未来を花束にして [DVD]

監督 : サラ・ガヴロン 
出演 : キャリー・マリガン  ヘレナ・ボナム・カーター  ベン・ウィショー  メリル・ストリープ 
  • KADOKAWA / 角川書店
3.78
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988111251893

感想・レビュー・書評

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  • フォローしてる方の本棚で見つけて、TSUTAYAで借りた。

    今、我々が日々の中で、当たり前にしている全ての事は、100年前の女性たちが文字通り格闘して手に入れてきたものであると、頬を叩かれたような感じ。

    女性差別はまだまだあるが、今の時代はどんなに恵まれているか実感した。
    「言葉ではなく行動を…Deeds not Words」サフラジェットと呼ばれた女性活動家たちの合言葉。
    今の時代ならば過激である必要はないが、それでも、考えたことを行動で示すことは最も難しく、且つ最も必要なことであろう。2019.12.28

  • キャリー・マリガン演じるモードが、愛する息子と別れるシーンでもう号泣。
    まだ女性に参政権も親権もなかった頃のイギリスの話。
    労働者階級の女性の生活の改善と一般的な女性の社会的地位の向上、それを具体化するための女性参政権を求め戦った女性たちの記録です。

    うちに『世界を変えた100日』というNATIONAL GEOGRAPHICの本があるのですが、この映画のあるシーンにきた時、あ!って思ったんです。
    昔、本で見た時は、ピンとこなかったのです。が、映画のラスト近く、ダービーで、国王の馬の前にエミリーが身を投げ出したシーンを観たとき、あの写真がこれだったのか!……と。
    エンドロールで、世界各国で女性が参政権を得た年が流されるのですが、「日本」はありませんでした。
    日本のそれは、敗戦と共にマッカーサーの指令により与えられたもので、1945年になります。
    タイやブラジルより、10年も遅いんですね。
    こうしてみると、つい最近まで女性の社会参加は認められていなかったんだなと。
    男性のみが社会に参加してルールを決め、女性は男性を支えていればよい、という「昔の」思想。


    日本に限っては、モードやエミリーたちが生きた時代は昔の話ではないのですね。
    「Deeds not words」(言葉ではなく行動)
    は、日本の私たちに向けた言葉なのかもしれません。


    「すべての娘たちはこの歴史を知るべきであり、すべての息子たちは胸に刻むべきだ。」というメリル・ストリープの言葉が今、ずっと残っています。


    久しぶりにいい映画を観ました。
    お客さんも誰一人上映中にスマホの画面を開いたりせず(時々いますよね、そういう人)、エンドロールが終わるまで誰一人席を立たず、マナーのいい方たちばかりだったのも嬉しかったです。私も見習いたいと思いました。

    http://zazamusi.blog103.fc2.com/blog-entry-1387.html

  • 女性の参政権ってほんの100年前にやっと付与されたんだ、と思うとほんの3世代でいかに多くの変化を女性が経験しているか感じ入る。
    命を懸けて戦ってくれた先人のおかげで投票できているんだと思うと、一票の重みがずっしり。

    確か2018年がちょうどイギリスでの選挙権獲得100周年とかで、ふらっと立ちよった市立美術館でもSuffragette特集をやっていたのが思い出。

  • 運動に深入りするにつれて夫も仕事も失って、息子も泣かせて、何の為にやってるのか、そもそも意味があるのかと虚しさを感じたろうし、前例ない事をやってる訳だから何が正解かもわからないし、特に同じ女性からも白い目で見られるのは辛かったろうと思うんですけど、彼女たちが導いてくれた未来に生きる私が言いたい、意味大アリだよ!それ大正解だよ!と

    マギーを職場から連れ去った時、次世代の女性たちを、未来の女性たちを先導して行くように見えたんです。配給会社の担当者も同じように感じて邦題付けたんだとしたら大正解ですよ、これは私がもらった花束の話なんですよ

  • これ観たら選挙いかないなんて愚行はできなくなる。

  • ロンドンの洗濯場で働く主人公モードワッツのやつれた顔とグレーと茶色だけの、色のない世界が、この映画の舞台である1912年の女性たちの抑圧された希望のない未来を物語っていた。

