経済成長という呪い―欲望と進歩の人類史 [Kindle]

  • 東洋経済新報社
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  • 豊かになっても、環境破壊が進んでも、人々は“経済成長”を追い求める。この無限の欲望に、どう向き合うべきか。歴史的な観点から、経済成長、進歩という概念の見直しを提案した書籍。

    人間は、自分にはないと感じる、自分以外の誰かがもっているはずのものを欲しがる。そして現在、数億人の人々が経済成長という神を崇め、地球環境が危険にさらされている。

    太古から18世紀の産業革命前まで、人類の収入は1日、1ユーロ程度で、今日の貧困者並みであった。1人当たりの収入が伸び続ける経済成長は、近代になってからのこと。

    世界ではデジタル革命が進んでいる。だが、その成果が経済成長につながらず、先進国の経済成長は後退し続けている。社会のコンピュータ化は大きな衝撃を生み出したが、それは一時的なもの。その影響力は、電話、白熱電球、内燃機関など、過去の発明とは比べものにならないくらい小さい。

    テクノロジーの進歩に伴い、事務職や熟練工など、中流階級の雇用が減少した。そして、中流階級はサービス業など低賃金の労働市場に流入している。その一方、経営者、専門家などの職業では、最高と評価される人物の報酬が高騰している。(Winner takes all)

    古典派経済学の理論では、1ユーロのプラスとマイナスは、同じ性質の喜びと不満を生み出す。しかし、人間は得ることよりも失うことに対する嫌悪感の方が強く、常に不足という心配に悩まされる。豊かになっても、その状態が新たな基準となり、すべては振り出しに戻る。

    人間の欲望は、その人が身を置く状況から大きな影響を受ける。こうして人間は、無限の欲望を抱く。だが、この影響されやすさは、チャンスでもある。なぜなら、仕事、芸術、社会生活の場で役割を担うことで、欲望を昇華できるからだ。

  • 著者の味方は悲観的に過ぎるように感じられた。また日本に住む我らとは問題意識が随分違う。学者だけあって社会との接点が少なそうなことも含め、あまり知的な面で参考になる議論には出会えなかった。物足りない、ピンと来ない。そんな感じである。

  • 106頁:人権費?? ⇒人件費

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著者プロフィール

1953年、チュニジア生まれ。フランスの経済学者・思想家。パリ高等師範学校経済学部長。『ル・モンド』論説委員。2006年にトマ・ピケティらとパリ経済学校(EEP)設立。著書にフランスで『銃・病原菌・鉄』を越えるベストセラーとなった『経済と人類の1万年史から、21 世紀世界を考える』など。

「2019年 『ホモ・デジタリスの時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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