海が見える家 (小学館文庫) [Kindle]

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  • 父と姉との家庭で育った社会人一年目の息子が、ひどい言葉を浴びせて数年来会っていなかった父の突然の訃報により、父が暮らしていた千葉の海が見える家に訪れ、自然と父の足跡を追っていくことになる。
    何が起こるわけでもないが、自然が近くにある環境で暮らすこと、その地域の人間関係などがリアルかつ温かみがあり、こういう暮らしもいいなぁと思わせる。
    何もないと思っていた父の本当の素顔が次第に明らかになっていき、それを知って息子も変化をしていく様が心地良く、読後は気持ちが穏やかになった。
    疲れてる時に読むと沁みるような作品。

  • 疎遠だった父が急死した。
    息子は南房総の見知らぬ地を訪れる。
    不動産会社勤めの真面目一筋で、
    何の面白みもないと思っていた父親。
    手続きのため滞在するうち、
    知らなかった父の姿が次々と明らかになる。
    別荘地のぼろぼろの一軒家には、
    父の意外な日々の足跡があちこちに残り、
    ゆかりの人たちが続々と尋ねてくる。

    就職した会社をわずか1ヶ月辞めてしまった息子は、
    傷を負い自信をなくしている。
    自分のことに精いっぱいで、
    父の死へは事務的な対応に終始している。
    目先の生活のためにお金を得ることが出来れば、
    くらいの気持ちしかない。

    それが父の日々を知るうち、徐々に惹かれていく。
    海の自然の幸を取って食べ、
    そこに暮らす人々の役に立って対価を得る。
    生活すること働くことの原点に目覚めていく。
    自分の足でよって立ち、自分の手を使って働く。
    自然と戯れて遊ぶ。

    いい学校を出て、いい会社に入り、
    いい給料をもらって、いい生活をする。
    古い認識!と笑い飛ばせない。
    しっかりその価値観に縛られている。

    海が見える家には、
    それとはまったく違う価値の日々がある。

  • サーフィンをやる私にはその情景がありありと浮かんできました。

    ぶっきらぼうはサーフィンの危険性についてはもうちょっと警鐘を鳴らしてもらいたいものですが(笑)

    多少、話の展開が強引な部分もありましたが海を目の前にゴチャゴチャ突っ込むのは野暮ってもんでしょう。

    素敵な作品ありがとうございます。

  • ベストセラー作品、続編3冊、海とサーフィンが好きな読者はたまらないねー、こういう生活してみたい作品です。
    のこされたのは、丘の上の海が見える家。

    苦戦した就活でどうにか潜り込んだ先はブラック企業。働き始めて一ヶ月で辞職した。しかし、再就職のアテもなければ蓄えもない。そんな矢先、疎遠にしていた父親の訃報が飛び込んできた。孤独死したのか。どんな生活を送っていたのか。仕事はしていたのか。友人はいたのか。父について何も知らないことに愕然としながらも、文哉は南房総にある父の終の棲家で、遺品整理を進めていく。はじめての海辺の町での暮らし、東京とは違った時間の流れを生きるうちに、文哉の価値観に変化が訪れる。そして文哉は、積極的に父の足跡をたどりはじめた。「あなたにとって、幸せとは何ですか?」と穏やかに問いかけてくる、著者新境地の感動作!

  • 挫折してもやり直せると思わせてくれる優しいお話。登場人物がみんないい人で癒されます。

  • 仕事を辞め、先行きが見えない状況の中、疎遠になっていた父の訃報が。
    急遽、残された父の家の整理をすることになった主人公。
    遺物や生前の父と関わりがあった土地の人と関わるうちに、徐々に心境の変化が起きてくる、、といったお話。
    思春期、特に男子ともなると父に反発をしてしまうもの。
    が、自分も父と同じ歳になり、人生のステージを登っていくと、こんな気持でいたのかなあとしみじみ感じることがあります。
    特に生前よりも亡くなってからこそ気づきやすいように思います。
    父の背中は偉大、そして自分と同じく葛藤を抱えながらも前に進む一人の人間であった。
    海の鮮やかな暮らしぶりを目に浮かべつつ、生き方を考えさせられました。

  • おもしろかった。
    主人公の途中からの個性の変化。父親の意外な一面。他の登場人物も共感が持て、読みやすかった。
    又、風景の素晴らしさを活字だけで感じ取ることが出来た。
    続編があることはわかっていたので、そこに住むんだろうとは思っていたが、読んでいる途中から家を売るなよーって何気に思っている自分がいた。
    続編もすぐに読むとしよう。

  • 就職したのに早々に会社を辞めてしまった文哉。
    その文哉に父が死んだとの報が。
    父が暮らしていたという房総の海が見える家で、つまらない人生を送っていると思い込んでいた父の本当の姿が徐々に明らかになっていく。
    そしてそれは社会に適合できなかったと思っていた文哉の成長の過程でもあった。
    本当の人生とは何かを問いかける、心温まるお話。

  • Audible

  • 突然亡くなった父が住んでいた海の家に訪れた息子が、父の生前の様子ふれる中で、自分が本当にやりたかったことに挑戦しながら再生していく。徐々に明らかになっていく人々の触れ合いがいい。

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著者プロフィール

千葉県生まれ。商社、出版社勤務を経て作家に。二〇〇六年『サッカーボーイズ再会のグラウンド』でデビュー。「サッカーボーイズ」シリーズ、「海が見える家」シリーズの他に『帰宅部ボーイズ』『ようこそ、バー・ピノッキオへ』『会社員、夢を追う』『太陽と月サッカー・ドリーム』などの著書がある。

「2022年 『サッカーデイズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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