学校では教えてくれない地政学の授業 [Kindle]

  • PHP研究所
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感想・レビュー・書評

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  • ・いまの世界はリアリズムで動いている。
    ・理想主義では説明できない。

    位置: 345
    この地理的条件から、アメリカ独特の外交方針が生まれます。ひとつは、ユーラシア大陸のゴタゴタに巻き込まれたくないという、引きこもり戦略。これをモンロー主義といいます。もうひとつは逆に、兵力にゆとりがあるのだから積極的に海外に派兵して世界の警察官をやろう、という国際貢献戦術、これをウィルソン主義といいます。モンローも、ウィルソンも、アメリカ大統領の名前です。国際連盟をつくったのがウィルソンですね。

    位置: 434
    ・民主党の支持者は、福祉国家と国際協調を望む。 ・共和党の支持者は、個人の自立と一国主義を望む。

    位置: 486
    大企業は労働者を安く使いたいので、外国人労働者、移民を歓迎してきました。その結果、白人労働者の賃金も下がってしまい、プア・ホワイトは怒っているわけです。

    位置: 530
    ・アメリカは、地政学的には「島」である。
    ・「島」にこもるのがモンロー主義、積極的に外にでていくのが「ウィルソン主義」。
    ・民主党は福祉国家、国際協調主義。
    ・共和党は国民の自助努力を求め、一国主義。

    位置: 692
    そのあとどうしたかというと、アメリカはものを売るんじゃなくて金を貸す、金融ですね。後進国に投資をして、鉄道をつくったり港をつくったり工場をつくったり、その利益を吸い上げるっていう、金融に移っていったのがだいたい八〇年代ぐらいからですね。そうすると中国はまだまだ途上国ですから、アメリカの銀行さんにとっては投資先としてはおいしいと。いま上海にビルがバンバン建ってて、あれもほとんどがアメリカと日本の資本ですから、やっぱり中国っていうのは「おいしい」と。

    位置: 735
    日中が軍事衝突したとき、アメリカがどういう態度をとるかはわからない。

    位置: 760
    ・アメリカの中国市場進出を日本が脅かしたことが、日米戦争の原因となった。
    ・アメリカにとって中国は常に市場・投資先である。
    ・アメリカの金融資本・国務省・民主党が「親中派」、軍需産業・国防総省・共和党が「対中強硬派」。

    位置: 838
    地政学は、大陸国家ランドパワー、海洋国家シーパワーのせめぎ合いとして世界を見る。

    位置: 952
    ・中国にとって最大の脅威は、遊牧民やロシア帝国、北方のランドパワーだった。
    ・十九世紀には、海からシーパワーのイギリス、日本に攻め込まれ、清朝は崩壊した。
    ・二十世紀前半には、ソヴィエト・ロシアと組む共産党と、米英と組む国民党が内戦を続け、共産党が勝利した。

    位置: 1,089
    ソ連崩壊で北方の脅威から解放された中国は、東シナ海・南シナ海への海洋進出を始めた。

    位置: 1,160
    ・小平がシーパワー国家戦略を立て、中国軍は長期計画に基づいて行動している。
    ・中国の海洋進出を抑えるには、 軍事的空白をつくらないこと、 「北方の脅威」ロシアを育てること。
    ・ランドパワーが無理に海洋進出すると、かつてのドイツのように失敗する。

    位置: 1,235
    モンゴル帝国の侵攻が、日本と韓国の歴史を分けた。

    位置: 1,269
    儒学の一派の朱子学です。前回も出てきましたが、基本的にランドパワーの思想であって、農業が正しく、商工業は間違っている、劣っていると、商業蔑視思想ですね。だから、士農工商っていって、農が上で工商が下なんですよ。

    位置: 1,380
    重武装中立が鎖国です。

    位置: 1,382
    そして日本は基本的にシーパワーですので、商工業が盛んです。

    位置: 1,397
    ・半島国家の朝鮮は、常に大陸の中国の動向に翻弄されてきた。
    ・中国からの侵略を防ぐためには、中国の王朝と一体化するしかなかった。
    ・モンゴル支配の反動から、朝鮮は朱子学を採用し、小中華思想を持つようになったが、経済は停滞した。

