ハンター・キラー アメリカ空軍・遠隔操縦航空機パイロットの証言 (角川ebook nf) (角川ebook nf) [Kindle]
- KADOKAWA (2017年6月5日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (395ページ)
感想・レビュー・書評
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RPAプレデターのパイロットによる、RPA部隊の実態に関する手記。
”証言”というタイトルだと、何か悪いことを告白しているような印象を与えるが、内容に偏りはないと感じた。
RPA部隊、RPAを利用した戦争について、特に良い悪いと評価を下すものではなく、技術の進歩により実現した新たな現代戦の様相と、その現代戦への米軍の中での適応の仕方の実態を、佐官レベルの中間幹部の視点で生々しく描いている。
文章および訳もこなれていて、基本的に著者が体験した実態を描いているだけなのであるが、淡々と事実を追うという感じより、へー、実態はそうなんだ、と興味深く感じながら読み進めることが出来た。
基本的に秘密の内容は含まれていないとされているが、部隊の実態や運用の仕方が結構具体的に書かれており、日本も含めて、RPAをこれから運用していこうという軍隊にとってはかなり参考になる情報が多いと思う。
著者が最後に述べているが、本書で取り上げているプレデターやリーパーは、RPA=Remotely Piloted Vehicleという呼称のとおり、基本的には超遠距離で使用する巨大なラジコンであり、それ自体に自律性は全くない。
よって本書から、ロボット兵器が実現する将来の戦争様相的なものは読み取ることはできない。
しかし逆に、そのラジコンを使って、米兵側には死傷の危険性は全くない状態で、テロリストを遠隔から殺害することが現時点で可能になっているということは明確的に証明、実証されている。
今更当たり前なことなのかもしれないが、”現代戦の様相”という言葉の実態を、リアリティを持ちながら感じられる貴重な一冊であると感じ、大変勉強になった。詳細をみるコメント0件をすべて表示