    若くから洗濯女として働く、主人公モードの人生は、息子ジョージとの時間以外には、囚人と変わらないようにな過酷な生活にも見え、「奴隷になるくらいならいっそ反逆者に!」と叫ぶ活動家パンクハースト夫人の声に目の色が変わるのも無理はない。

    職場ではセクハラとパワハラ。旦那より長く、ハードに働かされても給金はそれ以下。子育ての主導権もなくただ、男性の下僕として生きていかなければならなかった彼女らを参政権運動に駆り立てたもの。それは
    「未来を生きる女性が自由に生きて欲しい。」という思い。
    その証拠にこの作品に出てくる女性たちは自分たちが生きているうちに選挙権が与えられるとも思っていない。
    私ももし、自分の娘の未来が、奴隷のような不自由な未来しか待っていないと分かったら、少しでもそれを避けることのできる可能性のために闘うかもしれない。
    あの時代の女性の悲惨な状況をみてそう思った。

    一見、過激にもみえる活動家サフラジェットの女性たちの行為は、長きに渡り叫んでもその声を無視され続け、集会を開けば暴力を受け、拘留され、ただ声を聞いてもらうための出来うる最後の手段だったのだと思うとなんだか辛すぎた。

    そりゃ、自分の生きているうちになにも変わらないなら、良き妻、良き母として穏やかに生活をするのが一番楽だ。
    そしてこの活動家たちに「恥知らずめ!」と後ろ指す同性たちはきっとそっちを選んで波風立てずに終わればいいと思っている部類なのだろう。

    賛否両論はあるにせよ、今当たり前の事を変えるには多くの人が今の自分たちの為の人生を投げ打って闘った過去がある。
    だからこういった女性たちの大きな犠牲の上で私たちが普通に笑顔でいれる事を忘れてはいけないと月並みだけど改めて思い出させてくれた。

    メリルストーリープは、活動家を駆り立てるパンク ハースト夫人として一瞬しか出てこないが、さすがの存在感。
    活動に巻き込まれただけの印象だったキャリーマリガン演じる主人公の怯えていた瞳が、彼女の出現によって光を帯びたようにみえた。

  • 参政権を求めて戦った女性たちの物語。エメリン・パンクハーストの名前ぐらいは知っていましたが、主役は彼女ではなく(メリル・ストリープの出演は1シーンのみ!)、成り行きで運動に参加しただけの庶民の女性(キャリー・マリガンが好演)が次第に「闘士」へと変貌していきます。

    それにしても、投石するわ、爆破するわという彼女たちの運動の過激さよ。競馬場で飛び込むシーンは有名な実話だそうですが、あれじゃ自爆テロですよ。そこまでしないと屈強な「ガラスの天井」は突き破れないし、彼女たちをそこまで駆り立てたのは、当時の女性労働者たちが置かれた状況が過酷だったということなんですね。そしてその行動によって時勢が動いたわけです。

    いまでは当たり前のように行使している自分たちの権利が、その獲得のために戦った先人たちのおかげであることを知るのは大切なことです。一方で、同性婚や夫婦別姓などを求めて戦っているマイノリティの人たちが今いるわけで、未来の人が「今では当たり前なのに」と回想する日が来てほしいなと。

  • SUFFRAGETTE
    2015年 イギリス 106分
    監督:サラ・ガヴロン
    出演:キャリー・マリガン/ヘレナ・ボナム=カーター/メリル・ストリープ/ベン・ウィショー
    http://mirai-hanataba.com/

    1912年のイギリス。洗濯工場でセクハラ経営者や劣悪な労働条件に耐えながら夫と幼い子供のために必死に働く女性、モード。ある日偶然、女性参政権を求めて活動する女性たちの抗議運動現場に遭遇、やがて同じ職場のバイオレットに誘われてモードも活動に参加するようになるが・・・。

    少し前に読んだバルガス・リョサの『楽園への道』で知った、ゴーギャンの祖母で女性解放と労働者組合のために活動したフローラ・トリスタンのことを思い出しました。あちらはフランスで、フローラが亡くなったのが1844年だからこの映画のイギリスよりもずいぶん前だけれど、女性たち、労働者たちの置かれている状況はそこからほとんど改善されていない。