    位置: 1,444
    長連合っていうのは、日本版シーパワー・ランドパワー連合ができたという話なんで、もともとそりが合わないんですよ

    位置: 1,523
    ランドパワー派(金日成)が北朝鮮を、シーパワー派(李承晩)が韓国を建国した。

    位置: 1,624
    ・近代朝鮮史は、ランドパワー派(事大党/親中派)vsシーパワー派(開化派/親日派)の抗争の歴史。
    ・日清戦争と日露戦争で日本が勝利した結果、朝鮮は初めてシーパワー側に取り込まれた。
    ・日本の敗戦後は、ランドパワー派が北朝鮮、シーパワー派が韓国を建国し、朝鮮戦争を起こした。
    ・冷戦終結後、台頭する中国に韓国が急接近する一方、北朝鮮は中国を警戒し、核開発を進めている。

    位置: 1,720
    広大な領土のロシアが恐れるのは、二正面作戦。

    位置: 1,856
    ・ロシアはモンゴル帝国を継承したランドパワー国家。
    ・国土が広大すぎるロシアは、アジアとヨーロッパ、二正面作戦に対応できない。
    ・清朝から沿海州を奪って日本海に進出、日本から千島列島を奪って太平洋進出を図った。
    ・シベリアの人口減少が続くロシアにとって、隣国中国の人口圧力は重大な脅威。日本との協力が必要。
    ・ウクライナ紛争で欧米と対立するロシア。日本にとっては北方領土問題解決のチャンス。

    位置: 1,990
    ロシアが恐れるのは、ウクライナのNATO加盟。


    位置: 2,056
    黒海艦隊の軍港があるから手放せない。
    ・アメリカは、ウクライナをロシアから切り離し、NATOに加盟させようと画策してきた。
    ・ウクライナ人自身が、東の親ロシア派(ランドパワー派)と西の親欧米派(シーパワー派)に分裂しているのが、ウクライナ紛争の最大要因。
    ・米露関係の悪化で中露が接近すると、ユーラシアにランドパワー同盟が生まれる危険がある。

    位置: 2,207
    政治的迫害を受けた「難民」と、豊かな生活を求める「移民」とは、実際には区別がつかない。


    位置: 2,252
    ・欧州移民問題は、中東の植民地支配の負の遺産。
    ・ソ連の支援で社会主義化を進めたアラブ諸国は、経済的に破たんし、欧州への移民を生み出した。
    ・欧州諸国は労働者不足で移民を受け入れたものの、景気後退で移民の2世、3世が職を失った。
    ・移民は制限できるが、難民は受け入れ義務が生じる。そして両者は区別ができない。

    位置: 2,304
    地政学的には、イギリスはヨーロッパではない。


    位置: 2,335
    イギリスを攻めようって国はないんですよ。海を越えて。だから、イギリスの防衛には大規模な軍隊はいらない。

    位置: 2,376
    だいたいイギリスは忙しいので、代理をつくっておくと。その典型が日本ですよね。日本では日英同盟を結んで、それでロシアに勝ったって教えますけども、あれは「英日同盟」、はっきりいえば、日本は「将棋のコマ」です。

    位置: 2,393
    イギリスから見て、やっぱり第二次大戦っていうのは大失敗だったんですよ。ひとつは、ソ連の台頭を許したっていうことと、もうひとつは、同じシーパワーの日本と戦っちゃったこと。イギリスが持っていた植民地が、日本との戦争中にどんどんどんどん独立、目が覚めちゃって、結局インドもマレーシアもみんな独立しちゃったじゃないですか。だからイギリスは植民地帝国を失った。これは勝ったって言えますかね?

    位置: 2,486
    ・ヨーロッパは「半島」だが、イギリスは「島」。
    ・イギリスはヨーロッパ統一を恐れ、各国が常に争うように仕向けてきた(オフショア・バランシング)。
    ・イギリスの軍事力は、植民地の拡大に使われてきたが、第二次大戦後の植民地独立ですべてを失った。
    ・EU結成の真の目的はドイツの封じ込めだったが、経済的にはドイツに仕切られている。
    ・ドイツが主導するEUへの反発、難民受け入れへの抵抗が、イギリスをEU離脱に走らせた。

