物語 シンガポールの歴史 エリート開発主義国家の200年 (中公新書) [Kindle]

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  • 中央公論新社
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感想・レビュー・書評

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  • シンガポールには行ったこともないので全く前提知識なく読み始めた。シンガポールというと、何となく自由で洗練された国というイメージがあったが全く異なっていた。国家の発展、ひいては国民の生活レベルの向上を至上命題として、その目的の障害となるものは撤退的に排除する、いわば人工国家。確かに民族的、宗教的しがらみで、発展を阻害されている国から見れば羨ましい限りかもしれないが、国民の不満は徐々に高まっている。
    もちろん、シンガポールの歴史を考えれば、ほぼこのやり方しかないように思えるし、それを強烈な信念を持ってやり遂げたリークワンユーという政治家は偉大だ。

  •  シンガポールという国の正体や歴史は昔から気になっていた。この世界にある経済的に豊かな国はほぼ例外なく長い歴史を持っているが、シンガポールは200年程の歴史しかない。本書によって一つの若い国がこれだけ急速な発展を遂げた理由を知ることができた。
     特に驚いたのは、シンガポールの与党である人民行動党の、野党やメディア、反体制派に対する厳しい姿勢である。私は過去にトランジットで数時間シンガポールの中心街を訪れたことがあるが、その際に東南アジアならでは低い雲の中へ隠れる金融街の超高層ビル群の数々を見て、シンガポールの発展の程度に驚くとともに、勝手に自由主義的な雰囲気を感じていた。しかし、本書でそれは覆された。シンガポールの中央政府の揺るぎない一強。そしてその政府による経済発展最優先主義を前提とした、メディア管理や野党への弾圧。こうやってあえて強力に管理することで為せる発展もあるのだと知った。

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著者プロフィール

元アジア経済研究所地域研究第一部主任研究員
元拓殖大学国際学部教授

「2023年 『現代アジアの「民主主義」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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