日本につけるクスリ [Kindle]

  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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感想・レビュー・書評

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  • 「格差ではなく貧困をなくせ」
    僕も竹中さんに賛成です。
    格差はあります。
    というか格差を認めなければ結果の平等になります。
    貧困は成功する機会を奪います。
    機会の平等を保障する政策こそ必要なんやと思います。

    「分配の構造」を変えるにはコストがかかる
    既得権益を打破するのは本当に難しい。
    そりゃ若者の教育のために年金減らしましょうって言っても誰も納得しないです。
    そのためにはパイを増やし続けるしかないんですよね。
    その点を理解せずにデフレを容認して清貧を煽るのは国債発行して拡大するのとどっちが悪いんでしょ。

    「ドミノの1枚目」を見極める
    ボウリングのセンターピンというかドミノの1枚目というかは別として一つ動かしたら大きく波及するポイント「戦略的アジェンダ」って言うそうです。
    「戦略的アジェンダ」はwell-informed public(かしこい世論)を作ることだと阿部さんはおっしゃってます。
    竹中さんは無理やと言ってますが阿部さんは本気です。
    たしかに連鎖するポイントってあるんですよね。
    小さな一歩やけど全体に影響与えるような。
    福祉の世界にもまちづくりにもきっとドミノの1枚目はあるんやろなと思います。

    人の行動の源泉は「期待」である
    適切なインセンティブがあれば人は幾つになっても行動すると思います。
    公正公平が目に見えないと期待は持てないと思います。
    結果の平等が保障されたらやってもやらんでもいっしょ。
    機会の平等が絶対必要です。
    「自分以上に自分に期待できる人間はいない」
    竹中さんの名言やと思います。

    リーダーを盛り立てる「義務」を果たす
    民主主義において非常に大切な「フォロワーシップ」の教育が圧倒的に足りていないと阿部さんがおっしゃってます。
    たしかに学校の委員長を選んだら盛り上げる義務がありますよね。
    なんか教育が足りてないからマスコミが足を引っ張るという構図はよくわかります。
    「反権力」はファッションではないので。

  • 竹中平蔵と安部敏樹の対談を書籍化したものであり、対談は2015年11月から2016年2月にかけて行われた。
    橋本治は「日本が高度経済成長を成し遂げることができたのはアメリカというフロンティアを見つけたからだ」と言った。フロンティア精神の本家はアメリカだが、そのお株を奪う形でアメリカに自動車を売り家電を売り、経済成長を成し遂げた。そして、そのマーケットが飽和したときに成長が終わったと主張する。確かにマーケットは無限ではない。人の欲望も無限ではない。それらはいつか限界を迎え、モノが売れなくなる。
    しかし、いまは二つのフロンティアが出現している。「技術のフロンティア」と「マーケットのフロンティア」で、前者は「デジタル革命」を後者は「グローバルマーケット」を指す。

  • ウィンストン・チャーチルは、「成長はすべての矛盾を覆い隠す」という名言を残しています。

    カナダの精神科医、エリック・バーンの言葉が好きなんです。曰く、「他人と過去は変えられない。でも、自分と未来は変えられる」。

    日本人が経済成長を正しく認識できない理由としてあるのが、結論にしか興味がないことです。僕と竹中さんの意見を一言でまとめると、「経済成長は大事」。いわば右寄り(自由主義的な考え)なな結論です。でも、中身は「再配分にはコストがかかり、そのコストを賄うのには成長が必要だ」という話で、どちらかというと左寄り(社会主義的な考え)の議論をしているんですよ。にもかかわらず、竹中さんがテレビに出て「経済成長は必要です」と言うと、「新自由主義者」とか「格差万歳」と叩かれてしまう。「この人はなぜこんな発言をしているのか」を考えて、経済成長という言葉を導いたプロセスを意識してほしいですね。

    Fast alone, far together.
    ー早くいきたいなら一人で行け。遠くに行きたいならば、みんなで行け

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著者プロフィール

1987年生まれ。一般社団法人リディラバ代表。東京大学在学中の2009年に「社会問題解決のプラットフォーム」リディラバを設立。600名以上の運営会員と150種類以上のスタディツアーの実績があり、3000人以上を社会問題の現場に送り込む。総務省起業家甲子園日本一、学生起業家選手権優勝、ビジコン奈良ベンチャー部門トップ賞、KDDI∞ラボ第5期最優秀賞など受賞多数。東京大学大学院総合文化研究科の博士課程では脳と社会論のインタラクションの研究に取り組む。「マグロ漁師」としての顔も持つ。

「2015年 『いつかリーダーになる君たちへ 東大人気講義チームビルディングのレッスン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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