    『楽園への道』ではDV夫から逃れるため子供を連れて家出したフローラは犯罪者として追われ(子供の親権は父親のもの、妻も夫の所有物扱いで自由意思は認められない)ストーカー化した夫に銃で撃たれたりしながら、女性解放運動のための活動を続けたましたが、この映画の主人公モードもやはり、活動にのめりこんだことで夫に家から閉め出され、子供には会わせてもらえない。母親=女性には親権がなく、夫の一方的な仕打ちにもひたすら耐えるしかない。同僚のバイオレットも、たぶん夫に暴力をふるわれたのだろうなという感じの痣だらけの姿で現れたりするし、にも関わらず妊娠はする、という・・・母性愛でカバーしちゃうんだろうけど、しょせん女=妻は無料で性欲処理できる家政婦兼子供を産む道具としか思っていない男が大勢いたのだろうなと思ってしまった。もちろん現代でも。

    モードの旦那は比較的温厚で奥さんを大事にしているぽかったけど、それでもこの仕打ち。そんな中で薬局のイーディスの旦那さんだけが、妻の過激な活動にも協力し、投獄され出所してきた妻を迎えにゆき、活動に反対するのはあまりにも妻の体が心配なときだけ、というすごく優しくて良い旦那さんだった。女性活動家をスパイする警察のおじさんも、敵ながら、ただ職務に忠実なだけで、本当にこれでいいのか、という少しの迷いを感じているであろうことが救い。

    それにしても、この活動家女性たちの行動の過激さにはちょっと驚いた。もちろんそうまでしなければ彼女たちの声に耳を傾けてもらえない、という状況ではあったのだろうけど、爆破テロや、ラストの殉教者エミリー(※彼女は実在の人物)の選んだ手段などは、手放しで良くやったと褒め称えられない複雑な気持ちになってしまう。こういった女性たちの頑張りのあとの未来に現代の自分たちの得ている平等があることはとても有難いし敬意を払いたいけれど、じゃあ爆破テロしていいかっていうと正義ってなんだろうって考えてしまうかも。

    実在の有名活動家であるエメリン・パンクハースト(メリル・ストリープ)や、殉教者エミリーを主役にせずに、名もなきいち主婦だった架空の女性を主役にしたのは良かったと思う。キャリー・マリガンがおっとりした普通の主婦から、強い意志をもって自己主張をするようになる過程がとても自然で上手かった。

  • 以前SNSで話題になってた気がする、とアマプラで視聴。
    イギリスの、女性の選挙権を巡って戦った女性たちの話で見ていて辛かった。

    洗濯の仕事をする女性が主人公。
    過酷な仕事だけど賃金は安いし、男より労働時間も長い。
    ある日女性にも選挙権を!と過激にアピールする集団に出会って、徐々に自分も活動に参加していく事に。
    同じ洗濯女の若い女性が、自分と同じように雇い主に性的嫌がらせをされてるのを見てしまったり、もしも自分の子供が娘だったら?と考える中で意識が変わっていくのがリアル。
    その質問に夫が「君と同じ未来だろ」と事も何気に言うのがまた、理解していなさが辛い。

    活動に参加する内に、家を追い出されて子供と会えなくなってしまったり、仕事クビになったり、逮捕されたりと波乱万丈で本当にシンドイ。
    こうして女性が戦って勝ちとった選挙権だけど、日本じゃまだまだ女性差別もキツくてやるせなくなる…。

  • 権利が剥奪されているというのは、確かに存在している苦しみすら存在しないことにされること。
    そして、存在しない苦しみが、存在しないとされたまま、次の代に引き継がれること。

    社会制度があるマイノリティグループの権利を剥奪しているとき、そのマイノリティグループに属する人は、他の生き方を夢見ることも簡単ではない。

    この映画に描かれるような歴史を経てフェミニズムが誕生したのなら、フェミニズムは、すべてのマイノリティグループの人々とともにあれるはず。

    もしも、ある人がフェミニズムを掲げながらあるマイノリティグループを排斥しようとするなら、その人が掲げているのはただの差別であってフェミニズムではない。

    パンクハースト

  •  およそ100年前の英国を舞台に、女性参政権を求めて闘った女性たちの姿を、実話に基いて描いた映画。

     甘ったるい邦題とは裏腹に、けっこうヘビーな作品である。描かれる女性たちの運動はテロも辞さない過激なもの(人こそ殺さないが、大臣の別荘を爆破したりする)だし、ヒロインたちが働く洗濯工場の労働環境は過酷だし。

