WIRED (ワイアード) VOL.30 / 特集「Identity デジタル時代のダイヴァーシティ 〈わたし〉の未来」
- コンデナスト・ジャパン (2017年12月9日発売)
- Amazon.co.jp ・雑誌
- / ISBN・EAN: 4910153120189
感想・レビュー・書評
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何かがかわるとしたら、EUのGDPRがどれだけ有効に機能するかにかかっているように思った。
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多くは言いませんが、これで当面読み納めだなんて。
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最高。若林さんに魅了され続けていました。また若林さんの編集を楽しみに待ちます。
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Identity。
デジタル時代のダイヴァーシティ。
このテーマは、おそらく今を切り取る上で最も大切なものだろう。なぜなら、今ほど全方位的に(黒人がとかだけでなく)ダイバが表に出て来た時代はなく、デジタルがそれを可能にしていると言えるからである。
国分教授は、「アイデンティティとは「傷」である。生まれてくること自体が「傷」を負うこと。傷の総体が性格を形作っている。」という。熊谷教授は、「アイデンティティとは「物語」である。一度きりの出来事を「物語」として記憶に組み込み、それを一冊の本のようにまとめたものがアイデンティなのだ」という。
ビジネスにおいては、過去の成功パターンを分析して、ベストプラクティスを導きだせばよかったのだが、今は限界。非連続な変化や創造を志向しなければ既存のビジネスは成立しなくなる可能性がある。面白いのは、携帯電話、iPhone Xで顔認証ように装備されたAIエンジンは、文字どおりウェブと本人の間=界面を担う。携帯がウェブの一部であり、他方で人の一部、つまりは私というアイデンティティの一部をなすという考え方。自分とは、身体的な自分、人間としての自分に加えて、アイクロバイオーム(周りの微生物)とこうしたウェブなどのガジェットも含めたものになって来ているのである。
もう一つは、そのガジェットの一つinstagramのタイムラインに並ぶ誰もが羨む景色は現実とは異なるという事実だろう。当たり前なんだけど、インスタをスクロールしてみる経験は、世界を実際に経験したものとは違うのだ。今、他人が自分を認識しているのは、インスタであるならば、自分とはなんなのか。テディベアが本物のクマに似ていないのと同じように、ツイッターは本物の群衆には似ていない。
アイデンティティから未来を捉える。そんなことに思いを馳せてみる時間は、貴重で大きな投資の時間と言えると思った。