虹を待つ彼女 (角川書店単行本) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA / 角川書店
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感想・レビュー・書評

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  • 現代的なテーマを扱っていて、
    横溝正史ミステリ大賞らしくないのだけど、
    人工知能と棋士の対戦、ドローン、AIなどの
    今話題になっているトピックスが多いので
    そういうテーマに興味がある人は
    とても面白く読めると思う。

    ニコニコ動画が好きで、
    アニメ・ゲーム・ネット好きなギーク。

    そういう人には刺さると思う。

  • 本書の主人公は,人工知能開発に関わっているIT技術者という設定だ。しかし,mixi的なSNSのウェブページを保全するためにそのページを印刷し,スキャンしてクラウドにアップロードするとか(Evernoteのようなアプリケーションを使って保存するか,PDFライタでPDF化し,必要なページだけ印刷すればよいのでは?),画像ファイルにEXIF情報が含まれていることを知らないとか,やや不自然なところがある。もっとも,それは瑕瑾であって,全体として満足のいく読書体験だった。

    このタイトルを見て,二次元嫁を手に入れようとする女性の話だと思った人はちょっと鋭い。本書に出てくるものは正確には二次元嫁ではないのだが。念のため断っておくが,本書の著者がそれを意図してこのタイトルを付けたと本気で信じているわけではない。

    生者でも死者でもよいが,実在の人物を人工知能で再現できるかという点には興味がある。恋愛対象を再現したいという欲望には共感できるところもあるが,結局は作り手の自己満足に終わるのではないか。なぜなら,恋に落ちた人は恋愛対象を理想化して,本来の人格とは別の人格を仮想していることがほとんどだからだ。恋に落ちた人が時にナルシシズムに陥っているように見えるのは,実はその人が単に自己の内側にある仮想の偶像を見ているにすぎないからかもしれない。それを客観化するために本書の主人公は「デバッガー」を用意するが,「ぼくのかんがえたさいきょうのかのじょ」像を完全に修正することはできなかった。恋を諦めるまでは。

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著者プロフィール

小説家。1980年、東京都生まれ。第36回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、2016年に『虹を待つ彼女』(KADOKAWA)でデビュー。2022年には、のちに『五つの季節に探偵は』(KADOKAWA)に収録された「スケーターズ・ワルツ」で第75回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した。このほか著作に、『少女は夜を綴らない』(KADOKAWA)、『電気じかけのクジラは歌う』(講談社)などがある。

「2023年 『世界の終わりのためのミステリ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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