     警官隊は、デモ中の女性活動家を手加減なしで警棒でぶちのめす。獄中でハンガーストライキをすれば、数人で押さえつけて無理やりミルクを流し込む……。いやはや、すごいものだ。邦題から連想されるような、「みんなで言論闘争をがんばりましょうね」的な甘さは絶無なのである(※)。

    ※邦題に見られる“甘々補正”は、予告編の作り方にも表れている。英語版のオフィシャル・トレーラーにちりばめられている暴力的シーンが、日本版予告編からは巧妙に削除されているのだ。

     この時代、女性は参政権も親権も認められず、職場の上司からのパワハラ、セクハラもあたりまえ、夫は妻を所有物扱い……。
     たった100年前(日本でいうと大正時代)には英国ですらこんなありさまだったのだ、と改めて驚かされる。また、「いまはいい時代なんだなァ」ともしみじみ思う。

     メリル・ストリープが演じるエメリン・パンクハースト(女性参政権を求める「WSPU――女性社会政治連合」の創設者・指導者)ら、実在の人物も登場するが、ヒロインのモード・ワッツは架空の人物である。

     モード役のキャリー・マリガンが、「女性活動家」っぽくない清楚なたたずまいであることが、よい方向に働いている。無思想・無教養で平凡な工場労働者が、偶然からしだいに政治意識に目覚め、運動にのめり込んでいく物語に自然な説得力を与えているのだ。
     キャリー・マリガンは、とても日本人好みのルックスをしていると思う。小動物系というか。私も好きだ。『ドライヴ』の人妻役もよかった。

     地味だが、とてもよい映画であった。 

  • イギリスで女性参政権を求めた女性の物語。映画館で観たかったけれど、DVDでの鑑賞となった。女性の参政権がない、ということは、女性のための法律も少ない、ということだ。女性の労働環境の悪さ、母親の親権が与えられないことにも繋がり、とても悲しいことだと思った。この運動が、日本での女性参政権獲得にも繋がり、現代の女性活躍にも繋がってくるのだなぁと改めて感じて、自分もその恩恵を受けていることに感謝の気持ちを持った。

  • おすすめ資料 第419回 (2018.03.16)

    20世紀初頭イギリスの女性参政権運動をテーマにした作品です。

    参政権の問題に限らず、その時代に女性を「こうあらねばならぬ」と縛っていたものが描かれていますが、その厳しさは現代とは比較になりません。

    教育を受けられること、職業を選べること。自由に自分の意見を言えること。

    現代に生きる自分達が享受するものの大切さをかみしめずにはいられません。


    【神戸市外国語大学 図書館Facebookページへ】
    https://www.facebook.com/lib.kobe.cufs/posts/1619172721465760

  • ※Suffragetteとは、20世紀初頭のイギリスの参政権拡張論者、特に婦人参政権論者を指す言葉。

    未来を花束にして、というタイトルは取っ付きやすさは感じるが原題のような力強さにとても足りない。
    内容も未来を花束にするため、石を爆薬をアイロンをもって闘った女たちの物語。
    このタイトルは内容を表せていない


  • 20世紀初頭、参政権を求めて立ち上がった女性たちの生きざまを、実話を基に描くヒューマンドラマ。さまざまな困難に見舞われながらも女性の未来のために闘う物語ヒロインを演じるキャリー・マリガンは久々に映画で観た。好きな女優さん とても可愛い だからこそ 余計悲しい物語に…女性がだんだん進出してきた現在から 想像も出来ないほど、歴史を変えるって事の大変さを改めて感じるとともに、間違えた事を平気で行ってもそれが常識になってる社会に対しての諷刺の意味があると思う。
    すべての社会的運動には意味がある
    何が本当で真実で取り上げる問題かどうかは やはり 先導者が人々に届く声と行動を持ってこそだなぁと思った今の自分にとっては温故知新なのかもしれない

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