Jホラーはそれなりに漁って観たのだが、小中千昭作品はあまり観たことない。
黒沢清監督の『DOOR Ⅲ』と『邪眼霊』、あとはテレビドラマでいくつか観たことある作品もあるが、それくらいだろうか。
そんな自分でも小中理論は知っていて、ホラーを作るうえでのメソッドだということは知っていた。
その小中理論について書かれた『ホラー映画の魅力 ファンダメンタル・ホラー宣言』に加筆修正されたのが本作『恐怖の作法』だ。
これが非常に面白くて、脚本や創作については勿論だが、ホラー論としても面白かった。
自分は劇中の設定についても納得できるものであれば、言語化しにくくても漠然とそういうものだ、と片付けてしまうことが多かったが、本著ではかなり具体的かつロジカルに言語化している。
霊だからってこうはならないだろ、とか呪いや祟りも好き勝手やっていいわけじゃない、ということがよくわかる。この呪いや祟り論についての章は、なるほど! と膝を打つ。
深度のあるホラー論で読んでいて、ホラー作品を観る上での一つの指針ともなり得る章だった。
そして後書きには、2022年に亡くなってしまった津原泰水さんとのやり取りが書かれている。
津原さんが亡くなってしまったことのショックもあるのだが、ここでちょっと泣きそうになってしまった。
折を見てまた読み返すと思う。