圧巻の宮沢りえ。いやもうとにかく、宮沢りえが凄い。こりゃもう、凄い。間違いなく大好きな映画なのですが、この映画に関しては、宮沢りえ無しでは、成り立たない気がします。宮沢りえあっての映画。なんて言いたくないくらい好きな映画なんですが、いやもう、とにかく宮沢りえ、凄い。
角田光代原作小説、吉田大八監督作品の映画版「紙の月」も、宮沢りえの主演としての存在感、お見事でしたが、こちらの作品も、もう。宮沢りえ。とんでもねえ女優だな、というのを。トコトンまでに痛感しました。いやもうホンマ凄いよ。
実は、映画を観るより先に、小説版を読んでおりました。で、その小説版が、まあ、すげえ良かったんですよ。で、この映画版、小説版を先に知ってしまったし、ちょっとまあ、小説版の方に軍配上がるんじゃないかなあ個人的に、とか思ってたんですが、そんなこたあ、なかった。映画版の方が、好きです僕。ええ。映画版の方が、好きです。良かった。のか?
まあ、小説版も、この脚本監督担当の中野量太さんご自身の小説化でしたし、中野さんご本人は本業は映画監督な訳ですから、小説版より映画版にグッと来た!というのは、正しい反応かなあ?とか思った次第ですね。ええ。
ま、とても丁寧な映画です。脚本が丁寧、という言い方が良い?のか?とにかく、凄く丁寧。ど正直、というか、ど真っ当、というか、ホンマに丁寧。まずもって、ホンマに外枠がしっかりしている、という印象。
で、物語に、それはもう見事に沢山の伏線が、あるんです。その回収の流れが、、、お見事過ぎる。破綻が全くない。無理も全くない。小説版読んで、あらすじをもう知ってしまっていたので、「おお!?マジで!?」という驚きは、感じない上での鑑賞だったんですが、いやもう見事過ぎるストーリー展開。伏線の回収、って言ったら、イヤらしい言い方になっちゃってね、ごめんなさい、なんですがね。
「登場人物のセリフ一つ一つに意味がある」と言えばいいんでしょうか。「あの時のあのセリフの意味」というのが、多角的に意味がある。というのを、シミジミと理解できる素晴らしさ、ですよね。そういう意味では、自分は、小説→映画、の流れで、この作品を二度体験出来て、幸せでした。映画から入った人は、もし一回目の鑑賞で気に入られたのならば、是非とも二回目を観ることをお勧めします。「伏線回収の見事さ」「あの時のあのセリフの意味」というあたりが、二度見したら、痛感できると思いますので。
エンディングの素晴らしさは、個人的には、言うに及ばず、って感じですね。あんま言いたくないんですが、このエンディングは、ホンマに究極だと思います。「全てが氷解する。全てが腑に落ちる。全てがあるべき場所に収まる」という意味で、ある意味、究極のエンディング、だと思います。
最後の最後の場面、映画の題名「湯を沸かすほどの熱い愛」のテロップがでて、その場面で主題歌の、きのこ帝国の主題歌「愛のゆくえ」のイントロのギターが、ギュイーン!!って入ってくるタイミング。完璧すぎて感涙です。
あと、オダギリジョーは物凄く好きなのですが、この映画の中での、良い意味でのオダギリジョーの存在感の薄さ。ビックリした。あのオダギリジョーが、こんなに目立ってない(ように自分には感じられた)なんて!どうなんだろう。オダギリジョー、この映画に関しては「全て宮沢りえさんに持ってってもらおう」って思って、敢えて自分の存在感、消しまくったのでは?とか勝手に邪推する次第です。それくらいにオダギリジョー、圧倒的に存在感、なかった。それでも大好きだけど。
女優の杉咲花、凄く良いです。めちゃくちゃ良い。宮沢りえが、やっぱ圧倒的ですが、娘役の彼女、ホンマに凄く良かった。驚愕しました。