春、戻る (集英社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 突然の12歳下の兄の出現という本来なら違和感いっぱいの設定が著者の優しいタッチでユーモラスかつ温かく語られる。兄が、そしてかつて恩人がかけてくれた言葉を聞き魯迅のこんな言葉を思い出した。人は道の上を歩くのではない。人が歩いたところが道になるのだ。

  • 家族愛。人生思い通りにいかないのが常なんだし幸せだと思えることが大事だなと。自分を大切に思ってくれてる人がいるって幸せなことやね、当たり前やけど当たり前じゃない。つらい時期って世界の全てがつらくみえるけど、その中にも喜びって少なからずあったなと思うしその小さな喜びを大切にできる心を持ち続けていたいなと思った。

  •  不器用に,ゆっくりでもいい。あなたの頑張る姿を見ている人は必ずいるから。あなたはどんな道を選んでもいいんだ。そう感じさせてくれる物語。
     人はみんな上手くいかないことがあります。大好きなことのはずなのに,得意なことのはずなのに,頑張っているのに……。胸に募るモヤモヤが大きくなりすぎたせいで,前に進めなくなることもたくさんあります。耐えきれずに逃げてしまうことだってあります。上手くいかずに立ち止まってしまった記憶が時には,忘れたい嫌な思い出になることもあると思います。そんな時にもきっと誰かがそばにいてくれること,どんな道を選んでもあなたが幸せだと感じる道であれば大丈夫なんだということ,人生は自分のペースでいいことをこの本が教えてくれました。
     進路や部活動,勉強とたくさんの壁を乗り越えようと頑張っている中高生にぜひ読んで欲しい本です!感想:深川文

  • さくらさん(36)の前に突然現れた、ひと回りも若いおにいさん。
    彼の謎やその存在感、さくらさんの成長に心打たれました。
    周囲のおにいさんへの反応や、最後の驚きの展開も感動的!
    ストーカーテイストも感じるけど、瀬尾まいこワールドなら受け入れてしまう不思議さがあります。
    幸せな気持ちに包まれ、ほっこりする作品。

  • ほんわりしていて読みやすいお話。ストレスなく読める。

    ただ「弟」ではなく「兄」にそこまで拘る必要性があまり分からず。理由は一応説明されていたけど、「弟」の方が私はもっとすんなり読めて楽しめたかも。

  • 図書館から借りた本

    結婚を間近に控えた36歳のさくらの前にいきなり兄だと名乗る青年が現れる
    どう見てもさくらより一回りは歳下の青年はさくらの身の回りにちょくちょく出没しては徐々に馴染んでいく
    彼の目的は何なのか

    もう、ありえない設定ではあるんだけど!
    いきなり兄だと名乗る青年はどう見ても歳下だし、名前も関係性も明らかにしないまま、得体の知れない男性を料理を教えてもらうからと一人暮らしの家にあげるかぁ?
    しかも、婚約者の男性も普通に『お兄さん』とか受け入れちゃうなんてどれだけ危機管理がなってないんだ!と思わざるにはいられないんだけど
    そんなこんなをひとまず脇に置いてみるとハートウォーミングなほっこりするお話ではある
    ラストで『お兄さん』の正体と目的が明らかになるけど、変にファンタジー仕立てじゃなくて良かったと思った
    私としては腑に落ちるラストだったかな

  • 著者が伝えたいのは、家族の形は色んな形があるということ、かなと思います。
    【そして、バトンは渡された】を読んで、同じ著者の本なのでよんでみました。話のあらすじは、結婚を控えた36歳のさくらの前に現れたのは、自分のことをお兄さんと名乗る24歳の男の子。最初は不信感を持ちながらも、徐々に打ち解けていく面白い関係を描いていました。途中まではよかったのですが、展開がもう一掴み欲しかったので、星は3つです。

  • とにかく周りの人たちがあったかい。無性に家族に会いたくなってしまった!ただただ、心許せる人たちと囲む食卓の心地よさが恋しくなってしまう。瀬尾さんの小説を読むと、自分にとって大切な人たちに会いたくなる。

  • 春を迎えるこの時期に読めて、良かった。

    「この本はきっと、新生活を迎えようとしている今の私にふさわしい」と思い、手に取った私の目はやはり合っていた。

    作品に登場してくる人みんなが温かで、現実にもこんなことが起きたら、と思えた。

    フィクションの小説だからこそ表現できる優しさが、この作品からは感じ取れました。

    「読めて良かった」と思える作品です。

  • 謎のおにいさんの出現に、
    どういうことなのだろう?
    と、読み進む。

    やがて、その疑問は
    不審、不信感、不安から、
    ゆっくりと時を積み重ね、
    安心に変わっていく。

    このあたりの変化は、さすが瀬尾まいこさんだなぁと、
    心温められながら、ラストへ。

    「思い描いたとおりに生きなくたっていい。つらいのなら他の道を進んだっていいんだ。自分が幸せだと感じられることが一番なんだから」
    この言葉は、春のあたたかさになって
    読後も優しい風のように胸に響く。

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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