    位置: 2,651
    イラクとシリアの紛争は100年前に始まる新しい紛争。その原因は、サイクス・ピコ協定である。

    位置: 2,674
    ・イラクとシリアは、本来は同じアラブ人で、オスマン帝国の一部だった。
    ・イギリスとフランスがサイクス・ピコ協定を結んでオスマン帝国を解体した。イラクとシリアの国境線はこのとき引かれた。
    ・第二次大戦後、イラクとシリアで革命が起こり、親ロシア(ソ連)派のフセインとアサドが政権を握った。
    ・アメリカは湾岸戦争、イラク戦争でフセインを打倒し、「アラブの春」でアサドを揺さぶったが、アサドはロシアの支援で持ちこたえた。
    ・混乱に乗じてイスラム過激派ISが台頭した。
    ・国境線の引き直しと、各民族、宗派への大幅な自治権付与が紛争解決への道。

    位置: 2,860
    サウジは、国内のシーア派がイランの影響を受けて分離独立するのを恐れている。

    位置: 2,892
    ・イランはロシア(ソ連)の南下を阻止する防波堤として、また産油国として米・英の支配を受けてきた。
    ・イランのナショナリズムは、イスラム教シーア派の思想と結びつき、イラン革命を引き起こした。
    ・アメリカは、サウジなどスンニ派アラブ諸国を支援してイランに敵対させた。
    ・イランはアメリカに対抗して核武装を進めてきた。
    ・スンニ派武装組織ISという共通の敵が現れたため、アメリカはイランに急接近し、制裁を解除した。
    ・国内にシーア派を抱えるサウジアラビアはイランの台頭を警戒。アメリカとの関係も悪化している。

    位置: 3,101
    ・トルコと日本は、近代化の過程で西欧文明を受け入れ、ロシアの脅威を受けてきた地政学的な兄弟国。
    ・冷戦中のトルコはNATOの加盟国として、日本は日米安保体制で、ソ連に対する包囲網の役割を担った。
    ・冷戦終結後、トルコでは、貧富の格差への不満からイスラム回帰の運動が起こり、エルドアン政権が生まれた。
    ・クルド人は、国家を持たない世界最大の「少数民族」。
    ・ISとの戦いでアメリカはクルド人を支援するようになったため、トルコとの関係が悪化している。
    ・シリアのアサド政権は、中東最後の親ロシア派政権。プーチンはアサドを守るため、ISを空爆した。

    位置: 3,171
    米英にとってインド防衛の防波堤がアフガニスタンとチベットだった。

    位置: 3,202
    もともと英領インドっていうのは、いまのインドとパキスタンを含んでいた。

    位置: 3,333
    ・多民族、多宗教世界だったインドをイギリスが占領し、宗教対立を煽って分割統治した。
    ・イギリスは植民地インドの防衛のため、アフガニスタンとチベットをロシアに対する防波堤にした。
    ・独立後、イスラム教国パキスタンは、ヒンドゥーの大国インドに対抗してアメリカ、中国と結んだ。
    ・中国のチベット併合、ダライ・ラマ14世のインド亡命で、中印関係が悪化。インドはソ連と同盟し、ソ連崩壊後のインドはアメリカに急接近している。
    ・日本軍はインド独立を支援した。「歴史問題」や、国連改革問題で日本とインドは協力できる。

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著者プロフィール

茂木 誠(もぎ・まこと)
ノンフィクション作家、予備校講師、歴史系 YouTuber。 駿台予備学校、ネット配信のN予備校で世界史を担当する。著書に、『経済は世界史から 学べ!』(ダイヤモンド社)、『世界史で学べ! 地政学』(祥伝社)、『超日本史』 (KADOKAWA) 、『「戦争と平和」の世界史』(TAC)、『米中激突の地政学』(WAC 出版)、『テレ ビが伝えない国際ニュースの真相』(SB 新書)、『政治思想マトリックス』(PHP)、『「保守」 って何?』(祥伝社)、『グローバリストの近現代史』(ビジネス社・共著)、『バトルマンガ で歴史が超わかる本』(飛鳥新書)、『「リベラル」の正体』(WAC 出版・共著)など。 YouTube もぎせかチャンネルで発信中。

「2022年 『ジオ・ヒストリア 世界史上の偶然は、地球規模の必然だった!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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