで飼うという展開になっていく。アスペルガーの人の脳内を垣間見れる感じがとても面白い。

  • 自分の生活が落ち着き、人と同じ出勤時間に家を出るようになった時安心したことを思い出した。逆にそれを外れたときの怖さも思い出した。

  • TBSラジオで隔月1回放送されているLifeという番組を聴いています。
    その2016年10月放送分のサブタイトルの一つが本書でした。
    それ以前から、その内容等については気になってはいたものの、当放送を聞き終えた後、それがますます強くなり読んでみることにしました。

    主人公は、「普通ではない」とされている女性。
    確かに、突拍子もない様な行動もありますが、私は彼女がそれほどおかしな人間であるとは思いませんでした。
    むしろ、誰しもこのような部分を抱えて生きており、周囲に適応するために、何らかのマニュアルに従っていたり、何かの役割を演じたりしているのではないでしょうか?

    冒頭の番組の12月放送分で、「ベテランの書評家は、『こんな人間は実際にはいない』と言っている」という話があったことにはかなり驚かされました。私には、全くそのようには思えませんでしたし、そのように考える人がいるというのも驚きです。(ちなみに、「若い世代ほどこの主人公を『いるよね』と受け止めがち」だそうです)

    私には、この主人公の突き抜けた感じが清々しいくらいでしたし、こんな生き方があったって良いんじゃないかと思いました。
    何らかの生きづらさを抱えている人がいる中で、それを乗り切る一つの方法を提示されたような気がし、少し勇気をもらったような気さえします。

    物語としても面白く、貴重な一冊となりました。

  • 笑った。そのシュールさの中にあってまざまざと感じる鋭さが読後心に引っかかる。

    多様化が進み、自分らしさを尊重すると言いながら、結局はコミュニティへの参画を強制し続ける世の中に対してのアンチテーゼ的なものなのかとも感じたし、多分そんなことを感じられたら一考に値するんだろうけど、話自体はホント不思議なホラーのようだった。

    良いか悪いかよくわからないけど、心に残る作品。

  • 世間の普通が理解出来ない人の純真さと苦しさが良く分かる。小説はとても面白い、一気に読んでしまった。

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